名古屋、相続税専門税理士の学習ノート

相続、相続税のこと、一緒に考えてみませんか。 メインHPも、ご覧ください。 左下のリンクから入れます。

民法改正つづき

2019-02-19 14:58:06 | 日記
 民法改正で、遺留分についての扱いも変わります。

 現在の遺留分減殺請求権は、物権的な効力があるため目的となった財産について遺留分権利者と受遺者の共有関係が成立すると言われています。  そのため受遺者が事業を承継したような場合は、遺留分減殺請求をされた受遺者側は資産を自由に処分することができず、事業の継続に支障が出る場合があるといわれています。
 改正により遺留分減殺請求権は原則的に金銭債権とされ、遺留分侵害額に相当する金銭の請求ができるようになります。 

 また遺留分の算定基礎額についても改正があります。  現在、相続人の特別受益については、どんなに昔の贈与でも年数に関係なくすべて相続財産に加算する必要があります。 改正により、相続財産に加算する特別受益は、相続開始前10年以内の贈与に制限されます。  相続人以外の人への贈与については従来通り相続前1年以内のものを加算します。

自筆証書遺言の改正

2018-12-12 14:21:03 | 日記
 民法改正で、自筆証書遺言の様式が緩和されます。 と言っても原則は従来どおりに全文を手書きする必要があります。 ただし本文と財産目録を分けて記載する場合について、財産目録については代筆やパソコン、コピーの添付を認めるようになります。  イメージでは本文には、「財産目録1~3は、相続人Aに相続させる。財産目録4~6は相続人Bに相続させる。」のような感じ記載し、財産目録は純粋に財産だけを1~6まで列挙してあるイメージです。

 法務局での自筆証書遺言の保管サービスも始まりますが、遺言の様式が外見的に整っていれば保管するので、保管されたから有効な瑕疵のない遺言書というわけではありません。 この制度をあまり過信すると、とんだ争いを招きます。  

配偶者居住権

2018-12-08 12:46:10 | 日記
 民法改正で、配偶者居住権という新しい権利ができます。  相続発生時に夫に所有する建物に無償で住んでいた配偶者は、この権利を主張すると、長男や次男がその建物を相続した場合でも、死亡するまでその家屋に無償で住み続けられます。  まだ詳細は不明ですが、自宅の家屋を配偶者居住権と所有権に分けるわけです。  配偶者居住権は権利ですから、遺産分割の対象になります。   この権利ができた経緯は、配偶者が自宅を相続した場合、法定相続分のほとんどが自宅の評価で占められて、預貯金の取り分が少なくなり、老後の生活が脅かされるため、配偶者居住権を創設して、自宅に住み続けられて預貯金も多く取得できるようにしたそうです。   また配偶者居住権は家屋に登記することが義務付けられていますから、第三者に対抗できます。    
 しかし普通の家庭であれば、子供が自宅を相続しても、母親はそこに住み続けます。  配偶者居住権をあえて主張しなくても住み続けられます。   しかし相続人が、後妻と先妻の子の場合には、事情が違います。  先妻の子が自宅を相続した場合、他に居所のない後妻は、配偶者居住権を申し立てれば死ぬまで従来の家屋に住み続けられます。

 配偶者居住権の評価、配偶者居住権の設定された不動産の評価がどうなるのかは未定ですが、大変興味がわきます。 無償使用は評価の世界ではではゼロ評価ですが、配偶者居住権の設定された不動産は価値が下がります。  配偶者居住権の登記された不動産は、事実上売買はできないでしょう。  配偶者の平均余命に応じて評価するみたいですが、複雑になると困ります。

民法改正

2018-09-11 10:03:28 | 日記
7月13日に民法の改正が交付されました。  法律の施行は公布の日から2年以内です。  高齢化社会を背景にして、高齢者の保護が中心になっています。 相続や遺言についての改正事項を調べてみました。


