2~3年前、NHKハイビジョン番組で「シルクローード:乳香の道」が放映された。サウジアラビアのナジランから東ルートで、リャドを通りバクダッドへの乳香の道を取材班が辿るくだりで、サウジアラビア最大の砂漠;ルブアルハーリー砂漠を横断する過酷な状態で、北上したと言う、ナレイションが出てきた。この砂漠の西端はリャドから続いている、ツワイク山地と呼ばれる断崖脈までである。断崖脈の西は広いワジになっていて、ナジランから来た道はこのワジの上を北上して、アルファウの古代遺跡を通りワジダルサワルを通ってリャドに向かっている。砂漠を横断というのはまったくの嘘で、縁を通過したにすぎない。この砂漠はベドウィンでも横断は無理だとされている。実際現地で調査活動をしたので、このあたり地理には詳しい。NHKに抗議のメールを送ったがなしのつぶてだった。
1年半ほど前に、タイトルの映像が放映された。その中でエチオピア北東部チグレ州の急峻な山上の岩窟教会が映され、教会の説明ののちに「がけとともに生きていたのは人間だけではなかった」という字幕が入り、ゲラダヒヒの映像が3分ほど映された。私は長年ゲラダヒヒの研究をしてきて、1994年、にその分布を調べ、昔は生息していたが、現在は生息していないと結論していたので驚いた。さっそっくこの番組のディレクターの永尾秀樹氏に尋ねた。そうしたら実は番組を面白くするため、1500kmも離れたアジスアベバ近郊の、デブラリバノスの崖で撮ったものをはめ込んだとの返答をえた。NHKでそんなことしたらまずいのではと、クレイムをつけたら、すいませんでしたと謝罪しただけでした。その後再放送がありましたが訂正はなく、まったく前と同じ映像でした。高い料金を取りながら捏造映像を放映し続けるNHK、どうなっているの?次回も捏造番組についてしるすつもりです。
青ナイルの源流だと放映された滝はSiemen山岳国立公園内の滝でSankabarから東に30分ほど行った所にあり、Geech 台地とAmbaras台地の間を西に流れ下るZinbaru 川が台地西端で落ちている滝である。けっして青ナイルには流れていない。この流れは北東に流れタカゼ河に合流する。simenn山岳地帯に降る雨はすべてタカゼ河に入り北東に流れ。スーダンに入り、アトバラ河と名を変えカルツーム(青ナイルと白ナイルの合流点)から100km以上下流でナイルに合流する。ついでに記すと「エジプトはナイルのたまもの」の説明として青アオナイルの上流のエチオピアの雨季に降る多量の雨が、ナイル河の水位を上昇させ、エジプトに肥沃な土壌を運ぶとされるが、実はその水量の半部はタカゼ、アトバラ河が担っている。確かにタナ湖は青ナイルの源流ではなく、幾筋もの流れがタナ湖に流れ込んでいて、100km以上南から流れ込むGilgel Abayの最上流のGish Abayが源流の元だとされている。Abayはエチオピア語で青ナイルのこと