思い付きブログ

WHITE ALBUM2感想。互いを思いやる気持ちと高校生らしい甘さが全て裏目に出て青春がこじれた三角関係の重さと、3人の感情の流れが良い

 2013年秋アニメの感想の続きです。

◎「WHITE ALBUM2」(全13話)

 同い年や年の近い男女間の友情が成立するのかと言うと、友情は簡単ではないが一応可能、親友は不可能ではないが難しい、と私は思います(ここでの友情の定義は、昨今の若者が「親友」と呼んでいるものに該当するのかも知れません。)。



○ 1話冒頭、文化祭で、北原春希(cv水島大宙)、小木曽雪菜(おぎそ せつな)(cv米澤円)、冬馬かずさ(cv生天目仁美)の3人で演奏する中、「俺達3人が、本当に3人でいられた、最後の瞬間。」と春希の回想。最終13話のシーンを少し見せながら。

 この冒頭からして、ドロドロした三角関係になりそうでした。たまにはこういうのは良いですし、良かったです。

 WA2は高校3年生ですが、「WHITE ALBUM」(2009年)はもう少しだけ大人の19歳であり、ダメ男でありで、もっとドロドロしたかなり重い話で見るのが少しきつかったですが(再放送で見ました。)、少なくとも今の気分にはWA2くらいの重さが丁度良い気がします


○ 春希は かずさ が好きなのに、かずさ も春希が好きなのに、雪菜もそれを分かっていたのに(文化祭直後に、かずさ が眠っている春希に口付けするところを目撃したなどにより。)、文化祭直後に春希に告白する雪菜というのは責められないですし、かずさ の気持ちに気付いていない春希ですから雪菜にOKすることを、少し責めたくはなりますが強くは責めにくいですし。

 冬の温泉旅行も何もかも、何かと3人でいたがる雪菜というのは かずさ への申し訳なさと、親友だと思っているから単に仲良くしたいのでしょうし(13話で、初めての一生モノの友達、と かずさ のことを思っている。)、少し遠慮がちで避けたがる かずさ というのは2人の付き合っている姿を見たくないという当たり前の感情でしょうし、春希の近くにいたいという当たり前の感情でしょうし、雪菜を親友だと思っているからでしょうし(不倶戴天の敵か生涯の大親友くらいにしかなれそうにない、と雪菜を評している。)。

 3人の感情を余り激しく描かなかったのはリアリティを出すためでもあるのでしょうし、それぞれが我慢をしていることを表しているのでしょうし、それでも最終13話に向けて少しずつ感情を出していき、最終話で全てを描くために取って置いたのでもあるのでしょうし。
 また、現実世界の普通の人は、人前でも1人でも、それ程取り乱したりはしませんし。

 このあたりの、静けさの中に潜む感情と抑えきれなくなった感情と、それでも抑えた感情の流れも良かったです。


○ 最終話、成田空港に向かう電車内で、 かずさ が好きでHしたことを聞いて、雪菜が春希に、雪菜は2人が思い合っていると分かっていたのに「私も春希くんのこと、裏切ってたんだから。私が春希くんに告白したのはね、どうしてもあなたと恋人同士になりたかったから、じゃ、ないんだよ。ただ、ずっと3人でいたかったから。私を仲間外れにしてほしくなかったから。」「かずさほど、真剣じゃ、なかったよ。」と言ったのは嘘だと直ぐに分かりましたが、「そうやって俺をかばうの、やめてくれよ。」と春希は言っており、春希も気付いたようです。

 雪菜の優しさあふれるかのようなこのシーン、実は雪菜もかなり残酷です。
 嘘とばれたので。
 図らずも、そういう優しい雪菜を捨てて かずさ に向かいにくくしています。



○ 空港で互いを見つけてしまい、ためらいながらも我慢できずに駆け寄って抱き合い口づけし合う2人。1話から積み上げてきた、雪菜が見ているからダメだと思いつつ止められない かずさ の感情の流れも良かったですし、その2人を見て、立ち尽くしつつ、春希との思い出が走馬灯のように駆け巡りつつ、「そんなわけ、ないじゃない。」と思って大粒の涙を流す雪菜の感情の流れも良かったですし。


 雪の中、ピアノ留学に旅立つ かずさ の飛行機を見ながら立ち去ろうとしない春希に、自分の心が凍えないように、と言って(思って?)背後から抱きつく雪菜というのは、雪菜は春希を諦められないし、春希は かずさ を諦められないし、かずさ は春希を諦められないし、春希はどちらかを選べないということであり、もう少し大人になりながら、もっとドロドロした三角関係が続くのでしょうね。

 
 春希を置いて毅然と立ち去る雪菜であれば、春希と かずさ が結ばれる未来を想像できますからハッピーエンドであり、悪者は春希だけになるとも言えますが、それを雪菜に求めるのは酷ですし、雪菜はそうするようには描かれては来なかったですし。


 1話冒頭で歌うところを描かなかった、文化祭で歌った最後の曲の「届かない恋」を最終話EDにしています。
 雪菜の気持ちを表していて良かったです。
 「今もこの恋は 動き出せない」のところとか、イロイロ。


 
○ 明らかに かずさ の方を好きなのに2人から選べない春希も2人に対して残酷ですし、かずさ が好きだから雪菜を実はきちんと見ていなかった春希も雪菜に対して残酷ですし、かずさ の旅立ち直前に春希が思いを告げるのは かずさ に対して残酷ですし、かずさ が春希を好きだと知っているのに3人でいようとする雪菜も春希と かずさ、特に かずさ に対して残酷ですし、子供らしい残酷さです。

 かずさ だけが被害者に見えますが、一番罪が軽いのは確かですが、雪菜に遠慮して春希に思いを伝えなかったことは良いとしても、だったら最後まで伝えずに去らなければいけなかったですし、思いを抑えなければいけなかったわけで、春希が告白してきたから仕方なかったとは言え、旅立ち直前に春希に伝えるなんて、春希と雪菜に対して残酷ですし。

 なので3人とも責めることは出来るのですが、春希を一番責めることも出来るのですが、しかし、春希が選べないように仕向けたのは雪菜ですから雪菜を一番責めることも出来るのですが、かずさ が一番罪が軽いことは確かですが、しかし、3人とも互いを思いやっているつもりなのに、やることなすこと全て裏目に出ている面もあるので、3人とも中途半端に優しくて中途半端に利己的なところはとても人間的でもあり、子供らしい純粋さ無邪気さ(特に雪菜。)が子供らしい残酷さにつながっただけでもあり、つまり、何かが少しずつズレてしまっただけであり、高校生ですし、3人とも責めるのは可哀想にも思い

 青春がこじれただけと言えばそれまでですが、このこじれは中々ほどけないでしょうね。


 (ただ、物語に感情移入できなかった人は、春希を強く責めるのでしょうね。それはそれで十分あり得る自然な感情だと思います。)


 しかも最終話の終わり方、3人に救いがあるように思えないんですよね。
 誰が誰を選んでも選ばなくても、誰も幸せになれない状態、です。
 (コメディなら幸せになれる物語にしやすいですが、シリアスなのでそういう物語にしにくい。)


 次があるのかは知りませんが、次の方が見るのが辛そうですが、あれば良いなと思います。


【shin】
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「  アニメ2013年感想等」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事