初めて下馬福祉工房を訪れてくださるボランティアさんや介護等体験の学生さんに向けて、初めての出会いに向けての参考になれば、と資料を添付しました。
長文ですが、どうぞご覧ください。
[下馬福祉工房について]
・知的障害のある35名ほどの方が働きに通う場所です。
・それぞれの働く力に応じて作業に取り組んでいます。給料日には、仲間と一緒に買い物に出かけ、月に一度お茶会の予定を立てたり、社会参加を大事にしています。
[知的障害について]
・何らかの要因による「脳機能の障害」です。以前は「障害は治すもの」という考えで、本人の努力で社会に合わせることが求められていましたが、現在は社会の側が障害のある方の過ごしやすさに合わせる「バリアフリー・共生社会」の考えが主流となっています。障害のある方々が過ごしやすい社会を作ることは、私たちにとっても過ごしやすい社会を作ることになる、というのが「共生社会」の考え方です。
・知的障害とは論理的にものごとを考えることが難しく、分かる力が障害されているということです。そのため自分の思いを上手く伝えられないことが多いです。ただその大変さが、周りからは見えにくく、理解されないというつらさがあります。けれども感じる力=感性は何も障害されていません。私たちと同じです。
[障害のある方との初めての関わりについて、基本的な姿勢をまとめました]
はじめは―《普通に関わる》
1.はじめはどうぞ見守ってください
誰でも、関係が出来るまでの時間経過は個人差が大きいものです。すぐに馴染める方、なかなか糸口がつかめない方、様々です。お互いがそうなのです。関係を作ることを急がずに、まずは見守りながら相手を知ることが大事な時もあります。
2.自分の常識を大事にしてください
お互いの気心が知れるまでは、自分の常識的な感覚で付き合ってください。障害に関わらず、一般的な気配りがあれば、相手も安心して関わることが出来ます。また、ボランティアだから、と気構えると、自分が困った事も表に出していけないのでは、と考えてしまうこともあります。これは変だな、何でだろう?と、自分の常識と照らし合わせて考えることは大事です。なぜ?と思うことから障害理解が始まるからです。
3.肯定的、共感的に話を聞いてください
「そうなんだ」という共感、こちらの思っていることと違っても「それは…ということなんだね」と、まずは肯定的に受け止めると、相手に「分かってくれた」という安心感が生まれるように思います。
4.“あいうえお”の実践
「あ」はあいさつ―出会いのあいさつは気持ちのいい関係の始まり。
「い」はいたわり―「そうだよね、大変だったね」との共感、この一言でホッとできる関係に。
「う」はうなずき―聞き役になってのうなずきは「あなたのことを気にかけています」のサイン。
「え」は笑顔―笑顔は何よりの励ましです。こちらの気持ちがよく伝わります。
「お」は応援―声を出して励ますこと。「がんばれ!」よりも「がんばっているね」はその人を肯定する言葉になります。
何より言葉に出すことで、感情や思いが伝わります。“あいうえお”は対人援助の基本です。
気心が知れて来たら―《相手の気持ちを尊重する》
1.彼らの気持ちに沿って過ごしてください
私たちは指示する立場ではなく、応援する立場です。まずは彼らの気持ちに沿ってものごとを進めてください。もし対応に困ったら「~さんに相談しますね」と伝えて、職員に相談してください。当然、専門性が必要な時もありますから。
2.考えが行き違った時は「私ことば」で話してください
「これは困るな」「そんな風にしてほしくない」という場面がある時に、ボラだから受け入れなければ、と考えずに、出来れば「私は…と思う」「私はそういうことは嫌だな」と自分の気持ちとして伝えてください。無視するように離れるより「私ことば」で間合いをとる方が、相手も受け入れやすいのです。
3.大人として付き合ってください
彼らは経験の浅さから、振る舞いや関わりが幼く見えることもあります。私たちはそれも親しみやすさの一つとして捉えています。一方でどんなに振る舞いが幼くても、その人なりの歴史を歩んできた大人として自信やプライドを持っています。呼び方や関わり方など子供扱いせず大人として尊重して付き合って下さい。私たちの「尊重する関わり」が彼らの大人としての歩みを支えます。
4.かしこまらないで、ざっくばらんに付き合ってください
上手く付き合おうとする必要はありません。疑問が生まれた時、アッと思った時に気付くものが段々と出てきます。上手く付き合えない時は「分かってあげられなくてごめんね」の気持ちがあればいいのです。気持ちよく関わり、「会えてよかった」とお互いが思えるような時間を過ごしてもらえれば何よりです。
5.最後に
出会いで感じたことをどうぞ周りの方に伝えてください。それが障害理解の一助となります。ただし利用者さんも一般の社会で過ごす方々です。施設で知り得た情報を、個人が特定されるような内容で発信、または使用されることのないようご注意ください。
