『おこめちゃん物語』
昔々、ある所にお爺さんとお婆さんが住んでおったそうな。
ある日のこと、お爺さんは山に柴刈りに、お婆さんは川に洗濯に行ったそうな。
お婆さんが洗濯物をすすいでいると、上流から「どんぶらこ~どんぶらこ~」と、何故か茶碗が流れて来たそうな。
はて?なぜに茶碗が?
お婆さんはそれを拾い上げました。
茶碗の中には小さな米粒が一つこびり付いておりました。
お婆さんが指ですくうと、どうしたことでしょう、その米粒がいきなり
「ぼくおこめ。ちゃんちゃい!」
と、喋りだしたではありませんか。
腰を抜かしそうなほど驚いたお婆さんですが、冷静を装い、お爺さんの元へ急ぎました。もちろん指に米粒を付けたままで。
喋る米粒をお爺さんに見せると、お爺さんはこともなげに
「うん、これはおこめちゃん」
と、勝手に名前までつけてしまいました。
おこめちゃんはこの老夫婦の元で幸せに暮らすはずでしたが、ある日突然どこからともなく現れた『舌を切られた雀』に、食べられてしまいました。
おこめちゃんは雀に食べられながら思いました。
「そもそも雀って舌あるん?」
と。
でもおこめちゃんは、何を喋っても「ぼくちゃんちゃい」になってしまうので、誰に理解されるでもなく、雀に食べられていました。
おこめ力(リキ)でもがいてもがいて、やっとの思いで雀の口から逃げられそうになりましたが、外に出たのは何故か雀の目ん玉からでした。
たまたまそれを見ていたお婆さんが、
「あれま、これが雀の涙ってやつかい」
と、いいましたとさ。
めでたし。
めでたし。
※このお話しは、昔ある人とのおやすみ前の会話の中で『即興』で作ったお話しを、加筆修正したものです。クレームは受け付けません…ていうか、泣きます(泣)
合言葉は「ぼくちゃんちゃい!」でお願いします。