「たらが なくなりました。」
仕事を終えて、やっと携帯を開けたかと思ったら・・・
母からのメールが届いていた。
昨年、頭に腫瘍が出来て
高齢ということもあり、獣医さんではどうすることも出来なかった。
チャームポイントでもあった
くりっとした、グリーンのきれいな瞳。
腫瘍からの影響か、
片目と鼻から常に膿が出て、段々ふさがっていく。
嫌がるタラを
「大丈夫よ。きれいきれいにしてあげるけんね」と、抱きかかえて
1日に何度も、コットンで拭きながら
とても・・・せつない思いだったな。
蝉の音が響きわたる、ギラギラな太陽の夏。
庭の小さな紅葉の木が、赤く染まった秋。
そして、冷たい風吹く冬。
そんな季節を、この子と再び迎えることが出来るのだろうかと
いつも、そんな思いでいた。
22年という年月。
長いようで、なんだかあっという間だったようにも思える。
ここでは書きつくせない程、たくさんの思い出があって・・・
本当に、とても可愛い子だった。
旅立ちの日の朝。
タラは
いつものベッドから降りて、
冷たい床の上に静かに座っていた。
抱っこして、痩せ細った冷えた体をさすりながら
あったかなベッドへ戻してあげたら
疲れたように眠り始めた。
「じゃ、いってくるけんね。
あったかくしてネムネムしててね」と
タラの首まわりを撫でてあげると、
首を伸ばしてね・・・気持ち良さそうな表情をしていたとよ。
でも。
これが、この子との最後の触れあいだったんだよね。
食事も、水分すらも摂らなくなって
段々、弱っていく姿をみて
もう長くはないのかもしれん・・・と
どこかで覚悟はしていたとよ。
けど、
想像以上に、悲しみは深く
何をしていても・・・
タラのことを思い出して、
涙が溢れてくるとさ。
家に帰ってきても、ふわふわで
あったかなタラの体に
もう、触れることは出来ないんだよね。
寂しいよ。
わたし、立ち直れるとやろうか・・・。
小さな白いつぼに入って帰ってきたタラ。
今は、
よくなついてた、亡き父の傍に寄りそうように
静かに眠っている。
「ありがとうね」 って
笑顔で送りだしてあげなきゃなのかな。
でも、やっぱり寂しいよね。