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技術

2023年04月08日 | 過去の日記
2002年4月8日の日記です。

 中学の頃、『技術』という科目があった。大工仕事をさせるものである。
 ぼくはこれが苦手だった。授業を受けるだけなら何とか我慢も出来たのだが、実技ともなるとまったくだめだった。
 その授業で作るものといえば、文鎮やブックエンドといった簡単なものが多かった。しかし、ぼくはこの簡単な作品を、まともに作って提出したことがない。

 まず、先生が提出期限を決める。週2時間ほどの授業だったから、だいたい1ヶ月が目安になる。
 授業の初めに、先生がその日の作業のポイントを説明していく。
 例えば、
「今日はこの板を鋸で切り、かんな掛けまでやることにします。この作業のポイントは・・・」
 などとやるのである。
 こうやって、段階を一つ一つ追って、ひとつの物を完成させていくのだ。

 器用な人は、先生の説明に対しての飲み込みが早く、実に要領よく作業を進めていく。早々とその日の作業を終え、もう次の作業に取り掛かっている。
 先生も、そういう生徒のそばから離れない。そして、
「ここはこうしたほうが、もっと効率よく出来るぞ」などとアドバイスをしている。

 さて、ぼくはというと、最初は真面目に取り組むのであるが、元来の不器用者である。完成のイメージだけはしっかりと思っているのだが、作っている過程で、イメージとかけ離れたものが出来ていくことにもどかしさを感じだす。

 こうなると、俄然作業が面白くなくなり、元来の怠け癖が出てくる。隣の奴をつかまえてしゃべりだす。先生がそれを咎める。ひどい時には呼び出されて、ビンタを食らう。

 それでも面白くないものは面白くない。手がまったく動かない。
 作業を始めて、2週間目で1週遅れとなり、3週間目で2週遅れとなる。みんなが提出する頃には、3週遅れになっている。当然、完成品は出せないのである。

 例えば文鎮。
 この作業は、丸い金属棒の下のほうを真っ平らに削り、上面の中心部にネジ穴を開け、そこにツマミをつけ、色を塗ったらお終いである。
 これを1ヶ月かけて作ったのだが、ぼくが提出したのは、グラグラして安定性に欠け、上面に申し訳程度の穴の開いた、ツマミのない文鎮であった。

 ブックエンドも同じようなものだった。友だちに半分ほど手伝ってもらったが、結局、完成品は出せなかった。

 おかげで筆記試験は並の成績だったが、通知表の点数はあまり良くなく、他の実技科目を合わせたところで最悪の成績となり、親を召喚されることになる。

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