それでは、どうぞお待ちしております。
長文ですが、どうぞご覧ください。
[下馬福祉工房について]
・知的障害のある35名ほどの方が働きに通う場所です。
・それぞれの働く力に応じて作業に取り組んでいます。給料日には、仲間と一緒に買い物に出かけ、月に一度お茶会の予定を立てたり、社会参加を大事にしています。
[知的障害について]
・何らかの要因による「脳機能の障害」です。以前は「障害は治すもの」という考えで、本人の努力で社会に合わせることが求められていましたが、現在は社会の側が障害のある方の過ごしやすさに合わせる「バリアフリー・共生社会」の考えが主流となっています。障害のある方々が過ごしやすい社会を作ることは、私たちにとっても過ごしやすい社会を作ることになる、というのが「共生社会」の考え方です。
・知的障害とは論理的にものごとを考えることが難しく、分かる力が障害されているということです。そのため自分の思いを上手く伝えられないことが多いです。ただその大変さが、周りからは見えにくく、理解されないというつらさがあります。けれども感じる力=感性は何も障害されていません。私たちと同じです。
[障害のある方との初めての関わりについて、基本的な姿勢をまとめました]
はじめは―《普通に関わる》
1.はじめはどうぞ見守ってください
誰でも、関係が出来るまでの時間経過は個人差が大きいものです。すぐに馴染める方、なかなか糸口がつかめない方、様々です。お互いがそうなのです。関係を作ることを急がずに、まずは見守りながら相手を知ることが大事な時もあります。
2.自分の常識を大事にしてください
お互いの気心が知れるまでは、自分の常識的な感覚で付き合ってください。障害に関わらず、一般的な気配りがあれば、相手も安心して関わることが出来ます。また、ボランティアだから、と気構えると、自分が困った事も表に出していけないのでは、と考えてしまうこともあります。これは変だな、何でだろう?と、自分の常識と照らし合わせて考えることは大事です。なぜ?と思うことから障害理解が始まるからです。
3.肯定的、共感的に話を聞いてください
「そうなんだ」という共感、こちらの思っていることと違っても「それは…ということなんだね」と、まずは肯定的に受け止めると、相手に「分かってくれた」という安心感が生まれるように思います。
4.“あいうえお”の実践
「あ」はあいさつ―出会いのあいさつは気持ちのいい関係の始まり。
「い」はいたわり―「そうだよね、大変だったね」との共感、この一言でホッとできる関係に。
「う」はうなずき―聞き役になってのうなずきは「あなたのことを気にかけています」のサイン。
「え」は笑顔―笑顔は何よりの励ましです。こちらの気持ちがよく伝わります。
「お」は応援―声を出して励ますこと。「がんばれ!」よりも「がんばっているね」はその人を肯定する言葉になります。
何より言葉に出すことで、感情や思いが伝わります。“あいうえお”は対人援助の基本です。
気心が知れて来たら―《相手の気持ちを尊重する》
1.彼らの気持ちに沿って過ごしてください
私たちは指示する立場ではなく、応援する立場です。まずは彼らの気持ちに沿ってものごとを進めてください。もし対応に困ったら「~さんに相談しますね」と伝えて、職員に相談してください。当然、専門性が必要な時もありますから。
2.考えが行き違った時は「私ことば」で話してください
「これは困るな」「そんな風にしてほしくない」という場面がある時に、ボラだから受け入れなければ、と考えずに、出来れば「私は…と思う」「私はそういうことは嫌だな」と自分の気持ちとして伝えてください。無視するように離れるより「私ことば」で間合いをとる方が、相手も受け入れやすいのです。
3.大人として付き合ってください
彼らは経験の浅さから、振る舞いや関わりが幼く見えることもあります。私たちはそれも親しみやすさの一つとして捉えています。一方でどんなに振る舞いが幼くても、その人なりの歴史を歩んできた大人として自信やプライドを持っています。呼び方や関わり方など子供扱いせず大人として尊重して付き合って下さい。私たちの「尊重する関わり」が彼らの大人としての歩みを支えます。
4.かしこまらないで、ざっくばらんに付き合ってください
上手く付き合おうとする必要はありません。疑問が生まれた時、アッと思った時に気付くものが段々と出てきます。上手く付き合えない時は「分かってあげられなくてごめんね」の気持ちがあればいいのです。気持ちよく関わり、「会えてよかった」とお互いが思えるような時間を過ごしてもらえれば何よりです。
5.最後に
出会いで感じたことをどうぞ周りの方に伝えてください。それが障害理解の一助となります。ただし利用者さんも一般の社会で過ごす方々です。施設で知り得た情報を、個人が特定されるような内容で発信、または使用されることのないようご注意ください。
それでは、どうぞお待ちしております。