意識は
地球のコアに向かっていた
マントルを抜け、
内核へと潜って行くと
巨大な目が現われた
ゆっくりと瞬きをする目
私の恐怖する目
静かにこちらを見ている
その目の奥には光り輝く何かがあって
私は視線恐怖を克服できるのかも知れない
などと考えた
私は目の中に入っていった
何か素晴らしいものを期待して
目の中に入っていくと
何百年も、
或いは千年も放置されているような
朽ちた廃墟が現われた
誰かに知られることもなく
何の生命もいないただの廃墟だった
廃墟に少し驚きながら進んで行くと
宇宙空間のような広い場にでた
さらに進んで
ようやく地球のコアに辿り着いた
そこで胎児の自分を見た。
コアに包まれ全く無防備に眠っている胎児。
不安や恐怖を知らない原初の存在
◆
「目を見ればだいたいその人が分かる」
「目を見て話しなさい」
「目を見ない奴は信用できない」
「目は口ほどに物を言う」
人間界で目はとても重要な意味を持っている。
それなのにそこで見た目は
地球が教えてくれた目とは、
ただの廃墟への入り口でしかなかった
目のずっと奥、
遥か遠いところ
他者が決して辿り着けないところ
そこに人のコアはある