吹く風ネット

約2時間の闘い

 一昨日は太宰府に行かなかったからと言って、家でボーッとしていたわけではない。実はその日封切りだった映画『イチケイのカラス』を観に行ってきた。
 ドラマをやっている頃からずっと観ていて、映画化されると知り、ぜひ観たいと思っていた作品だ。

 さて、映画が始まり、オープニングのタイトル文字が出た時だった。
「えっ、何で?」
 突然尿意を感じたのだ。トイレは上映開始前にちゃんと行っていたのに・・。

 そこから闘いが始まった。まずトイレに行けるかどうかを確認したが、ぼくの席は二階席中段のど真ん中、両脇には数人の客が座っている。その客の脚と前のイスとの狭い隙間を「すいません。すいません」といちいち謝りながら通り抜けるのを、小心者のぼくは得意としてない。さらに前にも後にも客が座っているから、イスを跨いでの移動もできない。
「これは何とかしなければ・・・」

 そういえば、前に小便を我慢する方法をネットで読んだことがある。そこで確認しようと思ったが、上映中にスマホを操作するのは御法度だ。しかたなく自分の記憶をたどることにした。

「確か、両手で膝を掴むとよかったんじゃなかったか?」
 さっそくそれを実践した。だけど尿意は去らない。やめた。
「あっ、貧乏ゆすりがあった」
 と、脚を軽くゆすってみた。するとズボンのすれる音がした。左脇に座っている人が、チラッとこちらを見た。やめた。
 他にもいくつか思い出したのだが、どれもうまくいかない。というか、その都度オシッコがたまっていくような気がするのだ。

「そうだ。映画に集中していたら、尿意のことを忘れるかもしれない」
 以前同じようなことがあった時、本来やることに集中しているうちに尿意のことを忘れてしまい、無事にその難局を乗り切ったことがある。もうそれにかけるしかない。
 しかしエンドロールが終わるまでの約2時間、ぼくの意識は尿意から離れることはなかった。

 館内が明るくなり横の客がいなくなったのを確認し、ぼくはトイレに向かった。
 トイレに入ると、けっこう多くの人がいた。おそらく、その人たちもトイレを我慢していたのだろう。もしかしたら、館内は体感以上に寒かったのかもしれない。
「今後、映画を見る時は、二階席の一番前か通路横に座ることにしよう」
 そう思いながら、ぼくはトイレから出たのだった。

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コメント一覧

しんた
おはようごさいます
野球観戦の時は気をつけているんですけど、映画はテレビ感覚で見たくなるので、つい欲張った席を取るんですね。
今後気をつけたいです。
西風
おはようございます。
アッハハ〜あるあるですね🙂😄😄
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