ある利用者が大きなバッグを抱えて木工室に来た
歩行が困難な方なので大きなバッグはずいぶんなハンデになる
「何を持ってきたんだ?」
そういぶかしげに思っている私に
「写真が入ってるんだ」
ハッキリとしない口調でその様なことを繰り返し言っている
そしてとても元気が良い
木工室まで手を引いて到着すると
バッグの中から取り出したのは
先日私がフォトショップで作って渡した
メリーゴーランドに乗った合成画像をプリントした物だった
そしてそれを嬉しそうにみんなに見せていた
たわいも無い、ほんのお遊びのような写真
でも本人にすればとても嬉しかったようだ
2Lの写真をわざわざ大きなバッグに入れて
大切そうに抱えてきた利用者さん
現実ではあり得ない写真の中に
彼は確かに居たのだろう
私はとても大きな物を渡された
それは見えないけどとても温かいおくりもの