StoptheDesert通信 (砂漠化防止活動の記録)

内モンゴルからウズベキスタンにて砂漠化防止活動を行なっているため、オイスカ内蒙古、アラシャン通信から移行しました。

アラル海での植林

2019-04-13 22:18:45 | 環境保護

4月8日、グリーングラスロッツ一行26名とムイナク工業運輸カレッジ(高校)の35名の学生と一緒にアラル海の町、ムイナクにてサクサウール4000本を植えました。当日は三菱商事の現地事務所の方や裏千家の先生も参加し、一杯のお茶の緑から世界の平和のためのお茶会も合わせて行いました。かつては世界4番目の大きな湖であったこの場所も今では朽ち果てた船が残っているのみです。1960年から日に日に枯れていく湖をどういう気持ちで眺めていたのかと考えていました。でも地元の高校生たちは元気いっぱいでした。環境を壊すのも人間であれば治すのも人間だと信じれば、20世紀の環境問題を21世紀に修復できます。ここでノヴィツキー博士新聞記事を参考までに載せます。

新聞記事「海を救うために、アラルは森に変えるべきである」

 

アラル海が死にゆくのを防ぐためには、植林が有望な手段であると、カザフスタンとウズベキスタンの科学者は考えている。そうでなければ、環境の破滅は不可避である、と。

2014年、大アラル海の東部の水は干上がったことが、NASAの衛星情報から明らかとなった。アラル海の湖面は二つに分けられる。主にウズベキスタン側の大アラル海と、カザフスタン川の小アラル海である。

ウズベキスタンの研究者であるジノヴィー・ノヴィツキー博士(農学)は、アラル海の縮小に伴う土壌塩化を防ぐには二つの方法があると信じている。一つは、スペースを水で満たすことである。シベリアの河川を転流させるか、またはカスピ海の水をくみ上げるかだが、いずれも非現実的であると思われている。

二つ目が、干上がった湖底に植林を行うことである。ノヴィツキー博士はそれは十分に実現可能であるとみなしている。植林を行うことはその根を通じて土壌が安定されることに寄与する。二酸化炭素を吸収し酸素を放出することによって、環境状況も改善されるであろう、とも。これは地域住民にとってとても重要なことである。

中央アジアの中心、カザフスタンとウズベキスタンに挟まれた位置にあるアラル海は、1960年までは世界で4番目に大きな湖であった。しかし過去40年の間に、それは縮小し続けている。水面は17メートル低下し、総水量は5分の一にまで減少した。塩分濃度は上昇し、魚類は死滅した。

「アラル海問題はウズベキスタン及び全世界にとって重要な課題であり続けている。私はムイナクとヌクスへの訪問を永遠に忘れない。」2015年夏にウズベキスタンを訪問したパン・ギムン国連事務総長は述べている。

今日ではアラル海の干上がった湖底の面積は500万ヘクタールに及び、河川のかつての流入口から水面までは200キロメートルも離れてしまっている。現在、アラル海は世界で最も急速に砂漠化が進んでいる地域であるといえるかもしれない。

「アラルクムは、地域全体の、環境の不安定化の文脈において、重要な位置を占めているかもしれない」

「わが共和国の学術機関は、湖底に対して様々な種類の植物を植林するための準備を行っている」、と、ノヴィツキー博士は語っている。「我々は湖底の沈殿物のどこに何を植えればいいのか、を、明白に指摘することができる」。

すでに、通常のサクサウル、そして、黒サクサウル及び白サクサウルもまた、植林しており、その本数はすでに400万本に及ぶ。そのうち半分の200万本は干上がった湖底の最も危険な地域に植えられた。それらは向こう10年、防風林の役割を果たすであろう。

公式情報によると、現在では、ウズベク側の植林面積は50万ヘクタールに及んでいる。カザフスタン側のアラル海緑化プロジェクトでは60万ヘクタールで植林が実施された。

現在、プロジェクトは、主な出資機関である世界銀行が支援を行っていないため、停止状態にある。向こう10年、プロジェクトにかかる費用は、6380万ドルに上ると見積もられている。一方、ウズベキスタン側では、政府が出資を行っている。

今年(2015年)9月、ウズベキスタン共和国環境保護委員会は、農作物を守るために、2030年までにアラル海の湖底に植林を実施する必要があるとする資料を公表した。年間でアラル海湖底には4-5万ヘクタールの植林が実施されている。2019年までに、アラル海沿岸地域の生物多様性を維持するために、10の自然保護国立公園が設定され、既存のものと併せて370万ヘクタールとなる。総費用は2億ドルと見積もられている。

「これらのプロジェクトを統合的に理解していくために必要な基礎的な資料すらも、現状では残念ながらそんざいしていない。私は常に指摘しているのだが、ウズベキスタン側、カザフスタン側双方を含めた統合的な枠組みが必要である。二つの政府によって作成された資料が必要である」、と、ノヴィツキー博士は指摘している。彼の意見では、両国の研究者が協働する必要があるという。

広大な植林を行うことで、何十年も乾燥に悩まされてきたこの海に関する問題も解決されるであろう。家畜に餌をやることができ、それは両国の領域に及ぶであろう」、と、科学者は確信している。アラル海の湖底から舞い上がる塩化物や砂などは、年間1億トンに及ぶ。それは地域住民に血液疾患を引き起こし、公式データでは女性の実に80%が悩まされているという。さらに、血液疾患に悩まされる女性から、不健康な乳児が生まれていることも指摘されている。

ジャミラは、大きな家族を夢見たこともあったが、血液疾患は彼女の夢を永遠に閉ざしている。医師は彼女の二人目の子供を救うことができなかった。アラル海地域にはジャミラのような女性が数十万人もいるのだ。

「私は3回出産を試みました。しかしそのうち2人は、生き残ることができませんでした。三番目の息子も、困難な状況にあり、私も腎臓病と低酸素症で、入院しました。生きていられるのは、医師と、親戚たちのおかげです」と、ジャミラは語った。

多くの女性が、ヌクス市病院の産婦人科に、血液疾患のために入院している。

「多くの乳幼児が、鉄分が足りない状態にある」、ズルフィヤ・ユスプワ医師は述べている。(斎藤竜太氏訳)

 

ソース:https://365info.kz/2015/11/spasenie-arala-zabota-dvuh-gosudarstv/

 

現在、カラカルパクスタン林業局より50万ヘクタールの植林事業の支援のお願いがきています。私たちにはできることは小さいですが、今回も一部だけ新しい植林方法で試してみました。

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