吹く風ネット

歯の治療

2001年11月1日の日記です。

 以前ある方の掲示板に
「ぼくは20代の頃から親知らずに穴が開いていたんだけど、治療せずに放っておいたら、何年か前から神経がニョキっと出てきて、米を噛んでも痛い(笑)」と書いたことがあるのだが、反響が凄かった。
「私も親知らず、治療してませーん」というレスも二、三あったが、そのほとんどが
「虫歯を放っておいたら、菌が頭に回るなどして大変なことになりますよ」や
「早く治療して下さい」というものだった。
 しかし、それでもぼくは虫歯のことは気にせずに、今もまだ米を噛む痛みと闘っている。

 そういえば、最後に歯医者に行ったのはいつだったろうか?十何年か前にもう一方の親知らずを抜いたことがあったが、その後の記憶はない。おそらく、それがぼくの20世紀最後の歯医者だっただろう。
 たしかその時、歯が「スッポン」と言って抜けたのを覚えている。医者は、歯を抜いたところにガーゼを詰め、
「今日はこちらで物を噛まないように」と言った。
 しかしぼくはその言葉を忘れて、しっかりとそちらで物を噛んだ。すると何かがガーゼに引っかかり、そのままガーゼが抜け落ち、口の中は血だらけになってしまった。
「困った。どうしよう?」と思い、無意識にポケットの中を探っていると一枚のガムが見つかった。ぼくは血だらけの口でガムを必死に噛み、柔らかくなったのを見計らって、傷跡ににガムを押し込んだ。何とか血は止まった。しかし口の中は気持ち悪かった。

 歯医者といえば、その数年前(20代後半だった)に行った歯医者はちょっと変わっていた。何が変わっていたかというと、そこの助手達である。
 そこには若い女性の助手が4、5人いたのだが、初めてその歯医者に行った時、その中で一番若い子がぼくに付いた。まず、その子が変わっていた。
 ぼくがイスに座ったとたん、その子が
「はい、クチュクチュして下さい」と言うのだ。
「え?」とぼくが言うと、
「早くクチュクチュして」と言う。
『おいおい、“クチュクチュ”ちゃなんか。お前より年上やろうが!子供やないんぞ!』と思いながら、ぼくはクチュクチュした。
「クチュクチュして」の後は、
「はーい、大きなお口開けてー」だった。

 他の助手にも変わった方がいた。治療中に突然
「ねえ、しんたさん。わたしねえ、夫とうまくいってないんよ。離婚しようと思ってるんだけど、どう思う? でもねー、子供もおるしねえ。どうしようか?」と言うのだ。
 こちらは口を開けていて何も答えることは出来ない。それに、見ず知らずのただの患者に、こんな大事なことを打ち明けること自体が間違っている。
 治療が終わるまでの日々、この二人の「クチュクチュ」と「離婚願望」の攻撃が続いた。

 歯の治療が終わって何週間か立ってから、同僚がその歯医者に通いだした。やはり彼も、あの歯医者は変わっていると言っていた。
「人をいくつと思っとるんか!」と憤慨していた。
「そういえば、あの助手二人がしんちゃんのこと言ってたよ」
「何て?」
「しんたさんって変わってますね」
「・・・」
 以来、その歯医者には行ってない。

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