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COPPELION(コッペリオン)感想。原発事故で壊滅したらしい東京で戦う、人体実験でつくられた人間の話

 2013年秋アニメの感想の続きです。

◎「COPPELION」(コッペリオン)(全13話)

 政治への皮肉や風刺が少し短絡的なところがマイナスですが、全体としてまずまずのシリアスな物語でした。

 大地震によって原子力発電所か何かが爆発して放射能のようなものに汚染された地域が広がって人が住めなくなった地域に、防護服を着て住んでいる人が多数いて、彼等を探して助けるために遺伝子操作で人工的に作り出されたモノ扱いの高校生(軍事訓練のようなものは受けている。)であるコッペリオン(人形と言った意味の造語。)の成瀬荊(cv戸松遥)、深作葵(cv花澤香菜)、野村タエ子(cv明坂聡美)が活動する物語が中心。

 明確に原発や放射能のことは出ませんでしたが、2011年3月11日の東日本大震災時の東京電力福島原発事故も踏まえ、各方面への皮肉も込めているのだろうと思います。
 (なお、福島原発事故以前から漫画が連載されていてアニメ化も決まっていたようですが、事故でいくらか脚本を変えたのかも知れません。)

 尤も、原発が絶対安全という安全神話なんて、信じた人がバカで無智で無知で無恥なだけであって、そんな人の集まりである国民だから大事故を起すような原発管理しか出来ない政治家や政権・政府を選び続けて来たのであり、半分は原発を誘致し利益を受けてきた県市町村民や賛成してきた国民自身の自業自得でしかないのですけれど、このアニメにはそういう観点も少しはありましたけれど。

 

 いずれにせよ、(政治は政治で反省してもらわないといけませんが、)一般国民がそこからも始めて国民が政治や政治家をきちんと選んでいかないと、原発事故時及びそれ以前のように、原発以外のものでも大事故や大失敗を繰り返しかねないです。



○ 結局、何故に汚染地域に住み続ける人がいるのかが良く分からなかったですし、遺伝子操作の人体実験により生まれたコッペリオン、しかも高校生が活動するなんて、人道的によく認められたものだなと思えたり。

 事故のドサクサで刑務所から脱走した人や、家族から見捨てられた老人ホームの入居者がほとんどのようで、死刑囚なら留まることもあるかと思いますが。

 しかし、18歳の荊が、小さい頃から事故対応の訓練をしてきた18年間を無駄にしたくない旨言っていましたが、だとすると事故は少なくとも20年以上前、コッペリオンの開発には時間がかかるでしょうから30年以上前にあったと考えるのが妥当でしょう。

 尤も、同じくコッペリオンである小津歌音(cv堀江由衣)が、事故対応のためにコッペリオンが開発されたと思うのか?という旨を荊に問いかけたことから、軍事目的とかで開発中だったところに事故が起きたので、事故対応を名目に無理な人体実験を行い、事故後10数年でコッペリオンが高校生の年齢に育ったから活動できるようになったのかも知れません(20年位前に事故が起きたということ。)。


 脱獄したからとしても汚染地域ですから、防護服かクリーンルームのような部屋の中でないと生活できないのですから、子供を生み育てるためにはそこに留まるという選択はどうかと思いますけれど(事故後に汚染地域で生まれた井端未来(cv荒川美穂)は10歳以下に見えます(2話)。)。死刑囚なら考えやすいとは思いますし、死刑囚もいるようですが、未来の両親は死刑囚ではなさそうでしたし。

 食料などは政府に秘密で持ってきてくれる運び屋がいますが、長年にわたってどこからお金が出ているのかは謎だとか。


○ 鉛の壁で汚染地域である広い旧首都(風景からして東京。事故後に首都が別に移った。)を囲っています(それだけ大量の鉛がどこにあったのかは謎。)。画面では数10m、せいぜい100mか200mにしか見えませんが、放射能なら数100mの壁は風に乗って乗り越えますから、空気よりある程度重い汚染物質ということなのでしょう。

