松凬からくり帖

松凬さんが73年の人生と吟道50年からの体験や、これから起こるであろう!未体験談を写真と共にお届け!

映画【どん底】を観て、改めて黒澤監督の凄さを知る

2017-10-18 09:33:32 | 日記

  

今から60年前、〈私の中学二年生の時〉昭和32年〈1957〉の作品である

黒澤作品はよく観ている方だけど、監督の凄さを初めて知った感有り

先ず、配役選びの素晴らしさである、これ以上の配役は無いと思われる

特に秀でていたのが「左卜全」だった主役と云って過言でない役柄と演技

全体に映画を観ていると云うより、舞台で芝居を観ている感覚・・まさに黒澤の味

登場人物一人一人が演技を感じさせないのが見事

よく聞く「黒澤組」による作品・・・これだけ一つになれるのだから

長屋のセットも、これ以上の底は無いと云う、まさに【どん底長屋】

 

三船敏郎の後ろに居る三井弘次が助演男優賞  左側に居る、左卜全の味が忘れられない

別にスチール写真が見つかったので左卜全と長屋の大家夫婦、中村雁治郎と山田五十鈴 

話の内容は、長屋の連中のどん底生活を中心に、泥棒の「三船敏郎」、大家の嫁、「山田五十鈴」の絡み

その嫁の妹、「香川京子」に心変わりする三船に焼きもちを焼く山田、そして妹、香川にやつあたり

そんな長屋にふらっと入って来るのが巡礼・嘉平「左卜全」・・・この人物が中心に変わって行く

この人物、どんなに罵られても動じない、どころか何時もニコニコ顔で、連中を諭していく

東野英治郎扮する鋳掛屋・留吉の嫁の死に水をとってやる時なんか左卜全の味全開

泥棒・捨吉〈三船敏郎〉が、かよ〈香川京子〉を必死に口説くのを見守る、嘉平〈左卜全〉

長屋内、左から駕籠かき津軽〈藤田山〉、役者〈藤原釜足〉、遊び人喜三郎〈三井弘治〉、殿様〈千秋実〉

ラストシーン、馬鹿囃子で長屋の連中が踊っている時に「役者が首を吊った」と殿様が知らせに入って来る

一同唖然とする中で、喜三郎が「折角の踊りをぶち壊しやがって」と吐き捨てると・・・

拍子木がカツン、と鳴ったと同時に【終】の文字が出る、ナント唐突な終わり方

この作品について・・・次のようにある

 黒澤作品にしては珍しく、短期間・低予算で作られた作品である

 脚本は二週間で書き上げ、40日間に及ぶ入念なリハーサルを経て、

 3ヶ月の撮影期間で作品を撮り上げている。

 撮影はマルチ・カム方式で行い、3・4台のカメラで

 10分近いシーンを一気に長回しで撮り上げた

面白いのは・・・

 リハーサル中の一日、黒澤は人気落語家をスタジオに招き、

 古今亭志ん生に「粗忽長屋」、古今亭今輔に「馬鹿囃子」を演じさせて

 江戸庶民の生活感を俳優たちに学ばせた

いや~なるほど、この作品に対しての思い入れが伝わって来ますね

最後の最後まで、黒澤作品を堪能させてもらった・・・

明日は「用心棒」で明後日が「蜘蛛巣城」

京都文化博物館のフイルムシアターは最高です


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