日 時 平成22年2月22日
16:00~17:00
テーマ「仮想大腸内視鏡ってどんな検査??」
講 師 柿原 孝典 医師
会 場 佐野市民病院5階研修室
今回のテーマに「仮想」という言葉がありますが、これは「ヴァーチャル」という言葉で訳されたりしますよね。ヴァーチャル?でも内視鏡?一体どんな検査なのか興味がわきます。 この興味深い内容について、柿原先生にお話をいただきました
まず、検査の概要の前に、日本人の死亡原因について教えてもらいました。
現在の日本の死亡原因は、三大疾病が約6割を占めています。
悪性新生物(ガン)30%、心疾患(心筋梗塞)15%、脳血管疾患(脳卒中)15%です。ガンの罹患率は、男性では2人に1人、女性では3人に1人と言われています
ガンの中でも死亡原因となっているのは、
男性 1位 肺ガン 2位 胃ガン 3位 大腸ガン
女性 1位 大腸ガン 2位 肺ガン 3位 胃ガン
胃ガンや子宮ガンの確立は年々減っているにも関わらず、大腸ガンは増え続けているそうです。
大腸ガンが増えている理由としては、食事の欧米化が一番大きいのではないかと先生はおっしゃっていました。そして、胃ガンや子宮ガンが減っている理由は、胃や子宮は定期健診などで、検診が普及して来たからではないかと言われています。それに対して、大腸ガンの検診は、なかなか普及しているとはいい難い状況です。
また、大腸ガンは、症状が現れにくく、症状が現れる頃にはもう進行していたりすることが多いそうです。大腸ガンも10㎜~20㎜以下のものは、進行ガンの可能性が低く、10㎜以下であれば内視鏡下で取り除くことができます。大腸ガンも早期発見すれば、決して怖い病気ではないのです
しかし、大腸ガンの検査は、なかなか大変というイメージがあります。
現在行われている大腸ガン検査は、便潜血検査、注腸検査(バリウム)、下部消化管内視鏡検査(内視鏡カメラ)の3つです。
便潜血検査は、一般的な検査で簡単に行えますが、どの程度のポリープがあるかなど詳細を知ることができません。
注腸検査(バリウム)は、大腸全体像が把握できますが、検査中に様々な体位を必要とするので、体力が必要になります。
下部消化管内視鏡検査(内視鏡カメラ)は、直接大腸を診るので、早期のものはその場で切除できたり、正確な情報がわかります。
そして、最近、新しい大腸検査としてできたのが、仮想大腸内視鏡検査です。
仮想大腸内視鏡検査は、大腸を空気で膨らませて、マルチスライスCTで撮影することで、実際に内視鏡を使わなくても、デジタル処理によって大腸の中をみることが出来る検査です。
実際にカメラを入れているわけではないので、10㎜以下のものは判断が難しいですが、ガンであるかの境目となる10㎜~20㎜のものは90%確認することができます
講義では、実際にデジタル画像化した大腸の画像と大腸ガンが発見された事例を見せてもらいました。
デジタル画像なので、拡大したり、ひっくり返したりと様々な角度からポリープを検証することができます
今回講座を受けて、医療技術の進歩にとても驚かされました。
市民のみなさんも最新の医療技術にとても興味をもたれ、実際の画像を流した時には身を乗り出して画像を見ている方もたくさんいらっしゃいました。
そして、改めて、検診の大切さを知りました。
症状の現れにくい大腸は、早期発見することでガンの進行を防ぐことができます。
日ごろの食事や生活習慣に心がけ、定期的に検診を受けることが大切だと思いました