オリオンプロモーション

トークイベント「紫紺倶楽部」開催のご案内 ほか

今年度のトークイベント「紫紺倶楽部」、残り1回となりました。3月18日(日)開催の第68回「江戸町奉行の世界」です。
昨年に続いて、当時世界最大の都市であった江戸の治安制度を取り上げます。今回は、江戸の守護神であった町奉行がテーマです。ゲストは、昨年と同じく、明治大学中央図書館事務長の伊能秀明さんです。
先週、ある歴史研究家の著作を読みました。将軍の日常生活を探る・・・という内容で、とても楽しく読みました。将軍の日常というのは、詳細な記録が残されている部分と、ほとんど記録に留められていない部分があるのですね。側近の証言・・・の類は、
ほとんど残されていないようです。
同様に、江戸時代の司法制度も、克明に記録が残されている部分と、余り知られていない部分があります。ところが、私たちはテレビや映画で、数多くの町奉行たちと親しく(?)なっていますから、何となく知識が豊富な気になっています。
本当の町奉行の立場や権限、実像とは、果たしてどんなものだったのでしょうか?
法史学がご専門の伊能さんに、お話を伺います。またお尋ねしたいことも沢山あります。
前回は、捕り物の実際や、与力や同心、岡っ引きについてお話を伺いました。取り縄の使い方の実演までご披露いただきました。
膨大な知識の蓄積に裏付けられてお話、ご期待ください。

来年度の日程について。
あと2週間ほどで開催日程(全12回)が確定します。上期のテーマとゲストは既に内定しています。
その中に、小生がスピーカーをつとめる回がございます。6月に予定している「二本の洋画を語る」です。
意外な組み合わせかも痴れませんが、「ナバロンの要塞」と「ゴッドファーザー」です。映画マニアではなく、洋画ファンにお越しいただき、「あの場面」「あのシーン」を取り上げよう・・・と考えています。
主催者、難しい映画は苦手としておりますので、戦争映画の傑作として評価されている前者と、歴代ベストの上位に必ず登場する後者、この二作品を選んだのでございます。他意はございません。ご来場の皆様と共に、楽しい集いにしてみたい・・・こう考えております。
トークの会場である明治大学は、入試の季節を迎えています。試験が終了する20日前後には、大学から日程確定の連絡をいただける予定です。もうしばらくお待ちください。
 現在、2012年度入場券の予約受付中です。2種類あります。
 年間通し券(全12回分セット)、共通入場券(10枚セット・どの回でも利用可能)、共に、15,000円(税込)です。


紫紺倶楽部

会場  明治大学駿河台キャンパス リバティタワー 1012教室(1階) 1時半開場 2時開会 4時閉会
                 入場料 2,000円
 

第68回 江戸町奉行の世界 江戸町奉行の世界 ~江戸 捕り物の世界 その2~ 
 
 3月18日(日)

 ゲスト:伊能秀明さん(明治大学中央図書館事務長)

  

☆ 今回もトークとは別のお知らせ

 主催者は沖電気グループのOKIデータのホームページに文章を書いています。
 テーマは「ロングセラー」です。「OKIものづくり講座」というタイトルで、月1回更新しています。
 第3回がアップされています。今回のロングセラーは、ホンダのモンキーです。
 これまでにご紹介した3つの商品品に限らず、ロングセラーはエピソードが豊富なのですね。少なくとも数十年、長いものでは
百年単位で長く愛され続けている秘密に少しでも迫れれば・・・と考えています。
 筆者はインタビューと文章を担当していますが、今回も写真が素晴らしいのです。プロカメラマンの技量に素晴らしさを改めて感じています。今回は、バイクの傍らに主催者も立っております。
 「OKIデータ」で検索、「最新情報」または「ものづくり講座」からお入りください。
 お知り合いにも、ぜひ、ご案内ください。


 
☆ さらに別のお知らせ

 主催者が書き進めている文章「架空歴史座談会」をご覧いただいております。
 今回は、第4話「演説ことはじめ」の前半です。時系列を超えて歴史上の人物出席した座談会です。既に25作ほど完成しております。予めお断りしておきますが、政治的・宗教的立場とは一切関係ございません。
 あと2話ほど、1作を上下2回に分けて掲載いたします。なお、ご感想をお寄せいただければ幸いです。

                              《この座談会はフィクションです》
 

架空歴史座談会 その4・演説ことはじめ 前半

出 席  北條 政子(1157~1225)
     徳川 家光(1604~1651)
     福澤 諭吉(1835~1901)

司 会:嶋 丈太郎

話すこととは? 

