お父さんに会える歓びに飛び跳ねていたリンは、不意にクルリと身体をこちらに向けて片手を差し出して言った。
「はい!じゃあ、手にぎって!」
「手を?・・・これでいい?」
私は差し出されたリンの小さな手を取る。
「うん、おっけー。あとクッキーのリードも持ってて」
リンは私の反対の手にクッキーのリードの持ち手を渡してきた。
「え、なになに、どういうこと?」
渡しは状況がよく判ら . . . 本文を読む
リンのお父さん。
つまり、私の会社の上司である橋爪部長に会いに行こうと言った私に顔を向けて、リンはしばらく固まっていた。
「…お父さんに…?」
リンは、自身の口に出した言葉に重ねて、大きな目を見開き、驚きの表情をつくった。
「そう!リンちゃんのお父さんに会いに行こうよ!俺、お父さんの住んでいる場所知っているから。行けるんでしょ?び . . . 本文を読む