５月１７日
■その昔、ギリシアの天才的な哲学者アリストテレスは中庸を説いた。英語でGolden Meanと言うとわかりやすい。政治に関して言えば、民主ではダメだとわけです。
■ギリシアは１９７０年代に政権を奪ったロシア寄りの政党が労働者階級に甘い汁を吸わせるような政策を実行し、どんどん公務員を増やしていった。そりゃ税収は減る。やがて粉飾決算を行うに至り、国そのものが犯罪者となった。
■ギリシアは欧州各国からその救済措置としての経済支援を受けている。緊縮財政を条件にだが、ギリシア国民はこれに強く反発した。経済的困窮に陥ってまでもまだ甘い汁を吸いたいのか。おそらくはそんなふうに彼らのことを見たくなるかもしれない。しかし、この反発にはギリシアがユーロから離脱することが特に難しくなかった点で矛盾がある。
■アリストテレスの中庸をドゥルーズなら「組み合わせ」と言っただろう。ドゥルーズはドイツの詩人ヘルダーリンが見出したギリシア人とヨーロッパ人の差異について、面白い注釈を与えている。すなわち、ギリシア人に生得的なものはヨーロッパ人によって後天的に身につけあるいは獲得されなければならず、その逆もまた然るべきものであると。
