名古屋、相続税専門税理士の学習ノート

相続、相続税のこと、一緒に考えてみませんか。 メインHPも、ご覧ください。 左下のリンクから入れます。

遺贈について

2020-09-26 11:57:07 | 日記
 手元に中央共同募金会と日本赤十字社の作成した遺贈による寄附を依頼するパンフレットがあります。  遺言書があれば遺産分割協議より優先されます。 また遺言書を書いておけば相続人以外の人や団体へ自由に財産を残せられます。 遺言書でこれらの団体にある財産を遺贈すると記載してもらい、資金援助を求めるのがパンフレットの趣旨です。  基礎控除が下がって相続税のかかる人は増えましたが、やはり恵まれた少数の方々です。 幸せだった人生を振り返り財産の一部を社会にために役立てたいと思うなら、遺贈は有効です。 相続税法でも優遇措置があり、これらの団体への遺贈財産については非課税となっています。

 私の経験でも遺贈ではありませんが、相続人が相続財産の一部の現金を学校法人、大学、日赤、ユニセフ、などへ寄付することがあります。 申告期限までにこれらの団体に寄付すると、その寄付した財産については相続税はかかりません。

自筆証書遺言の保管制度4

2020-09-26 11:00:25 | 日記
 この制度を利用して遺言書を法務局へ預けた後、遺言者は閲覧請求をしてその遺言書の内容を確認することができます。 モニターによる閲覧か遺言書原本の閲覧ができます。 モニターによる閲覧なら全国のどの保管所でも請求できます。 原本の閲覧は、最初に預けた保管所でのみ閲覧請求できます。 閲覧請求ができるのは遺言者本人のみです。  

 法務局へ預けた後、保管の撤回をすることもできます。撤回と自筆証書遺言の効力とは無関係です。 撤回には手数料はかかりません。 遺言書の内容を変更したい場合には保管中の遺言書を撤回して、修正後に再度保管申請する方法か、あるいは撤回せずに新しい遺言書を保管申請する方法があります。

 保管申請時以降に氏名住所が変更になった場合、遺言書保管官にその旨を届け出ます。 全国のどの保管所でも届出ができます。 手数料はかかりません。

 保管制度は7月から始まりましたが、法務省の発表による利用状況は以下のとおりです。
    令和2年7月    遺言書の保管申請 2808件  遺言書の閲覧申請 7件  
    令和2年8月    遺言書の保管信施 2362件  遺言書の閲覧申請 7件
 

自筆証書遺言の保管制度3

2020-09-03 14:56:32 | 日記
 法務局では遺言書作成についての相談には一切応じてもらえないとのことですから、事前に専門家に相談する必要があります。 また、保管手続きは本人が出頭する必要がありますから、介護状態で寝たきりの方はこの制度を利用できません。  本人なりすましを防止するために、顔写真付きの身分証明書の提示が必要になります。(マイナンバーカード等の提示が必要になります。)
 高齢者が財産目録以外の遺言書の文面をすべて自書することはかなりの負担と思われますし、訂正する場合の方法も厳格に決まっています。  そのため法律の専門家である公証人が関与する公正証書遺言を利用したほうが確実だと思います。 手数料は遺言書保管制度の3,900円に比べると高くなりますが、法的な相談もできますし遺言書も作成してもらえます。 相続人に自分の最後のメッセージを伝えるためですから、確実に作成したいものです。

自筆証書遺言の保管制度2

2020-08-31 14:07:45 | 日記
 法務局へ預けた遺言書は、遺言者自身が閲覧の請求をすればモニターによる画像閲覧か原本の閲覧ができます。 モニター閲覧の手数料は1,400円、原本閲覧の手数料は1,700円です。
 また気が変わって遺言書の撤回をしたい場合は、手続きをして遺言書の返還を受けることができます。 遺言者本人による撤回しかできません。 手数料は不要です。
  
 相続発生後、相続人は遺言書の保管状況を文書で問い合わせることができます。 全国どこの遺言書保管所でも問い合わせができます。  もし保管されていれば、別途に遺言書情報証明書の交付請求や遺言書の閲覧請求をして内容の確認をすることになります。 相続人が遺言書情報証明書の交付を受けたり、遺言書の閲覧をすると、遺言書保管所はそれ以外の相続人に対して遺言書保管の通知をします。

自筆証書遺言の保管制度1

2020-08-31 12:49:23 | 日記
 自分で手書きした遺言書(自筆証書遺言)を全国の法務局(遺言書保管所)で保管する制度が、令和2年7月10日から始まりました。  自分で書く自筆証書遺言は相続人に発見されなかったり、相続人に改ざんされるリスクがあるため、そのトラブル防止が目的の制度です。   自筆証書遺言は本人が遺言書の全文(財産目録を除く)、日付及び氏名を自書すれば簡単に書けます。 証人は不要ですし、費用もかかりません。 この長所を生かして「終活を」支援するのが制度の趣旨です。  令和2年7月10日以前に作成した遺言書でも保管申請できます。

 しかし法務局では自筆証書遺言の外形的な確認・・・ つまり全文と日付・氏名が自書されているか、押印があるか、、、をするだけです。  また一定の様式に従った遺言書でないと保管してもらえません。 たとえば四隅の空欄の幅、自書によらない財産目録の作成についてもルールが定められているため、法務局のホームページで確認する必要があります。  それに遺言内容について遺留分侵害があるかどうかの判断はしません。 もし遺留分侵害の内容の遺言書なら相続人間の争いの種になります。  そのため遺留分については事前に税理士等に相談する必要があります。