配偶者居住権の創設
  配偶者短期居住権  相続開始時に被相続人所有の家屋に無償で居住していた場合、遺産分割でその家屋の所有者が決まるまでか、相続
            開始日から6月を経過するいずれか遅い日まで、引き続き無償でその家屋を使用できる。
  
  配偶者長期居住権  相続開始時に被相続人所有の家屋に無償で居住していた場合、終身または一定期間、配偶者にその使用を認める
            権利を新設。遺産分割の選択肢として、配偶者に居住権を取得させることができる。


      現行制度では、配偶者が自宅を取得すると、他の財産を取得できない場合があり、生活に困ることがある。 そのため
      自宅を配偶者居住権と所有権(負担付き)に分けて、自宅については配偶者居住権を取得すると住む場所も他の預貯金等
      の財産も取得できるようになります。

持ち戻し免除の意思表示の推定
  婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用の建物又はその敷地の遺贈や贈与がある場合、持ち戻しの免除の意思表示があったと推定。
  遺産分割において、当該居住用不動産の持ち戻し計算を不要にする。(特別受益として扱わない)


      現行制度では遺産の先渡しとして、特別受益としして扱われる。  この改正で、贈与された不動産は相続財産と無関係とな
      り、配偶者はより多くの財産を取得できる。

相続人以外の者の寄与
  相続人以外の親族が、被相続人の療養看護をした場合、一定要件の下で相続人に対して、金銭の支払いを請求できる。
  
      長男の妻などが、長男以外の他の相続人に金銭の請求ができるようになります。
      遺産分割に参加できるわけではありません。

自筆証書遺言の方式緩和
     全文の自書を要求している現行の自筆証書遺言の方式を緩和。 添付する財産目録については、自書でなくてもよいとする。
     パソコンで作成した財産目録、預金通帳や登記事項証明書をコピーして財産目録として添付することができるようになる。
     但し、目録の各頁には、署名押印がいります。

法務局での自筆証書遺言の保管
     自筆証書遺言の法務局での保管サービスが始まります。  相続紛争の防止が目的です。法務省令で定める様式に従った
     もののみが対象です。
     
     保管された遺言書については、検認が不要になります。
    

地積規模の大きな宅地の評価

2018-08-24 15:02:34 | 日記
平成30年から「広大地」にかわり「地積規模の大きな宅地」の評価が導入されました。 広大地の評価とは違い、取り扱いが明確になりました。 角地、間口が広い、旗竿地開発の場所が近くにある等の理由で「広大地」に該当しないとされていた宅地が、「地積規模の大きな宅地」に該当することで減額ができるようになりました。  減額割合は広大地ほどではありませんが、曖昧な基準がなくなり明確な扱いになりました。  面積、地区区分、都市計画、容積率の4基準にすべて当てはまれば適用できるようになりました。

   評価額=路線価 ✖ 奥行価格補正率 ✖ 不整形地補正率などの補正率 ✖ 規模格差補正率 ✖ 面積

 面積     三大都市圏は500㎡以上、三大都市圏以外は1000㎡以上

 地区区分   普通商業併用住宅地区又は、普通住宅地区

 都市計画   市街化調整区域以外、都市計画の工業専用地域以外

 容積率    東京都の特別区 300%未満
        上記以外    400%未満


広大地の判定で頭を痛めていましたが、これからは簡単に判断できそうです。

期間限定の事業承継税制

2018-04-17 09:27:53 | 日記
 従来からある非上場株式の贈与税・相続税の納税猶予が、期間限定で大きく緩和されました。  従来からの制度は、要件が厳しく手続きが複雑で、ほとんど利用する人はいませんでしたが、利用しやすいように期間限定で緩和されます。 但し、従来の制度は廃止されるわけではありません。

   二つの大きな改正点
     1  猶予対象の株式は、従来は全株式の2/3までの上限がありましたがでしたが、これが撤廃されて全株式でもOKとなりま
        す。
        
