SHINWA STAFF BLOG

シンワ会計社の職員がリレー形式で綴ります。

租税教育

2017-08-30 17:43:19 | 日記
税理士が税理士業務を行うことができる法律が税理士法です。
平成26年の税理士法の改正に伴って、各税理士会の会則(規則)税理士が行う租税教育は、正式な事業として位置づけられることになりました。
簡単にいうと、学校(小学校~大学、専門学校まで)に行き、税金の講義をしてください、ということです。

私も税理士会支部の業務として、過去に何度か担当をさせてもらいました。
ちなみに自分が学生の時の記憶を呼び起こすと、当時は税理士による租税教室というものは受けていません。義務教育、中学3年の社会科の授業(公民)で納税の義務を習った記憶がうっすらある程度です。

私は父親が税理士であるため、おそらく同級生よりは税金について触れる機会は多かったと思うのですが、それでもほとんど記憶がないのですから、他の同級生はほとんど覚えていないと思います。

そんな印象に残りにくい、しかも一般的にはネガティブなイメージの強い税金について、いかに興味を持って聞いてもらえるか、生徒さん、学生さんを眠らせないように話ができるかどうか。
税金の計算よりもはるかに難しいミッションです(笑)

さて、その租税教室ですが、実はモデル教材があって、そのうちの一つに国税庁監修のアニメ動画があります。ちなみにこのアニメ動画は公開もされているもので『アナザーワールド』というものです。
たいていの場合には、この動画を組み込んで講義を行うのですが、この動画が私自身なかなか納得のいかないもので・・・。


ざっくり言うと

 ①主人公が給与明細をもらう。
 ②天引きの所得税に関して不平を言いながら赤ちょうちんのお店で酔っぱらう。
 ③謎の男(笑うせぇ○すまんのような風貌):『税金がない世界を望むのか?』
 ④主人公:『税金なんて消えちまぇ~!』と言って椅子から転げ落ちる。
 ⑤朝起きると税金の無い世界に変わっている。
 ⑥学校に行かない(行けない)若者、昼間からアルバイトをしている中学生、穴だらけの道路、清掃が全くされていない街並みを目の当たりにする。
 ⑦たばこの不始末で家が火事になるが、消防車が有料であるため消防車を呼べず自宅が全焼してしまう。

といったストーリーです。


私は正直、これを義務教育の中学生相手に講義を行うことは少し抵抗があります。
というのもこの動画って
『税金を払っていないとこんな怖いことになる。』
というちょっと脅迫めいた内容なんじゃないかな、と。

結局こういった内容だと
『こうなりなくないから税金を払う』
って考えられかねず、これでは税金のネガティブなイメージが全く払しょくされない気がします。

でも本来税金はそういったものではなく、全ての国民が豊かに生活するための財源なんですよね。
そのために、一人一人、一社一社が少しずづ負担し合って、国民が国民を支える、そうあるべきものなんじゃないかと感じます。


昨年参加した全国の税理士が集まるシンポジウムで租税教育について論文を書いている税理士会がありました。発表者の税理士(九州の先生だった気がします。)自身も租税教育に頻繁に行くそうなのですが、絶対にこの教材は使わないと仰っていました。
その発表や、論文そのものもとても共感できるところが多く、大変参考になるものです。

動画の内容にはついては、そんな個人的雑感を持っていますが、租税教育の実施そのものは大いに賛成です。先般の民法改正によって選挙権が18才に引き下げられ、誕生日によっては高校生も投票ができます。
税金の役割(公共的な財源)を知ることで、それが正しく使われているかどうか注目する気持ちを持つ、そうすることで、若いうちからしっかりと選挙に行き、自分の頭で考え、投票することにつながるのではないのかな、と。

租税教室の講義の締めに、『正しい税金の使い道をされるよう、しっかりと考えて投票に行きましょう。』と結ぶ税理士も多いようです。
私も最後にはそのような内容を伝えるようにしています。

税金のネガティブなイメージを払しょくすることは簡単にはできませんが、租税教室を通じていつの日かそれが少しずづ実現されればと願っています。


税理士法人シンワ会計社 K・I


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