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酒造コンサルタント白上公久の酒応援談 

日本文化の一翼を担い世界に誇るべき日本酒(清酒)および焼酎の発展を希求し、造り方と美味さの関係を探究する専門家のブログ。

蒸留

2009-07-29 20:55:11 | 焼酎
二次もろみを仕込んで14日目が蒸留です。もろみの日数は発酵が完全に終わっていることを目途に決めます。蒸留方式は単式常圧蒸留です。焼酎の品質は原料、もろみの発酵で決まる部分と蒸留で変わる部分があります。今回製造された焼酎は華やかな香りのする麦らしい風味と甘みのある味に切れのあるものでありました。難しいのは焼酎にクセを付けるというか麦らしさを強調する何かを嫌味にならないよう残すことです。そのためには常圧蒸留が向いています。この後貯蔵に入りますが焼酎に含まれている油分をどのように除去するかで味がまた大いに変化します。焼酎って意外とデリケートなものです。


蒸留前麦焼酎もろみ




焼酎甲類

2009-07-21 17:17:20 | 焼酎
このブログでの焼酎は乙類(本格焼酎)を取り上げることにしているが焼酎甲類についても一言触れたい。なお、焼酎は酒税法では「しようちゆう」で「しょうちゅう」や「焼酎」ではありません。

酒税法第三条
五  蒸留酒類 次に掲げる酒類(その他の発泡性酒類を除く。)をいう。
イ 連続式蒸留しようちゆう
ロ 単式蒸留しようちゆう
ハ ウイスキー
ニ ブランデー
ホ 原料用アルコール
ヘ スピリッツ

焼酎甲類はイの連続式蒸留しようちゆうに分類される酒類である。梅酒の原料としてホワイトリカーという名でも販売されています。

焼酎甲類(以下甲類という)は酒税法の定義にあるように連続式蒸留器で製造され、近代技術が生み出した不純物の非常に少ないアルコールの味しかしないといってもよいピュアーなお酒です。味は甘さと辛さが併存する淡白なものです。また、甲類には悪酔い成分のアセトアルデヒドが除去され非常に少ない(乙類が多いという意味ではない。)のが利点です。

甲類はアルコール分25%のもの4リットルが2000円くらいの最も安価なお酒です。なぜ安いのでしょうか。理由は安価な原料を使い工業的に大量生産され製造コストが安いからです。なにせガソリンの代替燃料にされるくらいです。

甲類の良さは淡白な味にあります。甲類のニュートラルさは焼き肉には最適ではないでしょうか。昔、スキーでくたくたに疲れ、雪野原でジンギスカンをほおばり甲類を飲んだ時の五臓六腑体中にアルコールが浸みわたっていく感覚は今も忘れがたい。高価な酒とはなにか。価値ある酒とはなにか。この経験はお酒の味に関する原点の一つです。

甘い焼酎

2009-07-20 08:53:43 | 焼酎
 しょうちゅうは日本伝統の蒸留酒で本格焼酎とよばれ主に九州、沖縄で生産されています。最近ではそれ以外の地域でも生産されるようになってきました。

 本日は〇〇県の酒造会社で麦焼酎の仕込みに立会ました。外気温は37℃で仕込みには不適当な環境でしたが冷房設備が整っているので仕込み可能なのです。なお、焼酎の仕込みには気温20℃前後が向いています。日本酒の大吟醸酒の仕込みでは最高気温10℃以下が適温です。

 麦焼酎は麦麹と水に酵母を加え1週間発酵させた1次もろみに蒸した麦と水を加えた2次もろみ(本日の仕込み)を2週間ほどアルコール発酵させ、蒸留して造ります。書けば簡単ですが良いものを造るのは結構難しいものです。
 原料麦は地元産の大麦を使用し、麦の風味をしっかり残し甘みと切れのある酒質を目指しています。

 なぜ焼酎が甘いのか。
 焼酎は水とエチルアルコールがほとんどを占め0.1%ほどが高級アルコール、PPMレベルのエステル類等その他多数の成分からなっていです。ブドウ糖のような甘味物質は含まれていないので焼酎の甘さはエチルアルコールによるものと思われます。エチルアルコールは一方で辛く舌を刺激するため、甘くて辛い(熱い)感じがするわけです。
 世の中には甘さをあまり感じさせない焼酎も存在します。理由は微量に含まれている有機酸(酢酸)がアルコールの甘さを消しているからと考えています。甘い焼酎に酢酸は大敵です。酢酸の出所はもちろんもろみです。甘い焼酎を造るにはもろみでいかに酢酸を造らせないようにするかにあります。

 2週間後蒸留に立ち合います。

この記事は7月13日に記述したものです。