自殺未遂
キャッシュはチャタヌーガ市近くのテネシー川にあるニカジャック洞窟の中にこもるという珍しい方法で、自殺を試みたりもした。
俺は地をはって、地をはって、地をはって、2、3時間もすると懐中電灯の電池がなくなってしまったので、真っ暗やみの中で横になったまま死を待った。明かりが全くないというのはいかにも当時の俺を象徴していた。俺はかつてないほどに神から離れていたからだ。神からはなれているということ、何年間も感じていた深い孤独、それに伴う様々な喪失感は、ここにきてとうとう最高潮に達したようだった。
しかし、それは間違いだった。自分は神から離れてしまったと、俺は思っていたんだが、神は俺から離れてはおられなかった。俺は、何らかの力が自分に臨みはじめているのを感じた。それは全き平安、頭脳の明晰さ、冷静だった。その感覚はしばらく続き、その後、俺の思いは、神にのみ向けられるようになった。
神は、何も語られなかった。神は一度も俺に語られたことはないし、もし、神が語られたら、俺はびっくりしてしまうだろう。しかし、神は時として、俺の心にある感覚を与えたり、またはおそらく、頭に様々な考えを浮かばせて下さることはあるだろうと、俺は信じている。
俺は、ここニカジャック洞窟で、極めて明白で、単純な一つの事実に気がついた。俺は、自分で自分の命を絶つことも出来ない。俺は、神がお定めになった時には、この世を去ることだろうが、それを自分で決めることは出来ないんだ。俺は、洞窟の中で死にたいなどと祈りはしなかったが、そのような祈りをしても、俺の人生に対する神の働きかけがやむわけではないのさ。
その時、キャッシュはどうやって生きて洞窟から出てこられたのか不思議でならなかった。
「あんなに真っ暗で、どっちが上で、どっちが下で、どっちが中で、どこが外かも分からない全く複雑な迷路のような地中深い洞窟、外の世界に出る手がかりもなければ、光も、感覚も失われていて、とても外に出られそうにはなかった。どうすれば、お望みの死から逃れられるのか。答えはなかったが、なんとかせねばという思いはあった。とにかく動かなければならなかった。そこでとにかく俺は体を動かしたんだ。俺は、地をはうようにして、頭を土中に突っ込みながら、それらしき方向に手で土をかいていった。光が見えてきて、やっとのことで、洞窟の開口部が見えてきたんだ。」
キャッシュは、その時の衰弱からは回復したものの、麻薬との悪戦苦闘は続いていた。彼は、「麻薬の使用から逃れられたものの、それは一時的なものだった。一時、何年間もアンフェタミン(覚醒剤の一種)をうたずにすんでいた時期があるが、1967年以降は、使用期間はまちまちだが、アンフェタミンや睡眠薬や処方してもらった鎮痛剤を何度も、取っ替え引っかえ使っていた。」と書いている。
キャッシュはチャタヌーガ市近くのテネシー川にあるニカジャック洞窟の中にこもるという珍しい方法で、自殺を試みたりもした。
俺は地をはって、地をはって、地をはって、2、3時間もすると懐中電灯の電池がなくなってしまったので、真っ暗やみの中で横になったまま死を待った。明かりが全くないというのはいかにも当時の俺を象徴していた。俺はかつてないほどに神から離れていたからだ。神からはなれているということ、何年間も感じていた深い孤独、それに伴う様々な喪失感は、ここにきてとうとう最高潮に達したようだった。
しかし、それは間違いだった。自分は神から離れてしまったと、俺は思っていたんだが、神は俺から離れてはおられなかった。俺は、何らかの力が自分に臨みはじめているのを感じた。それは全き平安、頭脳の明晰さ、冷静だった。その感覚はしばらく続き、その後、俺の思いは、神にのみ向けられるようになった。
神は、何も語られなかった。神は一度も俺に語られたことはないし、もし、神が語られたら、俺はびっくりしてしまうだろう。しかし、神は時として、俺の心にある感覚を与えたり、またはおそらく、頭に様々な考えを浮かばせて下さることはあるだろうと、俺は信じている。
俺は、ここニカジャック洞窟で、極めて明白で、単純な一つの事実に気がついた。俺は、自分で自分の命を絶つことも出来ない。俺は、神がお定めになった時には、この世を去ることだろうが、それを自分で決めることは出来ないんだ。俺は、洞窟の中で死にたいなどと祈りはしなかったが、そのような祈りをしても、俺の人生に対する神の働きかけがやむわけではないのさ。
その時、キャッシュはどうやって生きて洞窟から出てこられたのか不思議でならなかった。
「あんなに真っ暗で、どっちが上で、どっちが下で、どっちが中で、どこが外かも分からない全く複雑な迷路のような地中深い洞窟、外の世界に出る手がかりもなければ、光も、感覚も失われていて、とても外に出られそうにはなかった。どうすれば、お望みの死から逃れられるのか。答えはなかったが、なんとかせねばという思いはあった。とにかく動かなければならなかった。そこでとにかく俺は体を動かしたんだ。俺は、地をはうようにして、頭を土中に突っ込みながら、それらしき方向に手で土をかいていった。光が見えてきて、やっとのことで、洞窟の開口部が見えてきたんだ。」
キャッシュは、その時の衰弱からは回復したものの、麻薬との悪戦苦闘は続いていた。彼は、「麻薬の使用から逃れられたものの、それは一時的なものだった。一時、何年間もアンフェタミン(覚醒剤の一種)をうたずにすんでいた時期があるが、1967年以降は、使用期間はまちまちだが、アンフェタミンや睡眠薬や処方してもらった鎮痛剤を何度も、取っ替え引っかえ使っていた。」と書いている。