司会 今回のテーマは演説、え・ん・ぜ・つ・です。この言葉をお作りになった福澤さん、どんな意味でしょうか?
諭吉 大勢の人の前で自分の考えを述べること・・・でしょうか。私などより 
   もお二人の方が、遥か以前に実行していたことですよ。
政子 私は政治向きには、余り、口出ししなかったですからね。
三人 (驚きの表情。気を取り直して司会が尋ねる)
司会 尼将軍と呼ばれていた方が何を仰いますか!
政子 私は、夫を支えて新しい勢力を作り上げる手助けをしただけ。里の父や弟の助けも借りたけどね。だから・・・。
司会 だから?
政子 あの事件は許せなかった。
諭吉 承久の乱(1221)ですね。あの時、鎌倉の御家人はだいぶ動揺したようですね。
政子 京都や西国の御家人の中には、一も二もなく朝廷の命令に従う者も出る
   始末。亡き右大将、わが夫の恩義も忘れてね。そこで、主だった御家人たちを鎌倉の屋敷に呼び集めた・・・というわけ。
司会 その時には、皆を叱咤激励する、と決めていたのですか?
政子 いいえ。話しをするかどうかも、決めていなかったのですよ。ところが、
   集まってきた連中の顔を見ると、まるで落ち着きがない。で、これでは
   駄目だ、となって・・・。
司会 わが国の演説第一号が登場したのですね。
家光 苦労しますね。
司会 家光さんは、確か二十歳の時でしたね。
家光 そう。
司会 確か、江戸城ででしたよね。諸大名を集めて。
家光 今にして思うと、あれは賭けでした、大きな賭け。
司会 どういうことです?
家光 幕府が出来て20年ほど、苦労し尽して征夷大将軍になったお祖父様(家康)は亡くなり、戦国からの生き残りもまだまだ健在な時期ですからね。
司会 なぜ、賭けをする気になったのですか?
家光 ここでビシッとしておかないと、後々まで舐めらるに違いない・・まあ
   こう考えたのですよ。だから、自然と口から出てきたんですよね、あの言葉が。今でも一字一句間違いなく言えますよ。
   祖父家康、父秀忠は諸侯の援けを得て将軍となったが、自分は生まれながらの将軍であるから、すべての大名は臣従の礼を取るべきだ。異存があれば直ちに国許で一戦の準備をされよ。
   いや、我ながら立派なセリフでしたね。
政子 どうでした? 言い終わってから。
家光 皆、畏まって平伏していましたよ。勝った!と思いましたね。
福澤 家光さんは、お祖父様を大変に尊敬されていたようですが?
家光 忍耐に忍耐を重ねた人物ですからね。あの努力、あの忍耐を考えたら、
二代や三代で潰すわけにはいかない、こう思ったのですよ。比べるのも何ですが、そう思うのが当たり前でしょ。そして、お祖父様があればこそ、将軍職を継げたわけですからね、
福澤 結局、国許で一戦に及んだ大名は?
家光 いるわけないでしょ(笑)。ところで、北條さんは、どんなお話しをなさったんですか?
政子 さきほども申しましたが、あの政権は、私ども夫婦と私の実家の力で作りあげたものですからね・・・。
司会 範頼さんや、義経さんの功績は?
政子 範頼? 何も出来なかったでしょ! 義経? あれは、ただの粗忽者!
司会 (気圧される)
政子 そんな苦労の末の政権を、(後鳥羽)上皇は倒そうとしたわけよ。許せる
   ものではありませんわ! 鎌倉に集まった御家人どもを前にして、私は
   一気に言ったものよ。亡き殿のご恩を忘れたのか? お前たちの俸禄や
   官位は、誰のおかげで自分の物になったのか? 今こそご恩に報いるべきであるぞ、こう言ってやったのよ。
司会 「吾妻鏡」によりますと、皆心を一つにして承るべし、これ最後の詞なり。故右大将軍調的を征罰して、関東を草創してよりこのかた・・・と続いたとあります。実に、立派な大演説でしたね。
政子 そうでしょ。
家光 あの? 大勢の武装した家来を集めたところで、政子さんの声で一番後ろにも聞こえたんでしょうか?
政子 聞こえたかどうかは、問題じゃないの! 頼朝の女房、いえ、尼将軍が
   ひどく怒っていることが分かれば良かったのよ。
司会 鎌倉幕府が出来上がるまでに支えた鎌倉武士が沢山いましたね。
福澤 私が知っているだけでも、上総(広常)、比企(能員)、畠山(重忠)
家光 ああ、知っている。豪傑だったそうですな。
福澤 (続ける)和田(吉森)、それから、梶原(景時)なんてのもいましたね。
政子 おべっか遣いの嫌な奴だった!
福澤 みんな途中で消えましたね。
政子 (ほくそ笑んで)そうですね、全員。承久の乱の時には、おっしゃった顔ぶれは消えてましたわ。
家光 (背筋に寒いものを感じながら)それは偶然だったのでしょうか?
政子 それは、弟(北條義時)にでもお尋ねになったら・・・。
司会 (とりなして)まあ、政子さんが御家人に対しての叱責のお言葉が、本邦初の演説・・・ということになっています。
家光 効き目はあったんですか?
政子 確か、二十万騎集まったとか。
家光 二十万! 上皇方は?
政子 精々、三千か四千ほどでしょ。(吐き捨てるように)戦になりませんよ。
