노래 norae

 노래(歌)
 発音は「ノレ」
 英語で song ですね

 かろやかに歌うように
 一日をはじめたい

『午後8時の訪問者』

2017年08月29日 | 観た映画の感想など




骨のあるヒューマンドラマを観た。


小さな下町の診療所で働く若い女医がヒロイン。

ある日、診療時間が終わって1時間以上過ぎた午後8時に黒人の少女がインターフォンを鳴らす。
切羽詰まった様相がモニター越しに映るが、すでに1時間も過ぎているからとそれを女医は無視する。

「急患ならもっとチャイム鳴らすでしょ!」

一緒にいた若い男性研修医に「あなた患者に寄り添い過ぎよ!」と高圧的な態度で指摘する。


目の前の患者をたまたま見て見ぬふりをした。

この行為が、彼女の医師としての職責に大きな後悔と罪悪感に苛まされる原因となる。







海外映画祭の賞男「少年と自転車」「サンドラの週末」などを手掛けたダルデンヌ兄弟監督による作品ということと
多くの方たちが賞賛している映画なので期待に胸膨らまして観に行ったのだが・・・




ただ展開があまりにも淡々として退屈な映画だった。

もちろん題材として、そしてその表現として秀逸には違いないのだがプロローグからエンドロールまで、
一切音楽を排除して、カメラワークも女医の表情のみを追いかけるだけような手法。

そしてそのヒロインがあまりにも無表情で表現に乏しさを感じたのだが、
彼女が最初から最後までまとっていた何の変哲もないダークな色をしたグレンチェックの厚手のツイードコート。
中に着こんでいる面白くもなんともない単色のセーター。モノトーンのようなどんよりした光と背景・・・

余分なものを排除し主題のみを追いかけた監督の意図が伝わったような気がする。

この映画の英語のタイトルが『The unknown girl』「名もなき少女」とでも訳せばいいのか?
思わず頷いてしまいそうなタイトルだ。


この映画は、あの巨匠ケン・ローチ監督の『わたしはダニエル・ブレイク』でも見られるような
現代ヨーロッパの移民問題や貧困にも触れている。




ヒロインの自責を通して、医師としてというより人間としての誠実さや生真面目さを思い知らされた。

医療人として最も守らなくてはならない「守秘義務」を重んじてた彼女の姿勢にもそれは如実に表されている。



非常に退屈な映画でしたが、いい映画にはちがいない。

『牛丼(特盛)』

2017年08月25日 | おもいつくまま
今日用事があって、この酷暑の中外出した。

時間的に詰まっていたのでランチは通りがかりの、安くて速い某牛丼チェーン店





自販機の前で3名ほど順番を待つ。次が自分の番となったとき前のやつが自販機の前でメニューを決めかねている。

耳にはイヤホン、左手にスマホを握りしめている。どうもオタクっぽい大学生の感じ。
ナイキのキャップはツバが一直線。黒いセルロイドのややきつい目度数の眼鏡。すこし顔がはみ出ている。

ほっぺがプックりしていて赤みがかかっている。ダボダボのTシャツを着ているのだが
ブラジャーをしたほうがいいのではないかと思うくらいオッパイ。
膝までのダブダブのショートパンツにナイキのハイカットシューズ。
お決まりのディバッグ・・・汗に濡れて乾いたのか肩にかけるベルトが塩を吹いている。


(まぁこんな感じ)



なかなか決まらないらしく、右人差し指が自販機のタッチボタンを行ったり来たり・・・・


 「俺は急いでいるのだ・・・早く決めろ」と心の中でつぶやいた。


・・・(約3分経過)


決まらない。

イライライライライラ・・・


「親子どんぶりセット」を押しかけたが人差し指はとまったまま。


 え~い!押すんだ!美味なる「親子どんぶりセット」を押すんだ!


 心で叫んだ。


・・・(さらに2分経過)


 イライライライライライライライライライライライライライラ・・・



 突然後ろから、真っ黒に日焼けしたジャージ姿の体育女子が大声で・・・


「はよせ~~~~や!いつまで迷とぉ~ねん!(神戸弁)」


 その声に驚いたオタク君!「牛丼(特盛)」のボタンをおした。


 「牛丼(特盛)」・・・

何のヒネリも矜持もない・・・ただただ凡庸な「牛丼(特盛)」・・・


もっともポピューラーな定番メニュー「牛丼(特盛)」


泣きそうになった。



おまけにそのオタク君、釣銭を取り損ねて床にばらまいて必死にひらっていた。僕も1~2枚ひらってあげた。

 それにしてもこの長時間かけて選んだのが


再度声を大きく胸を張って言おう!

