①出会い

2021-09-26 00:58:19 | 

東京に行きたかった。
ギターを弾きながら歌う人になりたかった。
お店で演奏する人になりたかった。

大学進学の目的はそれだった。 入学一週間目に「宮入恭平」という人に出会い
圧倒された。
その近寄りがたい存在が 自分の中で割と気軽に演奏を観に行き、挨拶出来るる人 
になるまで 約1年掛かった。

観に行く先は ライブハウス。
ライブハウスは 酒を飲む場所。
そして 狭い場所だ。
隣席の観客と、面識はなくても 自然と話をするようになる。
なんなら瓶ビールを注ぎあったりもする。

見に来た演者(お目当て)が一緒なら尚更のことだ。
キミも彼を観に来たのかい?という具合に会話が弾む。
そんな、ライブハウスでの座り心地にも慣れてきた、ある6月。
四谷コタンのボックス席で僕は
その大学の先輩「宮入恭平」の、そのまた「先輩」の近くに
たまたま座ったのだった。

会話の内容は断片的に覚えている。
「好きなミュージシャン?『俺』」
「俺もコタンのオーディション通ったんだ。7月2日が初ライブで・・」など。
だが、彼が発した言葉で一番印象に残ったのは
「俺?二十歳(ハタチ)!」
だった。

二十歳の彼は確かに、十九歳の僕よりは先輩だった。
でも宮入恭平の「先輩」ではなかったのだ。
逆に宮入恭平の「後輩」だったわけで。

考えてみたら本人は 「俺は恭平の先輩で」などと一言も言っていない。
また見た目的にも 決して老けているわけでもなかったのに、
なぜ僕は彼を「先輩の先輩」だと思い込んでしまったのか?
それは、

・・・態度、だと思うな。



続く


#四谷コタン #塩川昇












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