車内でもヤツは肩から降りなかった。素晴らしいバランス感覚ではあるが、どうにも邪魔だ。
しかし降ろしても降ろしても乗ってくる。
その頑固さと根性には恐れ入った。
肩に乗せたまま獣医に到着。
受付の女性がぷすっと笑う。恥ずかしい。
早速診察室にて身体検査をされる子猫。
いきなりケツに体温計という過酷な洗礼だ。
体温計に付着した便で寄生虫などの有無を確認するのだが、
あいにく彼はカンセキに置き土産をしてきたばかりだった。
恩を仇で返す格好の例か。
仕方ないので綿棒を挿入される。切れてしまわないかが心配だ。
しかしまたしてもサンプル採取はできなかった。
相当な快便のご様子だ。
そこで獣医は最終手段をとった。
耳かき状のスプーンで掻き出したのだ。
平然としている子猫もスゴイが、獣医も大変な仕事だとつくづく思う。
帰宅して「いやぁ、今日はスプーンで猫のウンコ掻き出したよ」などと妻に言うのだろうか。
とにかく獣医さんの努力と子猫の強靭な肛門により、めでたく「寄生虫無し」との結果が報告された。
「ゼノン」と名付けられた子猫はその後特に問題もなくすくすくと育ち
大器となるのもそう遠くはないかと思われる。
しかし当初の予想は当たり、やはり変な模様になったのだった。
もうすぐ去勢手術だ。
