市民講座

市民講座の内容やお知らせ

4月の市民講座のお知らせ

2013年03月29日 | 市民講座告知

 4月19日(金)

 市民講座 特別講演会
 を開催いたします。     

  テーマ 

 『 iPS細胞由来の網膜細胞移植で視力障がい患者を救えるか? 』


 
  第1部 
      「佐野市民病院の眼科の役割と使命」

      講 師 今井 康久 (いまい やすひさ)医師  
            (医学博士、当院 眼科統括医)

 佐野市民病院の眼科における過去5年間の実績と診療での取り組み、特色を紹介するとともに、将来の展望と治療についてお話します。
 現在、当院に通院中の方、これから眼科を受診しようと考えている方、また目について不安を持っている方は、この機会に参加しましょう!


  第2部 
      「特別講演」

      講 師 杉田 直 (すぎた すなお)医師   
            (神戸理化学研究所 網膜再生医療開発プロジェクト副リーダー、
             当院眼科 元非常勤医師)

 世界中がノーベル賞受賞に驚愕し注目しているiPS細胞。今世紀最大の発見と技術のみならず、日本を救う産業としてまた、世界中の難病患者の希望として期待されています。
 その世界初のiPS細胞の臨床応用が眼科から始まりました。
 その理由はなにか?一体iPS細胞とはなにか?現在、その最前線で活躍している杉田直先生が、その疑問と将来の治療について、わかりやすくお話します。
 『日本が世界に誇るiPS細胞』一緒に勉強しましょう!
        

   日 時 4月19日(金)15:00~17:00

   会 場 佐野市文化会館 小ホール
 
   受講料 無料    

   定 員 300名 (先着で定員になりしだい〆切りになります) 

   申込期間 4月18日(水)

   申込方法 地域医療連携室に直接または電話、メールでお申し込みください。

   電話番号 0283-62-9024(直通)  

   MAIL sanoshiminrenkei@sanoshimin-hp.net


 みなさまのご参加をお待ちしております 

      


 



市民講座だより 2013年3月

2013年03月29日 | 市民講座

 3月26日(火)  
 
 「よくなってきた最近の糖尿病治療について」
 の講座を開催いたしました
         

  日 時 平成25年3月26日(火)16:00~17:00
  テーマ 「よくなってきた最近の糖尿病治療について」 
  講 師 服部 良之 医師 
  会 場 佐野市民病院 A棟5階研修室


 糖尿病とは、体内にとり入れられた栄養素がうまく利用されず、血液中にブドウ糖(血糖)が多くなる状態です。

 糖尿病やその予備軍といわれている人は、そうでない人よりアルツハイマーやがん死亡、心筋梗塞、脳梗塞になる危険性が高いことが九州大学の研究で明らかになりました。(2007年9月2日、朝日新聞)  


 インスリンとは、膵臓から分泌される血糖値を下げるホルモンです。
 糖尿病には、膵臓からのインスリンの分泌不足による場合の1型糖尿病と、肥満などによりインスリンの作用(効果)が出にくいの場合の2型糖尿病があります。
 日本人の糖尿病患者さんのうち、約9割以上が成人に多い2型糖尿病です。


 高血糖状態が長く続くと、動脈硬化や血管がつまったりすることにより、糖尿病細小血管合併症(網膜症、腎症、神経障害) および動脈硬化性疾患(虚血性心疾患、脳血管障害、閉塞性動脈硬化症)などの危険性がでてきます。
 健康な人と変わらない日常生活の質と寿命を確保するためには、血糖、身体、血圧、血清脂質の良好なコントロールにより合併症を抑制することが重要です。

 今回は、血糖をコントロールし、合併症を抑制するための3つの治療法についてのお話でした。

 (1)インクレチン製剤  

 インクレチンとは、食事を摂取すると小腸から分泌され、膵β細胞のインスリン分泌促進作用に関与する主要な消化管ホルモンの総称で、代表的なインクレチンはGLP-1、GIPの2種類です。

