序
臼井愛代さんは、九州佐世保の生まれだが、東京の大学に進学し、三十年
も東京の生活が続いているので、初心の俳句は、都会風で、軽く明るい。句
集冒頭の二句は、
メトロ降り春浅き東京を歩く
春ショールふわりと巻いて助手席に
で、「メトロ」、「ショール」といった外来語の片仮名表記も軽く明るい。
愛代さんの句歴は、五年で若いが、日頃の精進があって、明るい句に少し
ずつ深みが加わってきた。
秋草の触れくるままを触れ歩く
皇居外苑
噴水の斜めに流れ黄落も
句が平面的でなく、時間の経過を詠んで、そこに深みがある。「触れくる
」、「触れ歩く」に、「斜めに流れ」、「黄落も」に時間の経過がある。
明るくて深いところのある俳句は、かって無かったが、そこに向って進む
姿勢がいい。
愛代さんの俳句は、東京に染まって小さく纏まっていないところが良い。故郷の精神風土を失っていないので、句柄が大きいのである。首都圏の東京や横浜や川崎を詠んでも大きい。
春月を仰いで銀座四丁目
横浜に汽笛の曳ける花の昼
横浜・日吉本町
葉桜が空と触れ合う丘のうえ
川崎・梶ヶ谷
吾が街に今日立冬の空の青
句集「花の昼」の方向は、確と定まっている。明るくて深く、そして大きな世界である。迷うことは無い。ただひたすらに前へ前へと進めばいい。臼井愛代さんは、将来が楽しみな俳人である。
平成二十年初冬
高橋信之
▼その他は、下記アドレスをクリックし、ご覧ください。
http://www.suien.org/0005/kusyu/hananohiru.htm
▼読後感想などは、下記の<コメント>にお書きください。
臼井愛代さんは、九州佐世保の生まれだが、東京の大学に進学し、三十年
も東京の生活が続いているので、初心の俳句は、都会風で、軽く明るい。句
集冒頭の二句は、
メトロ降り春浅き東京を歩く
春ショールふわりと巻いて助手席に
で、「メトロ」、「ショール」といった外来語の片仮名表記も軽く明るい。
愛代さんの句歴は、五年で若いが、日頃の精進があって、明るい句に少し
ずつ深みが加わってきた。
秋草の触れくるままを触れ歩く
皇居外苑
噴水の斜めに流れ黄落も
句が平面的でなく、時間の経過を詠んで、そこに深みがある。「触れくる
」、「触れ歩く」に、「斜めに流れ」、「黄落も」に時間の経過がある。
明るくて深いところのある俳句は、かって無かったが、そこに向って進む
姿勢がいい。
愛代さんの俳句は、東京に染まって小さく纏まっていないところが良い。故郷の精神風土を失っていないので、句柄が大きいのである。首都圏の東京や横浜や川崎を詠んでも大きい。
春月を仰いで銀座四丁目
横浜に汽笛の曳ける花の昼
横浜・日吉本町
葉桜が空と触れ合う丘のうえ
川崎・梶ヶ谷
吾が街に今日立冬の空の青
句集「花の昼」の方向は、確と定まっている。明るくて深く、そして大きな世界である。迷うことは無い。ただひたすらに前へ前へと進めばいい。臼井愛代さんは、将来が楽しみな俳人である。
平成二十年初冬
高橋信之
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