     2  相続税の猶予割合は、従来は80%で残り20%については納税が必要でしたが、猶予割合は100%になります。

従来は、発行済株式の2/3までの部分の株式で、相続税の猶予割合は80%でしたから、猶予されるのは「2/3 ✖ 80% = 53%」 でした。  2/3の上限撤廃と猶予割合が100%になることで、猶予割合は100%になります。 現金負担ゼロとなります。  まだまだ緩和される点はあります野で、詳細は中小企業庁HPで、御確認ください。

これらの緩和策は10年間の特例措置です。 特例を受けるためには、H30.4.1からH35.3.31までに知事あてに「特例承認計画」提出する必要があります。 これを提出しないと、全く特例措置の適用される可能性はありません。  そして、H30.1.1からH39.12.31までに、贈与か相続で非上場株式を取得すれば、この特例措置が適用できます。   今後10年以内に相続が発生する可能性があるなら、「特例承認計画」は、提出しておくべきです。
     
     

コーヒーブレイク 改正大綱2

2018-02-09 10:09:51 | 日記
 今回の税制改正大綱には、相続税と贈与税の非上場株式の納税猶予の改正もたくさん盛り込まれて、今までは使い勝手が悪いと言われていた納税猶予が、利用しやすくなります。  話が専門的すぎるので、大雑把にまとめました。

 〇従来は相続税、贈与税ともに発行済議決数の2/3までしか納税猶予の適用はありませんでしたが、改正によりこの限度がなくなり全株式について納税猶予が適用可能になります。

 〇従来は相続税については、取得した非上場株式の80%に対応する税額が猶予されていましたが、改正により贈与税と同じ扱いになり非上場株式すべてに対応する税額が猶予されます。

 〇従来は、雇用割合の維持ができないと納税猶予は取り消しでしたが、改正案では雇用確保できなかった理由報告を提出するなどの手続きをすれが、納税猶予を鵜継続できます。

 〇従来は同族関係者と合わせて議決権の過半数を有し、その中で最大の議決権を有するものひとりしか、特例適用後継者になれませんでしたが、改正案では、議決権10%以上をゆうする上位3人まで、特例後継者になれます。


コーヒーブレイク 改正大綱

2018-01-31 14:01:52 | 日記
平成30年の税制大綱案が、発表されました。  資産税関係も重要な改正が見られます。  相続税の節税を考えている方々には、厳しい改正案の用です。

小規模宅地の特定居住用宅地の要件の一つに、生計が別で持ち家のない相続人が適用可能なものがあります。  「被相続人に配偶者がいない」かつ「被相続人が相続開始時に一人暮らしであった」場合は、3年以内に自分や配偶者の所有する家屋に居住したことがない相続人がその宅地を取得すれば、特例が適用できます。  最大330㎡まで80%の評価の減額のできる特例ですから、適用すれば節税効果は絶大です。  そのため、実際は持ち家のある相続人がこの特例を受ける目的で、あらかじめ家屋を子供に贈与したり、、同族法人に売却してそれを賃借して住み続けるなどの行為を事前に行って、「3年以内に持ち家に住んだことがない」状態を作り出し、この特例を受ける脱法行為が、公然と行われてきたそうです。

今回の改正はこれらに網をかぶせる内容です。   

    1、相続開始前3年以内に、その者の3親等内の親族又はその者と特別の関係にある法人が所有する国内にある家屋に居住したこと
      がある者
    2 相続開始時に居住の用に供していた家屋を、過去に所有したことがある者
 
上記の者は、持ち家のない者に係る特定居住用宅地等の対象者から除外されます。  その結果、今までの節税行為は完全に封印されます。


同じく小規模宅地の特例で、貸付事業用宅地の特例があります。 要件に該当すれば200㎡までについて50%の評価減ができる特例です。 この特例も規制の網がかかります。 相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地は、除外されます。

