前の記事で、25歳の時にずっと好きだった人のことを断ち切った、と書いたが、実は23歳の時にぼくは今の嫁さんと出会っている。その時の模様を『詩風エッセイ集 赤いエプロン』に書いているのだが、今日の歌は、その詩風エッセイに曲をつけたものだ。
『赤いエプロン』
就職をした頃のこと
職場の掃除をやっていると、
後ろから「すいません」という
小さな声が聞こえた。
振り向くとそこにいたのは、
初めて見る同期の女性。
その時突然ぼくの目に、
浮かんだ一つの映像…
赤いエプロンを着けて、
台所の向こう側で、
笑顔でうなずきながら、
料理している彼女の姿。
その時はただの幻覚と、
気にもとめなかったけれど、
なぜか偶然が重なって、
二人はつきあい始めた。
その後ぼくたちは結ばれ、
二人で生活を始めた。
居間でくつろぐぼくの目に、
映った一つの光景…
赤いエプロンを着けて、
台所の向こう側で、
笑顔でうなずきながら、
料理している彼女の姿。
出会った頃は幻覚と、
気にはしてなかったけれど、
あのとき浮かんだ映像は、
未来の一コマだった。
赤いエプロンを着けて、
台所の向こう側で、
笑顔でうなずきながら、
料理している彼女の姿。
今もぼくたちは二人で、
ありふれた生活をしている。
テーブルのイスにさりげなく、♫
かかる赤いエプロン。
→ ♫赤いエプロン
嫁さんはぼくより5歳下で、出会った頃はまだ18歳だった。すでに大人の歳に達していたぼくは、未成年者と付合う気はさらさらなかった。しかもまだ高校時代に好きだった人のことを諦め切れずにいたのだ。
嫁さんと付合うようになった理由は、帰りの方向が一緒だったので話すようになったのだが、そのやりとりが不思議と自然なのだ。何も気を遣うこともない。とにかく一緒にいることが楽なのだ。さらに、嫁さんの友だちとも馬が合う(これは大事です!)。
おかげで、25歳の頃には高校時代の人のことを断ち切れる状態になっていた。そういう時に高校時代の君の結婚を聞いたのだった。
それからぼくは、嫁さんと付合うようになった。まあ、これが縁というものでしょうね。
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