◎「海獣の子供」
「一番大切な約束は 言葉では交わさない」
2019年6月7日（金）公開、渡辺歩監督、小西賢一演出、五十嵐大介原作、111分。
安海琉花（cv芦田愛菜）、海（cv石橋陽彩）、空（cv浦上晟周）、アングラード（cv森崎ウィン）、安海正明（cv稲垣吾郎）、安海加奈子（cv蒼井優）、先生（cv渡辺徹）、ジム（cv田中泯）、デデ（cv富司純子）など。
cvが俳優ばかりなこと、主題歌が米津玄師さんなこと等から一般向けのアニメなのでしょう。
稲垣さんなど、下手な人が何人か居ますが、宣伝のためならまあいいでしょう。演技にはうるさくは無い方なこともあってか、全体としては、まあかまわない程度です。
あと、蒼井さんは良いです。実写の方が良いですが。
○ 一言で言えば、つまらなかったです。
序盤と中盤は退屈。山も谷もほとんどない上に、種明かしがされないので、なんのために物事が起きているのか、何のためにウミ（キャラに「海」がいるので、区別するためにカタカナを使っただけです。）や海中生物を見せられているのかが分かりません。
終盤も退屈。山も谷も低い上にどちらかと言うと抽象的な描き方で、分かりにくい上に長めです。
とってつけたような説明台詞で状況は分かりますが、ウミの生物が出演する生命賛歌のイメージビデオみたいな感じ。
描き方は、少なくとも一般向けではないです。少なくとももっと短く出来たと思いますし、その方が多少は分かりやすかったでしょうし、飽きも少ないのでは。
制作者が、見る者を忘れてしまって、あるいは、見る者に価値観を押し付けてしまって、自らの生命賛歌と映像美に自己陶酔している感じです。
人によっては、その映像美と制作者の思いに酔うことが出来るのかもしれませんが。
○ ジュゴンに育てられ、主にウミの中で生活していたようで、皮膚呼吸ができるというか皮膚呼吸ができないと死んでしまうし乾燥に極端に弱いから濡れていないと死んでしまう少年、海と空だとか。
寿命が短いので死期が分かっている少年たちの儚さというのは、絵柄も相まって良い感じでした。
○ 冒頭、夏休み初日のハンドボール部の練習、琉花が部員に怪我させられた仕返しに、より大きな怪我をさせて、先生や他の部員から一方的に非難されて、謝らないなら部活に来なくていいと先生から言われたところは、鬱屈感をあらわしたり、少年2人がいる水族館（父が働いている。）に行くキッカケとして必要でしょう。
両親の仲が悪くて別居しているというのも、鬱屈感をあらわすのにあってもいいでしょう。
・最後に、怪我をさせあった部活仲間にも笑顔を返していたので、謝って仲直りするのでしょう。琉花の成長です。
・ED後、両親が仲直りしていての、出産シーン、琉花が生まれたばかりの赤ん坊のへその緒を切るように母に言われて切るというのも、宇宙の生まれ変わりで琉花が重要な役割を果たしたこと、更に今後も果たすことを示唆しつつ、宇宙や地球の定期的な生まれ変わりと生命のバトンに対応した生命賛歌でしょう。
両方とも簡単に描かれているのは、主題らしきものを邪魔しなくていいです。
【shin】