 「牛丼(特盛)」 






指が震えて自販機に千円札が入らなかった。


牛丼(並盛)ごちそうさまでした。


「ひとつしかない祖国のために」

2017年08月18日 | 少しだけ政治のことなど


特攻や玉砕を美化する、高須克弥のツイートにうんざりしている。






ふと、朝鮮戦争で戦死した北朝鮮の英雄とされる、朝鮮人民軍兵士リスボク(李寿福)を思い出した。

朝鮮戦争が熾烈になった頃、1211高地という軍事戦略上重要拠点となった最激戦地で
敵のトーチカに身体でもって塞いだとされる。

(この高地の奪還戦は映画『ブラザーフット』でも題材となっている)

 彼は戦地に赴くとき、事実かどうかわからないがこんな手記を残しているとされる。

****************

「ひとつしかない祖国のために」

私は解放された朝鮮の青年だ
生命も大切だ 輝かしい明日の希望も大切だ
しかし、私の生命、私の希望、私の幸せ
これは祖国の運命には代えられない
ひとつしかない祖国のために
二つとない生命ではあるが
私の青春をささげること以上に
尊い生命、美しい希望、偉大な幸せが
ほかにあるだろうか!


*****************



非常に情緒豊かで美文に思う。

彼のこの手記が事実であり、それが彼の心情と信条を表しているのなら、
私は彼がとった行動を賞賛するつもりはないが(政治性を排除すれば)全否定されるものでないと思う。

しかしそれは、あくまでも「反戦」という思想根幹の上で語る場合のみ肯定され許されることであるはずなのだ。


上記の彼の手記をもって『一つしかない祖国のために青春も生命も惜しみなくささげた』と美化する人たちがいる。
よくよく見るとそういう人たちは往々にして、
現在の北朝鮮における核開発の正当性を訴える人たちが多いのは否めない感がある。


その人たちは特攻を美化する高須克弥と同じ思想根幹を有していることに気づかされる。


特攻も玉砕もリスボクの犠牲精神も、あくまでも「反戦」を文脈とした過程で語らなくてはならない。

それ以外のところから発せられる美辞は全否定されなければならない。


【台風5号に関する緊急速報】

2017年08月07日 | おもいつくまま
緊急速報です。現在時刻 17:10 神戸市は暴風雨です。


サラリーマン風の男性が強風のなか職場前通過。

左手で必死にバッグを胸に抱え、右手は頭頂部を抑えている。

悲しいことに両サイドの頭髪がめくれ上がって地肌が・・・

走って行って抑えてあげたい。


がんばれ!日本のサラリーマン。

ぷぅん

2017年08月01日 | おもいつくまま

「ねぇ・・・」

「ん?・・・どしたの?」

「訊きたい事あるねんけど・・・」













深夜に一人でARDBEGを傾けながらソファーで、名盤「Porgy and Bess」をアナログレコードで聴いていた。


オートマチックでないプレーヤーのアームが、レコードのエンディングで空回りし
スピーカーから"プツンプツン"とノイズがしていた。





「あぁ・・・少し寝落ちしたな」

ターンテーブルを戻すためソファーから立ち上がろうと体勢を立て直した瞬間「ぷっ」・・・小さな放屁をした。

思い出した。若い日のことを・・・











「ねぇ・・・」

「ん?・・・どしたの?」

「訊きたい事あるねんけど・・・」

「うん、いいよ」

「Kちゃんはへすることある?」

「へ?」

「うん、おなら」

「・・・するよ」

「どんな音するの?」

「えっとね・・・"ぷぅん"って感じかな?」

「か・・・かわいい・・・Kちゃんはおならの音までかわいいんや」

「・・・」

「・・・」











グラスに注いだ、ほろ苦いスコッチを飲み干した。

「アイラのスモーキーフレバーに酔ってしまったのかな。うん、思い出までスモーキーだ・・・」

甘酸っぱい思い出とかすかな香りをソファーに残してベッドに向かった・・・



      屁をこいてもひとり