 保管手続きは遺言者本人が法務局へ行って行う必要があります。 すべて事前予約が必要とされています。 遺言書保管手数料は、1通につき3,900円です。 法務局へ遺言書を預けた事実を家族に伝えておくと、相続開始後にスムーズに手続きができます。

 
 

相続税の調査報告

2020-04-01 14:00:32 | 日記
 名古屋国税局より、平成30事務年度の相続税の調査について発表がありました。

 調査実施対象は、平成28、29年に発生した相続事案が中心で、実地調査件数は1,924件。  そのうち申告漏れがあったのが、1,685件で、非違割合は87.6%です。

 申告漏れ課税価格は538億円、実地調査1件当たり2,798万円となっています。  実地調査1件当たりの追徴税額は530万円となっています。

 申告漏れ財産金額のの内訳は、現金預貯金195億円、有価証券39億円、土地89億円となっています。
 
 仮想隠ぺいがあったとされて重加算税が賦課された件数は、326件となっています。

 最近は、電話や文書(簡易な接触)による申告内容の是正にも力を入れており、簡易な接触件数は1,260件、このうち申告漏れ等が670件となっています。

 無申告事案の実地調査件数は222件、うち申告漏れが222件となっています。

 

配偶者居住権

2020-02-10 11:43:32 | 日記
 4月から「配偶者居住権」の適用が始まります。 以下要点をまとめました。


  被相続人の死亡時に、その所有家屋に無償で住んでいた配偶者が取得できる権利である。
  被相続人と配偶者の同居は、要件ではない。
  遺産分割と遺贈の時に認められる権利であり、贈与は対象外である。
  建物全部について終生にわたり無償で使用できる権利である。従来使っていなかった部屋も使用できる。
  建物所有者は登記義務を負い、新たな建物の所有者にも対抗できる権利である。  
  第三者に譲渡できない。
  建物の改築、増築、第三者に使用収益させる場合は、建物所有者の承認を要する。
  相続時に建物が被相続人と配偶者以外の人との共有の場合、成立しない。
  登記で保護され、終生にわたる権利のため、財産的価値があり相続税の課税財産になる。
  

配偶者居住権の通達9-13の2

2019-07-30 14:20:29 | 日記
配偶者居住権についての通達が公開されました。  相続税法基本通達9-13の2です。  いままで遺産分割で配偶者居住権を配偶者が取得すると結果的に相続税の節税ができるような話がありましたが、通達を見る限り節税になるとは思われません。  

 通達によると、、、、配偶者居住権を取得した配偶者と建物の所有者の合意解除、または配偶者による配偶者居住権の放棄により配偶者居住権が消滅した場合、対価の支払いがなければ原則として建物所有者が配偶者より配偶者居住権の価格に相当する利益を受けたとして贈与税が課税されます。 土地の所有者についても同じ扱いで贈与税が課税されます。

 死亡以外の理由による配偶者居住権の消滅について贈与税課税を明記したものです。

特別寄与料について思うこと

2019-07-23 15:16:17 | 日記
 民法改正で7月1日以降の相続について、特別寄与の制度が適用されるようになった。  相続人以外の親族、つまり6親等以内の血族及び3親等以内の姻族が、無償で生前の被相続人の療養看護や財産の維持増加に寄与して、「特別の寄与」とみとめられると相続人に特別寄与料が請求できるようになった。   「特別の寄与」ですから通常の親族間で期待される程度のものでは認められないだろう。  マスコミでは介護を中心に特別寄与料はとりあげられ、「嫁が義父や義母の介護をした日付、時間、介護内容等を細かくメモしておいて、相続が発生した時にその労賃を請求できる権利」として取り上げられている。  介護にかかりっきりで他に何もできないような状態なら特別の寄与と言えるかもしれないが、家事育児と並行した介護であれば通常期待されるレベルの寄与であり「特別の寄与」と言えないような気もする。   長男のもとへ嫁いだ嫁が、長男の死後も同居する義父、義母の世話や介護、家業の手伝いをしているような状態で、なおかつ子供がいないような状態なら、この特別寄与料を請求することに相続人も異議はないであろう。   しかし、相続人の配偶者が安易にこの権利を行使するのは、遺産分割協議を混乱させる危険があるのではないか。

リバースモーゲージ

2019-03-26 15:31:25 | 日記
 シニア向けのリバースモーゲージ型住宅ローンである「リ・バース60」というローンがあります。  都市銀行から信用金庫まで扱っています。   利用できる人は60歳以上のシニアです。自宅の建て替え、リフォーム、既存住宅ローンの借り換えなどの資金を借りる際に、自宅の土地建物を担保にして資金を借り、借り入れた人が死亡した場合は、担保物件を売却して一括返済する住宅ローンのことです。 担保物件の自宅をを処分しても債務が残る場合には相続人にその債務は引き継がれますが、 銀行によっては「ノンリコース型」も扱っていて、この場合には担保物件を処分してまだ債務が残っていても、相続人は請求を受けません。  借りた人通常は毎月利息のみを返済して、元金は自宅の売却代金で返済するわけです。  
 
 借り入れた人が死亡してから自宅を売却するため相続人の理解が必要です。 また、相続税の特定居住用宅地の特例の適用に当たっては、配偶者が自宅を取得すれば無条件でこの特例が受けれますが、子供が自宅を相続した場合には所有要件や居住要件がありますから、小規模宅地の適用ができなき場合もあると思われます。