 また、白い色なのは分かりやすいように演出しただけでしょうから気にしないとしても、ある程度の幅(かなり狭く見えますが。)のある線を越えると急に危険になったり安全になったりしていることから汚染物質が塊になっているようなので、ある程度の粘度があるものなのでしょう。

 粘度があって空気より重いものというと化学兵器の毒ガスが考えられますが、毒ガスなら鉛の壁にする意味はないです(放射能なら鉛の意味はある。)。

 生物兵器であれば、20年以上も経っていれば、世界のもっと広い範囲に既に広がっているか、血清とかができて既に沈静化しているでしょうし、化学兵器であれば、風で広がれば毒性が薄くなって危険性はなくなりますから20年以上も汚染が続いているとは思えませんし(化学兵器工場が爆発して極めて大量に漏れたのなら、20年では薄くならないかも知れませんが、工場全体をコンクリートとかで固めれば被害の拡大は防げるはず。放射能であれば、コンクリートとかで固めれば被害の拡大はかなり抑えられますが、半減期が長いので既に漏れた放射能の影響は長期に及ぶ。)。

 いずれにせよ、放射能を基本として毒ガスの要素を足したような架空のものが事故でまき散らされたのでしょう。若しくは、放射能のつもりなのでしょう。
 防護服を着ていてもほぼ即死するレベルの汚染地域もあるようですが、放射性物質の種類と量によってはあるでしょうが、事故を起こした原子炉の近くでもないのにそんなレベルの汚染というのも考えにくい気も(コッペリオンの最初の仕事は汚染物質がこれ以上出ることの防止になるはずですから、一番の汚染源(原発本体と思われる。)はコンクリートなどで覆って汚染が広がらないようにしたはず。取り残された人の救出をしているということは、基本的にこれ以上の汚染物質の拡散はないと考えられる。)。

 尤も、外国のステルス機(ステルス機のB2爆撃機(爆弾を積む場所を倉庫に改造してイエローケーキを積んだのでしょう。)なんて、アメリカしか持っていませんけれど。)がイエローケーキと呼ばれる高レベル廃棄物の入ったドラム缶を棄てに来ていたから汚染が収まらない一因の様子でもあり。
 現実世界では、イエローケーキって不純物をある程度除きつつもある程度の不純物が入っているウランの黄色い粉末、つまり放射性物質のことですけどね。


○ 1~2話、3人が人を探しながら、見つけた人達にはそれなりの人間ドラマがありましたが、それ程深い話ではないので、これを1クール見せられても飽きます。
 なので、何か大きな事件でも起きるか、探している間に3人が何かの秘密に触れてしまうのかと思いながら見ました。

 で、事故当時に救援活動をしたものの政府に見捨てられて取り残された自衛隊第一師団と(5話)、人体実験で作られ、いつ突然死してもおかしくないコッペリオンとして生まれたことにより人間を嫌って絶望してトチ狂っている小津歌音と詩音(cv坂本真綾)の小津姉妹(7話)が手を組み、高レベル廃棄物を爆発して汚染物質をまき散らして世界を滅ぼそうと(堀江さんと坂本さんのトチ狂った演技、特に坂本さんのトチ狂った演技が良かったです。)。



 死を恐れない前者と、生きていても仕方ないと諦めている両者、見捨てられたと思っている両者。両者の、人間への恨み。


○ 第一師団にやられた荊は心配停止の重体でしたが、コッペリオンは回復能力がとても高いこともあってか、やっぱり蘇生しました(7話)。でも輸血が必要で、学年ごとに血液型が異なるという設定は良く分からず。学年ごとに異なるということはコッペリオンを作るときに血液型をコントロールできるということですから、であれば全学年同じにした方が誰にでも輸血できるから安心・安全では(これを縦割り行政への皮肉と取るのは難しいと思いますけれど。何か理由があるのでしょうけれど。)。


 総理は、事故から立ち直った日本の存在感を示すための国際会議を滞りなく実施するための警備に人を集中し、汚染地域で産気づいた梶井息吹(cv能登麻美子)を運ぶためのヘリすら出さないというのは政治への皮肉なのでしょうが、コメディでもないのに有り得ないくらい気の小さい総理という設定は、どうかと思います。

 そういう総理しか選んでこなかった国民という皮肉につながっているようには見えなかったですが、そこまで意図しているのでしょうか?

