続・ファミリーストーリー(青春自衛隊 その11)
(登場人物・場所などはすべて架空です)
青春自衛隊(自衛隊 卒業)
当時、臨床検査技師はと言う国家資格はなく、衛生検査の範疇であったが、自衛隊の医務室や地区病院などで経験を積んできた僕は地元の医師会長が経営する消化器外科の病院の招聘に応じた。僕がやりたかったのは生体電気信号(心電図、脳波、筋電図など)の解析であったが、腰掛程度の軽い気持ちと給料の良さで、この病院に勤めることとなった。病院が用意してくれた住まいは看護婦(師)の宿舎で、本間造りの8畳二間で、それまで住んでいた6畳一間からすれば、十分すぎる広さであった。しかし、その場所は、当時の花柳界隈(遊郭や飲み屋など)であり、彼女(妻)にしてみれば、僕が浮気などしないか帰宅するころになると、迎えに来るようになった。彼女である妻は恋人で恋愛中だから、そんな心配はなかったのに、男社会だった自衛隊から女性ばかりの職場になったので、心配だったのだろう。
看護婦(師)の宿舎とあって内風呂は入りにくいので、近くの銭湯に彼女(妻)と一緒に行ったが、当時はごく普通で浴室のある家は少なかったし、あっても広い銭湯を好む家庭が多かった。
しかし、周りは花柳界隈であり、酔客の罵声や喧嘩沙汰が多く治安が良いとは言えなかった。
ある日、その事件は起こった・・、暴力団(やくざ)同士の抗争で追われた“やくざ”の一人が彼女(妻)が入っている女湯に逃げ込んだのを追いかけてきた“ヤクザ”が得物(ドス)で相手の"ヤクザ"刺したのだ。裸で逃げまどい悲鳴を上げる女性たちの中で、ただ一人湯につかっていたのは彼女(妻)だけだったと言う。泰然自若と言えば聞こえは良いが、世間知らずの天然だけの彼女(妻)であるが、僕にとって、それが愛しくて・・“あなたの子供が欲しい”と言って、その夜、僕の恋人である妻は激しく燃え妊娠した。
(Copilot による合成イメージ)