今だから話せるが、あたいは若い頃スナックでバイトをしていたことがある。
(もちろん若くて独身で可愛げのあったころだ)
なじみの飲み屋さんで、ママさんに異常に気に入られて仕方なく――だった。
当時そのお店の常連さんには、極道さんというか、そのスジの方々がたくさんいた。
まあ、思えばいろいろあったわな。
店で仲間うちのケンカ――。何度も出くわした。
「てめえ、殺してやる!」と短刀を持った男が登場。
そしてオロオロしながら見守るお客さん、止めに入る店のママ。
しまいには、店の女の子にからみ、その子もおびえて泣きだす始末。
こりゃあ、ちとヤバイな。う~ん。どうするべきか。
(あたいも短刀もってないし、太刀打ちできねえな…)
仕方ない――あの手で行くか。
あたいは勝負に出た。すぐカラオケのマイクを持ちだしスイッチオン。
「お取込み中すいませ~ん。ちょっと1曲歌いますんで。聞いてくださ~い。」
一瞬シーンと静まりかえった。
するとケンカをしていた一人が、
「おねえちゃん、今大事なとこなんだ。なんでオマエが歌うんだよ!」
あたいはピクピクひきつる笑顔で
「いや~、お気持はよくわかります。でも、ほかに楽しんでいるお客さんもいるわけですからね。
あなたたちもお仕事かもしれないけど――こっちも仕事なんでね、悪いけど」
そう言ってすぐ曲をかける。それも大音量で――。
そしてあたいはノリノリで振り付きで歌いはじめた。
すると、曲が突然止まった。
ヤバイ。あの男だ――。
「おい、いいかげんにしろよ。うるせえって言ってるんだよ!オマエ、オレが誰だか知ってるのか?」
さすがのあたいもチビる寸前だった。
しかし、負けてはいられない。こうなったらタイマン勝負だ。
「うるせえのは、アンタだろ~が!お客さんはみんな迷惑してんだよ。
それに、アンタが誰だなんて、知らないし関係ないよ!ただのお客さんだよ。
あたしらにとっては、客はみんな一緒なの!アンタだけ特別じゃないんだよ!」
(あ~あ、言っちゃったよ~。これであたいの人生もジ・エンドだぜ…)
もうその時の空気は今でも忘れない。すごい空気だった。
すると、その男は無気味なくらい静かに店を出て行った。(ホッ)
そして数分後――また帰ってきちゃったよ~!!
「や・や・やばい!今度こそやられる!」と確信したあたいはカウンターの下に隠れた。
その男がツカツカと近づく。そしてあたいを見つける。
「おい、ねえちゃん!ちょっと来いや」
すると手には大きなバラの花束――。
ん?なんだこりゃ。
「おねえちゃんみたいな元気のいいのは初めてだ。
おまえの言うことは間違ってないな。若いのにたいした度胸だ。オレんとこ来るか?」
な・な・なぬ~っ!!??あたいが…でっか?
そりゃあ、もう丁重にお断りしたわよ。(ホントに怖かったんだから)
でも、お花だけはいただいた。(笑)あんなたくさんのバラの花初めてだったから。
そいで、帰ってから気づいたんだけど――
花束の中に万札がたくさん入っていた。その時また少しチビッた。
それ以来、あのお客さんは2度と来なかった。
でも、数年後風の噂でその人が亡くなったと聞いた。
まさに、東映Vシネマ?のワンシーンみたいな出来事だったのだ。
弱冠20歳で、危うく「あねさん」になるとこだった。
(もちろん若くて独身で可愛げのあったころだ)
なじみの飲み屋さんで、ママさんに異常に気に入られて仕方なく――だった。
当時そのお店の常連さんには、極道さんというか、そのスジの方々がたくさんいた。
まあ、思えばいろいろあったわな。
店で仲間うちのケンカ――。何度も出くわした。
「てめえ、殺してやる!」と短刀を持った男が登場。
そしてオロオロしながら見守るお客さん、止めに入る店のママ。
しまいには、店の女の子にからみ、その子もおびえて泣きだす始末。
こりゃあ、ちとヤバイな。う~ん。どうするべきか。
(あたいも短刀もってないし、太刀打ちできねえな…)
仕方ない――あの手で行くか。
あたいは勝負に出た。すぐカラオケのマイクを持ちだしスイッチオン。
「お取込み中すいませ~ん。ちょっと1曲歌いますんで。聞いてくださ~い。」
一瞬シーンと静まりかえった。
するとケンカをしていた一人が、
「おねえちゃん、今大事なとこなんだ。なんでオマエが歌うんだよ!」
あたいはピクピクひきつる笑顔で
「いや~、お気持はよくわかります。でも、ほかに楽しんでいるお客さんもいるわけですからね。
あなたたちもお仕事かもしれないけど――こっちも仕事なんでね、悪いけど」
そう言ってすぐ曲をかける。それも大音量で――。
そしてあたいはノリノリで振り付きで歌いはじめた。
すると、曲が突然止まった。
ヤバイ。あの男だ――。
「おい、いいかげんにしろよ。うるせえって言ってるんだよ!オマエ、オレが誰だか知ってるのか?」
さすがのあたいもチビる寸前だった。
しかし、負けてはいられない。こうなったらタイマン勝負だ。
「うるせえのは、アンタだろ~が!お客さんはみんな迷惑してんだよ。
それに、アンタが誰だなんて、知らないし関係ないよ!ただのお客さんだよ。
あたしらにとっては、客はみんな一緒なの!アンタだけ特別じゃないんだよ!」
(あ~あ、言っちゃったよ~。これであたいの人生もジ・エンドだぜ…)
もうその時の空気は今でも忘れない。すごい空気だった。
すると、その男は無気味なくらい静かに店を出て行った。(ホッ)
そして数分後――また帰ってきちゃったよ~!!
「や・や・やばい!今度こそやられる!」と確信したあたいはカウンターの下に隠れた。
その男がツカツカと近づく。そしてあたいを見つける。
「おい、ねえちゃん!ちょっと来いや」
すると手には大きなバラの花束――。
ん?なんだこりゃ。
「おねえちゃんみたいな元気のいいのは初めてだ。
おまえの言うことは間違ってないな。若いのにたいした度胸だ。オレんとこ来るか?」
な・な・なぬ~っ!!??あたいが…でっか?
そりゃあ、もう丁重にお断りしたわよ。(ホントに怖かったんだから)
でも、お花だけはいただいた。(笑)あんなたくさんのバラの花初めてだったから。
そいで、帰ってから気づいたんだけど――
花束の中に万札がたくさん入っていた。その時また少しチビッた。
それ以来、あのお客さんは2度と来なかった。
でも、数年後風の噂でその人が亡くなったと聞いた。
まさに、東映Vシネマ?のワンシーンみたいな出来事だったのだ。
弱冠20歳で、危うく「あねさん」になるとこだった。