お話

日々思いついた「お話」を思いついたまま書く

持病克服

2020年11月08日 | 怪談
1

 オレには持病がある。
 信じてもらえないかもしれないが、満月の夜に狼男になっちまうって病気、狼男病なんだ。
 満月の夜になると、月明りの下、物は壊す、人に危害を加える、揚句にはあちこちで遠吠えをしていると言う始末だ。
 何とも恐ろしくて恥ずかしい。
 そこでオレは完治させるべく、行動に出た。

 オレは散々調べ回って、ある秘密のルートで特別な薬を手に入れた。
 高額な薬だったが、効果は抜群との話だ。
 これを自分に投与すれば、狼男から解放される。
 オレは喜びに打ち震えながら、薬を使った。

 結果、オレの狼男病は完治した。
 しかし、薬には副作用ってものがある。
 この薬にもあったんだ。

 オレは満月の夜になると、月明りの下、上半身を裸にして膨らんだ腹をぽんぽこぽんぽこ叩くようになっちまったんだ。


2

 わたしには持病があるの。
 わたしを見た人を石に変えてしまうって言う、メデューサ病なのよね。
 この病の特徴は、髪の毛が毒蛇に変わってしまうこと。
 その毒蛇を見たわたしの周りの人は、みんな石になっちゃう。
 だから外にも出られなかったわ。
 髪の毛が毒蛇になるのって、突然だし周期も決まっていなから、わたしにはどうしようもないわ。
 でも、なんとかしなくちゃね。

 わたしは髪の毛を剃り落すことにしたわ。
 だって、髪の毛が無ければ毒蛇なんか出て来ないもの。
 いつ発症するかって不安になるよりずっと良いわ。

 わたしはつるつるの頭にしたわ。
 ちょっと恥ずかしいけれど、病気よりはマシよね。
 必要なら鬘を被ればいいもの。

 わたしは鬘を被って外へ出掛けるようになったわ。
 病気を気にしないでいられるって、幸せだわ。

 でもね、病気は進行していたのよね。

 今度は、わたし自身が毒蛇になっちゃって、道行く人をみんな石にしちゃったの。
 
 

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