11月11日(火)
「糖尿病の治療」についての
市民講座を開催しました
日 時 平成26年11月11日 16:00~17:00
テーマ 「糖尿病の治療」
講 師 服部 良之 医師
会 場 佐野市民病院 A棟5階研修室
糖尿病は万病の元といわれています。
2007年の九州大学の研究発表で、糖尿病やその予備軍といわれている人は、そうでない人に比べ、脳梗塞が1.9倍、心筋梗塞が2.1倍、がん死亡が3.1倍、アルツハイマー型認知症が4.6倍、発症のリスクが高いことが明らかになりました。
インスリンとは、膵臓から分泌される血糖値を下げるホルモンです。
糖尿病には、膵臓からのインスリンの分泌不足による場合の1型糖尿病と、肥満などによりインスリンの作用(効果)が出にくい場合の2型糖尿病があります。
日本人の糖尿病患者さんのうち、約9割以上が成人に多い2型糖尿病です。
血糖値が高い状態が続くと、細小血管合併症(網膜症・腎症・神経障害など)及び、動脈硬化性疾患(虚血性心疾患・脳血管障害・閉塞性動脈硬化症など)を発症しやすくなります。
合併症を防ぎ、健康な人と同様のQOLを保つためには生活習慣を改善し、血糖コントロールだけでなく、体重・血圧・コレステロールなどの良好なコントロール状態の維持が大切です。
2型糖尿病の治療薬(インクレチン製剤)
DPP4阻害薬:経口薬
インクレチンとは、食事を摂取すると小腸から分泌され、膵β細胞のインスリン分泌促進作用に関与する主要な消化管ホルモンの総称で、代表的なインクレチンはGLP-1、GIPの2種類です。
ブドウ糖を経口的に投与した場合の方が、静脈(注射)に投与した場合よりも、より多くインスリンが分泌されます。これがインクレチン効果です。
インクレチンは血中で酵素DPP-4により速やかに分解されてしまうため、2型糖尿病患者では、インクレチン効果が低下しており、食後高血糖に深く関与していると言われています。
DPP-4阻害薬は、DPP-4の働きを阻害し、抑制してGLP-1を長く活性化させる効果があり、持続投与しても高血糖の時だけ作用するので低血糖を起こす心配がありません。
GLP-1受容体作動薬:分解されにくいように改良された注射薬
GLP-1には、インスリンを分泌させる作用のほかにも様々な作用があります。
膵臓に対しては、インスリンの分泌を促進させるほかに、血糖値を上げるホルモンであるグルカゴンの分泌を抑制します。
また、摂取した食物の胃からの排出を遅らせる作用や食欲を抑える作用などもあります。
こうした作用に注目して開発されたGLP-1受容体作動薬は、インスリン分泌を促進させ、低血糖をほとんど起こさずに優れた血糖改善効果を示すため、日本人の2型糖尿病患者さんに適した薬剤として期待されています。
今年発売されたばかりのSGLT2阻害薬
尿は腎臓で作られます。
腎臓で最初に作られる原尿は、1日に約180ℓにもなります。
一度原尿が作られた後に水分や栄養分など、体に必要な物質が再び体の中へと再吸収されます。
腎臓で作られた原尿に含まれる糖の再吸収は、主に近位尿細管で行われます。
糖尿病になると、尿中の糖分が増えるため再吸収しきれない糖が尿に混ざり排泄されます。
本来、糖は体に必要な栄養素なので体外に出さないよう、輸送体SGLT2がフル活動し体内に取り込もうとし、その結果、高血糖の状態が繰り返されてしまいます。
SGLT2阻害薬は、このSGLT2に着目、糖の再吸収を抑制し、糖を尿中に残したまま体外へ排泄させる働きをします。
私たちの体は必要な糖が不足すると、体内の脂肪や筋肉から糖を作りだし補おうとします。
糖を補うために脂肪を燃焼させることで体重が減少し、高血圧や高血糖、コレステロール値などにも良い影響を与えていきます。
2型糖尿病は、生活習慣の改善が大切です。
おひとりおひとりの状態により、改善すべき生活習慣や、合う薬も異なります。
専門医師と相談のうえ、ご自身やご家族に適した薬を選択し、医師の指示を守って治療を続けていきましょう。
