空中でも自在に動ける様子のリンは、私とクッキーをひっぱるようにして、ひとけの無いマンションの隣の建物の敷地の隅の真上に向かった。
そして、ひと言「下りるよ」と言うと再びリンのからだが青白く光り出し、やがて私とクッキーも包み込む。
そのまま徐々に空中から地面へと下降していくと同時に、身体に重量の重みを感じだした。
足が地面につく。
「はい、もう手をはなしていいよ」
その言 . . . 本文を読む
眼下に見える街並と行き交う人々を呆然と眺めながら、私は自分が息を押し殺すように呼吸を止めてしまっていることに気がついた。
今息をしたら急に体が重たくなって下に落ちてしまうんじゃ無いかと不安になる。
しかし、さすがに苦しくなってきたので恐る恐る息を吸い、そして、ゆっくりと吐いた。
大丈夫、まだ身体は浮いたままだ。
「ねえ、トモヤ、ちょっと強くにぎりすぎ!」
リンに言われて気づい . . . 本文を読む