 ブドウ糖を経口的に投与した場合の方が、静脈(注射)に投与した場合よりも、より多くインスリンが分泌されます。
 これがインクレチン効果です。
 インクレチンは血中で酵素DPP-4により速やかに分解されてしまうため、2型糖尿病患者では、インクレチン効果が低下しており、食後高血糖に深く関与していると言われています。
 DPP-4阻害薬は、DPP-4の働きを阻害し、抑制してGLP-1を長く活性化させる効果があり、持続投与しても高血糖の時だけ作用するので低血糖を起こす心配がありません。


 (2)インスリン治療(特にBOT療法)  

 今服用している飲み薬を続けながら「持効型(じこうがた)」と呼ばれる、効果が長く続くインスリンを1日1回だけ注射する療法(BOT療法)です。


    持効型溶解インスリンの利点 

  作用持続時間は最長24時間であるため1日1回の注射で治療可能
 
  明らかなピークがないので、低血糖(特に夜間低血糖)の発現リスクが少ない
 
  個体内変動が少なく、再現性が良いため、朝食前の空腹時血糖が安定する
 
  無色透明であるため、撹拌する必要がない
 
  体重増加を抑制する作用が示唆されている(インスリンデテミル)

 BOT療法は早期に、時期を逃さずインスリンを導入し、適切な治療を継続することにより、本来の膵臓の機能が回復してくると、いずれはインスリンが必要なくなる可能性もあるそうです。


 (3)糖質制限食  

 カロリー制限食は、摂取カロリーの超過をなくすことで肥満を改善し、インスリンの効き目をよくするのに対し、糖質制限食は、食後血糖を上げないのでインスリンの必要量が少なく、血糖値を下げるとともに肥満改善の効果があります。

 1日3食のうち、朝・昼に比べ夕食のボリュームが多くなるご家庭が多いのではないでしょうか。
 食後、糖質に変化する炭水化物(ごはん・パン類・麺類)の摂取量を夕食の時だけでも制限するなど工夫することで食後血糖の上昇を抑制しましょう。    

 他に、魚油やオリーブオイルなど良質な油や、食物繊維を多く含む食品、野菜を多く摂取しましょう。 
 糖分が多い果物は、食べ過ぎに気をつけましょう。    

 糖質制限食は体脂肪率が高い人、運動が苦手な人、食後に眠くなることが多い人などにおすすめですが、腎機能が低下している人、やせ型で体脂肪率がかなり低い人には注意が必要です。


 ここでは3つの治療法について簡単にご紹介しましたが、詳細については診察の際、専門医にご確認ください。


 医師に相談して、自分に合う治療法を取り入れてみませんか。

  
 

    

3月の市民講座のお知らせ

2013年03月01日 | 市民講座告知

 3月26日(火)
 市民講座を開催します。

 テーマ

 『 よくなってきた最近の糖尿病治療について ~シリーズ糖尿病 1~ 』
  


 本講座では、糖尿病の3つの治療についてお話しさせていただきます。
 
 (1) インクレチン製剤
 (2) インスリン治療、特にBOT療法
 (3) 糖質制限食

 これらは糖尿病治療を大きく進歩させています。
 糖尿病の治療の基本は変わりませんが、糖尿病の治療は確実に進歩してきています。
 今回は、そのうち現在の糖尿病治療に貢献している3つのことがらをわかりやすくお話しさせていただきます。


  日 時 3月26日(火)16:00~17:00
  
  会 場 佐野市民病院 A棟5階研修室
  
  講 師 服部 良之 (はっとり よしゆき)医師 
     (当院 糖尿病内分泌代謝科部長、日本糖尿病学会 専門医指導医)
  
  受講料 無料
  
  定 員 40名 (先着で定員になりしだい〆切りになります)
  