「糖尿病の治療」についての
市民講座を開催しました
日 時 平成26年11月11日 16:00~17:00
テーマ 「糖尿病の治療」
講 師 服部 良之 医師
会 場 佐野市民病院 A棟5階研修室
糖尿病は万病の元といわれています。
2007年の九州大学の研究発表で、糖尿病やその予備軍といわれている人は、そうでない人に比べ、脳梗塞が1.9倍、心筋梗塞が2.1倍、がん死亡が3.1倍、アルツハイマー型認知症が4.6倍、発症のリスクが高いことが明らかになりました。
インスリンとは、膵臓から分泌される血糖値を下げるホルモンです。
糖尿病には、膵臓からのインスリンの分泌不足による場合の1型糖尿病と、肥満などによりインスリンの作用(効果)が出にくい場合の2型糖尿病があります。
日本人の糖尿病患者さんのうち、約9割以上が成人に多い2型糖尿病です。
血糖値が高い状態が続くと、細小血管合併症(網膜症・腎症・神経障害など)及び、動脈硬化性疾患(虚血性心疾患・脳血管障害・閉塞性動脈硬化症など)を発症しやすくなります。
合併症を防ぎ、健康な人と同様のQOLを保つためには生活習慣を改善し、血糖コントロールだけでなく、体重・血圧・コレステロールなどの良好なコントロール状態の維持が大切です。
2型糖尿病の治療薬(インクレチン製剤)
DPP4阻害薬:経口薬
インクレチンとは、食事を摂取すると小腸から分泌され、膵β細胞のインスリン分泌促進作用に関与する主要な消化管ホルモンの総称で、代表的なインクレチンはGLP-1、GIPの2種類です。
ブドウ糖を経口的に投与した場合の方が、静脈(注射)に投与した場合よりも、より多くインスリンが分泌されます。これがインクレチン効果です。
インクレチンは血中で酵素DPP-4により速やかに分解されてしまうため、2型糖尿病患者では、インクレチン効果が低下しており、食後高血糖に深く関与していると言われています。
DPP-4阻害薬は、DPP-4の働きを阻害し、抑制してGLP-1を長く活性化させる効果があり、持続投与しても高血糖の時だけ作用するので低血糖を起こす心配がありません。
GLP-1受容体作動薬:分解されにくいように改良された注射薬
GLP-1には、インスリンを分泌させる作用のほかにも様々な作用があります。
膵臓に対しては、インスリンの分泌を促進させるほかに、血糖値を上げるホルモンであるグルカゴンの分泌を抑制します。
また、摂取した食物の胃からの排出を遅らせる作用や食欲を抑える作用などもあります。
こうした作用に注目して開発されたGLP-1受容体作動薬は、インスリン分泌を促進させ、低血糖をほとんど起こさずに優れた血糖改善効果を示すため、日本人の2型糖尿病患者さんに適した薬剤として期待されています。
今年発売されたばかりのSGLT2阻害薬
尿は腎臓で作られます。
腎臓で最初に作られる原尿は、1日に約180ℓにもなります。
一度原尿が作られた後に水分や栄養分など、体に必要な物質が再び体の中へと再吸収されます。
腎臓で作られた原尿に含まれる糖の再吸収は、主に近位尿細管で行われます。
糖尿病になると、尿中の糖分が増えるため再吸収しきれない糖が尿に混ざり排泄されます。
本来、糖は体に必要な栄養素なので体外に出さないよう、輸送体SGLT2がフル活動し体内に取り込もうとし、その結果、高血糖の状態が繰り返されてしまいます。
SGLT2阻害薬は、このSGLT2に着目、糖の再吸収を抑制し、糖を尿中に残したまま体外へ排泄させる働きをします。
私たちの体は必要な糖が不足すると、体内の脂肪や筋肉から糖を作りだし補おうとします。
糖を補うために脂肪を燃焼させることで体重が減少し、高血圧や高血糖、コレステロール値などにも良い影響を与えていきます。
2型糖尿病は、生活習慣の改善が大切です。
おひとりおひとりの状態により、改善すべき生活習慣や、合う薬も異なります。
専門医師と相談のうえ、ご自身やご家族に適した薬を選択し、医師の指示を守って治療を続けていきましょう。