市民講座

市民講座の内容やお知らせ

市民講座だより 2010年2月号

2010年02月23日 | 市民講座


日 時 平成22年2月22日
16:00~17:00
テーマ「仮想大腸内視鏡ってどんな検査??」
講 師 柿原 孝典 医師
会 場 佐野市民病院5階研修室


 今回のテーマに「仮想」という言葉がありますが、これは「ヴァーチャル」という言葉で訳されたりしますよね。ヴァーチャル?でも内視鏡?一体どんな検査なのか興味がわきます。 この興味深い内容について、柿原先生にお話をいただきました


まず、検査の概要の前に、日本人の死亡原因について教えてもらいました。
現在の日本の死亡原因は、三大疾病が約6割を占めています。
悪性新生物(ガン)30%、心疾患(心筋梗塞)15%、脳血管疾患(脳卒中)15%です。ガンの罹患率は、男性では2人に1人、女性では3人に1人と言われています
ガンの中でも死亡原因となっているのは、
男性 1位 肺ガン 2位 胃ガン  3位 大腸ガン   
女性 1位 大腸ガン 2位 肺ガン 3位 胃ガン 
胃ガンや子宮ガンの確立は年々減っているにも関わらず、大腸ガンは増え続けているそうです。

大腸ガンが増えている理由としては、食事の欧米化が一番大きいのではないかと先生はおっしゃっていました。そして、胃ガンや子宮ガンが減っている理由は、胃や子宮は定期健診などで、検診が普及して来たからではないかと言われています。それに対して、大腸ガンの検診は、なかなか普及しているとはいい難い状況です。
また、大腸ガンは、症状が現れにくく、症状が現れる頃にはもう進行していたりすることが多いそうです。大腸ガンも10㎜~20㎜以下のものは、進行ガンの可能性が低く、10㎜以下であれば内視鏡下で取り除くことができます。大腸ガンも早期発見すれば、決して怖い病気ではないのです

しかし、大腸ガンの検査は、なかなか大変というイメージがあります。

現在行われている大腸ガン検査は、便潜血検査、注腸検査(バリウム)、下部消化管内視鏡検査(内視鏡カメラ)の3つです。
便潜血検査は、一般的な検査で簡単に行えますが、どの程度のポリープがあるかなど詳細を知ることができません。
注腸検査(バリウム)は、大腸全体像が把握できますが、検査中に様々な体位を必要とするので、体力が必要になります。
下部消化管内視鏡検査(内視鏡カメラ)は、直接大腸を診るので、早期のものはその場で切除できたり、正確な情報がわかります。
そして、最近、新しい大腸検査としてできたのが、仮想大腸内視鏡検査です。
仮想大腸内視鏡検査は、大腸を空気で膨らませて、マルチスライスCTで撮影することで、実際に内視鏡を使わなくても、デジタル処理によって大腸の中をみることが出来る検査です。
実際にカメラを入れているわけではないので、10㎜以下のものは判断が難しいですが、ガンであるかの境目となる10㎜~20㎜のものは90%確認することができます

講義では、実際にデジタル画像化した大腸の画像と大腸ガンが発見された事例を見せてもらいました。
デジタル画像なので、拡大したり、ひっくり返したりと様々な角度からポリープを検証することができます

今回講座を受けて、医療技術の進歩にとても驚かされました。
市民のみなさんも最新の医療技術にとても興味をもたれ、実際の画像を流した時には身を乗り出して画像を見ている方もたくさんいらっしゃいました。
そして、改めて、検診の大切さを知りました。
症状の現れにくい大腸は、早期発見することでガンの進行を防ぐことができます。
日ごろの食事や生活習慣に心がけ、定期的に検診を受けることが大切だと思いました


2月の市民講座のお知らせ

2010年02月10日 | 市民講座告知
2月22日に「仮想(バーチャル)大腸内視鏡ってどんな検査?」の市民講座を行います

日時:2月22日(月)16:00~17:00
講師:柿原 孝典 医師
(当院 非常勤放射線医師)
申込期間:2月22日まで
受講料:無料
会場:市民病院 A棟5階研修室
申込方法:地域医療連携室に直接またはお電話
℡0283-62-9024でお申込下さい

大腸の検査は、バリウムを用いた大腸エックス検査と内視鏡で直接大腸の中を診る大腸ファイバー検査が主に行われていました。昨今マルチスライスCTの急速な進化により大腸においてもCTによる検査が可能となり、当院でも検査を実施しています。
受けてみたいけど、どんな検査か不安・・・
そんな方はぜひ講座を受けてみてください。
今回の講座ではこの最新技術についてお話いただく予定です。

たくさんのご参加お待ちしております


市民講座だより 2010年1月号

2010年02月08日 | 市民講座
日時:1月30日(土)
   10:00~11:30
講師:当院 介護福祉士

「らくらく介護~安全な食事介助とは~」の市民講座を行いました

 麻痺などで体が自由に動けなくなると、口の中の動きも弱くなり、食べ物をすり潰したり、飲み込む力が弱くなります。そのため、「ごえん誤嚥」や「ごいん誤飲」などを引き起こし、場合によっては危険な状態に陥ることさえあります。
このような事態を起こさないために、食事に適した体勢や食事の形態を工夫することが大切です。

 講義では、実際に麻痺があると仮定して、ベットでの食事や食事形態の比較などを行いました。
 まず、食べる体勢は、麻痺などがあると体が傾いてしまいがちなので、タオルなどを使って、体が安定するように固定します。

 食事の形態も、それぞれの状態に合わせて「常食」「きざみ食」「ミキサー食」と分けられます。 講義では、実際にそれぞれの食事が用意され、食べ比べを行いました。
 「きざみ食」にすると「常食」とどんな味の違いがあるのだろう??
 「とろみ」のついた味噌汁ってどんな感じだろう??
 介護食を実際に食べる機会はなかなかないので、良い勉強になりました。

 また水分は、そのままではなく“とろみ”をつけることで、むせにくくなります。実際にお茶に“とろみ”をつけて飲んでみました。

次は、食事介助の実践です。
「ベットを起こす時、どうしたら違和感なく行えるのか?」
「ベットをどの角度にしたら、食べやすいのか?」
「口のどの辺に食べ物を置いたら飲み込みやすいのか?」

「ベットを起こすときは、体のずり落ちを防ぐために、足を少し高くして、次に頭を起こす。」
「食べ物は、舌の真ん中に置くと飲み込みやすい。」
実際に介護される側になってみると、今までわからなかったことが見えてきました。

 最後に「あると便利な自助具」として、麻痺のある方でも持ちやすいように、熱で柄の部分が変形するスプーンやピンセットのようにバネのついている箸などを紹介してもらいました。

 今回の講座は、実際に被介護者の立場を経験してみることで、あたらめて気づかされることも多く、実践の中も活発に質問が出されたり、意見を交換できたりととても有意義な講義になったと思います