  申込期間 3月25日(月)まで

  申込方法 地域医療連携室に直接または電話、メールでお申し込みください。
  
  電話番号 0283-62-9024(直通)
  MAIL sanoshiminrenkei@sanoshimin-hp.net

 皆さまのご参加をお待ちしております。
    


市民講座だより 2013年2月

2013年03月01日 | 市民講座

 2月21日(木) 
 「もっと知りたい 漢方薬の話」 
 についての講座を開催しました。 



 日 時 平成25年2月21日(木)16:00~17:00
 テーマ 「もっと知りたい 漢方薬の話」 
 講 師 小野 正弘 先生       
 会 場 佐野市民病院5階研修室


 漢方薬の原料の主な産地は中国です。
中国では予防医学として漢方が広く使われており、症状だけではなくその人の体格、体質、脈拍、舌(舌診)、食生活を含むライフスタイルにも着目し、全体をみて調合されます。

 お料理を作る時に色々な食材を使うように、漢方薬も多種類のものを合わせて煎じたり、細かく砕いたりしまが、旬の季節に収穫したものを使います。

 野菜もそうですが、旬のものとそうでないものは見た目は同じでも栄養価が全く違うのです。

 今回は、1年で最も寒い時期、この季節に多い風邪の症状に効く漢方薬「葛根湯」「桂枝湯」「麻黄湯」などについて勉強しました。



 葛根湯は弥生時代にできたと伝えられていますが、陰と陽の考え方から、体のお腹側が陰、背中側が陽で、病気は背中から入ると思われていたそうです。
 古来、頭痛、発熱、悪寒など風邪のような外邪が人体に侵襲する際、まず太陽がこれを受けるといわれ、この症状のある太陽病について「傷寒論」に詳しく記載されています。

 漢の古代原書「傷寒論」(西暦3世紀初め、日本では弥生時代)には、太陽病の症状を緩和する葛根湯、桂枝湯、麻黄湯についての処方が記されています。
 訳したものをご紹介します。  

  
 太陽病で、項(うなじ)と背中がひどく強ばり、汗がなく、寒さをきらう場合には、葛根湯で主治する。

  葛根湯の処方
   葛根(四両)
   麻黄(三両、節を取り除く)
   桂枝(二両、皮を取り除く)
   芍薬(二両)生姜(三両、切る)
   甘草(二両、炙る)
   大棗(十二個、皮を破る)

 七味のうち、先ず麻黄と葛根を水一斗で煮て、二升を減じ、白い泡沫を除き、残りの薬を入れて、三升に煮詰め、滓をこし去り、一升を温めて服用する。
 蒲団をかけて温かくし、汗ばむ程度に汗をかくようにする。その他の服用法や服用後の注意は桂枝湯のそれと同じである。



 太陽病で、頭痛がし、発熱し、全身と腰部が痛み、関節が痛み、風をきらい、汗がなくて喘(咳)する場合には、麻黄湯で主治する。

   麻黄湯の処方
   麻黄(三両、節を取り除く)
   桂枝(二両、皮を取り除く)
   甘草(一両、炙る)
   杏仁(七十個、皮・胚芽を取り除く)

 四味のうち、先ず麻黄を水九升で煮て、二升を減じ、浮いた泡沫を取り除き、残りの薬を入れて煮直し、二升半に煮詰め、滓をこし去り、温めて八合を服用する。
 蒲団をかけて温かくし、じっとりと汗ばむ程度に汗をかくようにする。粥を啜る必要はない。その他の服用法や服用後の注意は、桂枝湯のそれと同じである。


 ほんの一部しかご紹介できませんが、薬の服用方法だけでなく「蒲団をかけて温かくし」や「汗をかくようにする」などの注意がされていて興味がわきます。

    


 漢方では、普段から体を冷やすことは良くないとされているそうです。

 煎じ薬はあつあつのものをさましながら少しずつ飲むと良いそうですが、その他の漢方薬を服用するときも、水ではなく温かいお湯で飲むとよいそうです。

 漢方薬は飲みにくいイメージがありますが、顆粒や種類によっては錠剤のものもあるそうです。
 興味のある方は、ご相談されてみてはいかがでしょうか。