 政治・政治家が国民をリードすることも確かですが、結局、そういう政治・政治家を選ぶのは国民であって、政治・政治家というのは国民が選んだものにしかならないのですけれど。時間はかかっても、国民が政治・政治家を選び続けるしかないのが民主主義なのですけれど。


○ 葵がヘタレ過ぎなのはやり過ぎに思うもののあまり実害はなかったので置くとして、それにしても荊が、3人のリーダーなのにダメ。

 まず、考えていない。歌音などに問いかけられても、分からない、と言うばかり。汚染地域にいる人の救出という命令に従った行動以外は思考停止です。汚染地域の人達の方が事故後はよほど考えていますが、彼等とて事故前は何も考えていませんでしたし、メリットがあると思ったから爆発した設備を受け入れて爆発まではメリットを享受してきたわけですけれど。

 それとも、荊は政府(自衛隊)の一員ですから、現実世界の政治家や役人の象徴のつもりなのでしょうか?

 更に、とにかく甘い。全員を助けようとして、ほとんどを巻き添えにしている感じ。現実世界の政治家や役人は本音では全員を助けることは考えていないでしょうから、この甘さは元通りにしろと言う現実世界の住民の甘さの象徴のつもりであるとともに、現実世界の政治家と役人に全員を救えとのメッセージのつもりなのでしょうか?

 小津姉妹を殺せたときに早々に殺しておけば、第一師団のリーダー格を殺せたときに早々に殺しておけば良かったのに。特に小津姉妹をそうしなかったから、人間を恨んでいるけれど荊と協力して人間を助けているコッペリオンの黒澤遥人(cv鈴村健一)など、何人かが死んだのに(荊と遥人は、内心では好き合っているように見えましたが、どうだろう?)。

 最終13話、荊が殺されそうになったのに、何人かが殺されたのに、荊は小津姉妹も必死になって助けましたし。

 意外なことに小津姉妹も涙を流して礼を言いましたから、この時点では結果オーライですが、再度、小津姉妹が荊達を襲ってきたらどうするつもりだったのでしょう?



 一通り片が付いて、葵がまた3人になったと言って3人で歩いているシーンの後、小津姉妹らしきコッペリオンが荊らの後から付いてくるところは仲間になったと解せます。
 尤も、下半身を後ろから映しているだけの映像であることから(13話ラスト)、いずれ裏切るとも取れますし、別のコッペリオンが3人を狙っているとも取れますし、少し迷うところ。せめて全身を後ろから映してくれれば、仲間になると積極的に解せたのですが。


【shin】

コメント一覧

shin{流れ星}
http://yaplog.jp/shin99shin/
>のねむさん
 シリアス系のこういう雰囲気は比較的好きですし、好きな声優も多かったのでまずまず楽しみましたが、物語自体は雑でダメですよね。
 ツッコミどころが多くて、敢えてそこを楽しんだという前向きな対応をした、といったところです(笑)。
のねむ
まったくもってそのとおりですね。見もせずに批判してもあれだと思ったので全話みましたけども、ストーリー性にしてもキャラ設定にしても甘すぎますね。こうゆうこと言うと「じゃあお前が作ってみろよ」とかいうお子様が出てくるので面倒くさいのですが、この程度の作品でアニメ化できると思うと日本のアニメ界も先が見えてきますね。

最近のラノベからのアニメ化という流れは何とかならんものですかね。
1クールではまりきらずに無理やりな設定というものはありますけど1クールでここまで内容が薄いのも珍しいですね。

主人公がこんなにもむかつくのもヒロインとして好きになれるキャラがいないのもどうでしょう。

すべてにおいてご都合主義が半端じゃないですね。
最終話なんてどこに力が残ってたのか。爆弾投げつけ、人助け使用とする力があるくせにその一瞬前にもう疲れたよとか。

全話みたうえで時間の無駄だったなとおもった久しいアニメでした。

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