 特定事業用宅地の改正は平成30年4月1日以降の相続から適用されます。
 貸付事業用宅地の改正も同じです。同日前から貸付事業の用に供されているものには適用しないとされています。

詳しくは財務省のHPをご覧ください。

コーヒーブレイク

2017-12-25 12:54:12 | 日記
 12月22日のNHKの「クローズアップ現代プラス」は、銀行による押し売り商法の実態についての報道でした。  放送内容に驚いた方も多いのではないでしょうか。  私も、薄々は感じていましたが、放送された内容には驚きました。  地方銀行のみならず、三大都市銀行でも、この押し売り商法が行われているとのこと。

 金融商品についての知識が乏しく、判断能力の劣っていると認められる高齢者を相手に、投資信託(外貨建投資信託を含む)、保険商品をなどを、相手が求めてもいないのにいろいろ説明して「押し売り」のように販売している実態を、現役銀行員の証言も含めて報道していました。  家族がその後解約を申し入れても、「本人の了解を得て販売した」との理由で、なかなか解約に応じないとのこと。  「金融商品の特性」を理解できない相手にその商品を販売することは、明らかに金融庁の「適合性の原則」を無視した営業姿勢です。

 銀行の営業マンは過大なノルマを背負わされ、販売した金融商品の金額で自分の成績が判断されるので、お金を持っていて金融知識の乏しい高齢者が自然にターゲットになります。  とくにリスクの大きな外貨建商品の販売は、銀行の手数料収入も大きいので、営業マンの営業成績に反映されるポイントも大きいとのことでした。  また銀行が手数料収入を稼ぐために、短期間の間に金融商品を解約をさせ、また新たな金融商品を売りつける、営業方法についても報道されていました。

 金融商品の販売手数料収入は、貸付とは違って、銀行にとってはリスクのない安全な収益源です。  そのため安易な営業になるのかもしれません。  私の知り合いには「銀行員はスーツを着た詐欺師」と言っている人もいますが、「法人としての銀行」「銀行員」のモラルが問われる時代です。

 


相続税対策 9 解約返戻金ゼロの保険

2017-12-12 14:24:02 | 日記
保険商品のなかには、なんらかの節税に使えそうな保険商品があります。  
保険料の支払期間中は保険契約を解約しても解約返戻金の発生しないもの(解約返戻金のない)ものがあります。  例えば、10年間にわたって保険料を年払いするある保険契約したとします。  保険料払い込み中に解約した場合は、解約返戻金はゼロです。 つまり払い込んだ保険料は全く戻ってきません。 この10年の間に保険契約者(保険料負担者)に相続が発生しても解約返戻金はありませんから相続税はかかりません。  その保険を相続人が相続して保険料の払い込みが終わった11年目に解約した場合には、解約返戻金が発生して返ってきます。  このような保険が実際にあります。  保険金額、保険料の払込期間(つまり解約返戻金のゼロの期間)は、任意に選択ができます。  

 〇相続税の評価では、保険事故の発生していない保険は、解約返戻金相当額でで評価します。 契約者が死亡しても、保険事故にはなりませんから、契約は継続していきます。

このような保険を、「保険契約者(保険料負担者)・受取人は父親、 被保険者は長男」で契約します。 その時に保険料払込期間の終期が父親の相続開始後になるように父親の平均余命を考えて保険料払込期間を設定します。  例えば、父親が78歳の時に、被保険者を長男として、保険料の払込期間が15年の保険に入ったとします。 保険料払込期間中の10年後に父親が死亡した場合は、まだ解約返戻金はゼロですから、相続税の課税はありません。  そしてその保険契約を子供が相続し保険料払込の終わった16年後にこの保険を解約すると、払込保険料を上回る解約返戻金を受け取ることができます。   つまり、合法的に払込保険料相当の金額を相続税の課税なしに相続できます。

                               関心のある方は、当事務所にご相談ください