福澤 大分厳しい処分を下したようですね。
政子 私は実務には口出ししませんでしたから、どんな処分が下ったのかは存じませんがね。上皇の帝近くで扇動した側近は、確か、一掃されたようですね(笑み)。
司会 福澤さんは、演説というのを、どんなことから思いついたのです?
福澤 私は、ごく若い頃に外国を見る機会があったんです。
家光 中国や朝鮮ですか?
福澤 いえ、もっと遠い、まあ、南蛮といったところです。
家光 それで?
福澤 国の使いの一員、まあ私は下っ端でしたが、使節の一行として訪ねますから行く先々で歓待されましてね。
家光 余も、朝鮮通信使を歓待したぞ。あれと同じか?
福澤 彼の地では、歓待の席で必ず、主だった者が挨拶をいたします。大勢の人を前にして、「いかに歓迎しているか」「いかに待ち望んでいたか」と
   いうようなことを大袈裟に、いや、熱意をこめて語るのですよ。彼の地ではこれをスピイチと申します。
   後のことですが、このスピイチを「演舌」と訳しました。だが、どうも
   しっくりこないので「演説」と変えたのです。これが広まって定着したわけです。いえ、決して自慢しているわけではありません。
政子 演説、演説のう。それは女子もいたすのか?
福澤 いえ、私の時代までに演説を試みた女性は、政子様だけと・・・。
政子 そうであろうなあ(笑み)。
司会 ところで、演説をする場合の心得に移りたいと思うのですが、家光さん、如何ですか?
家光 そうだなあ、余り考えずに話し始めること、かな。
福澤 緊張すると失敗するからね、確かに。
家光 その通り。思いついたことを、そのまま話していくことだ。あれこれ考えると雑念が入っていけない。春日が、そう教えてくれた。
司会 春日、あの、春日局のことでしょうか?
家光 そうだ。春日がいなかったならば、間違いなく(異父弟)忠長が三代将軍になっていただろう。
司会 しかし現実には、家光さんが三代の座を占めた、と。
家光 そこだ。そんな経緯があったから、二十歳で将軍位を継いだ時に、あのような演、演説か、演説をしてしまったのだ。自分にも分からぬが、あの言葉は、忠長に向けたものだったかも知れぬのう。
政子 身内の争いですよね。
家光 鎌倉幕府ほどではありませんが(苦笑)。
司会 家光さんは考え過ぎぬこと、とおっしゃいました。政子さんは如何です?
政子 演説の心得、ですか? そうね、相手を呑んでかかること、かしら。
司会 ・・・といいますと?
政子 家光さんも福澤さんも、何か目的があって話しをするわけでしょ? それならば、それなりの工夫が必要でしょ。誰も反対意見を言い出せないような迫力、凄み、そんなものがあれば良いのではないかな。
司会 さすがは尼将軍ですね。
政子 いえ、承久の乱のあの時は、無我夢中だったんですよ。私にしてみれば一世一代の大芝居、うふふ。
司会 福澤さん、相手を呑んでかかるというのは必要ですかね。
福澤 その通りだと思いますよ。私たちの世には議会と言うものができておりました、相手に隙を見せると大変なことになってしまうのですよ。そのためには、相手に負けないぞ、こういう気構えを持たないと・・・。
司会 (ここで、政子・家光の二人に議会制度について説明)
   では、福澤さんは、どんな心得が必要だと?
福澤 私見ですが、それは訓練でしょうね。武術でも同じですが、基礎から初めて段々上達しますよね。でも、上級者と言えども初心者と同様に、毎日毎日、基礎から繰り返すではありませんか? どうです、家光さん。
家光 その通りだ。(柳生)飛騨守も、しばしば、そのように申す。
福澤 私は、さきほど申した通り、若年の頃に外国を見る機会を得ました。それで、次の世を担う若者たちを鍛え教えるための場、学校を作りましたが、その中に、「演説館」なる建物を作ったのです。
政子 そこでは何をするのです?
福澤 司会の方のお尋ねの答えですが、演説の力を鍛えるためです。世の中には己より優れた者は掃いて捨てるほど多い。それを知るためと、己を磨くために学校を作ったのです。演説の力を強めるためには、演説をする場、しかも、演説を聴く者が欠かせません。それで「演説館」という特別な場所を作ったのですよ。
家光 江戸城にある馬場や射場のようなものであろうか?
福澤 元亀天正のような命の遣り取りこそありませんが、後の世では演説ばかりか、外国でデベイトと呼ばれる言葉、私は「討論」としてみたのですが、その討論のやり方を学ぶためにも使われています。相手の言うことを正しく受け止め、こちらの意見、まあ言い分でしょうか、意見もしっかり伝えることなのです。
政子 それでは時間ばかり掛かってしまうのではないか?
福澤 世の中のことはすべて、良い点もあれば悪い点もございますよ。
家光 なるほど、老中や若年寄の合議でも、よく揉めているようだが、そんな時には役立ちそうじゃな。
福澤 まあ、そんなところで。
                              伊豆長岡温泉「中伊豆別館」にて


                         以下、次号
   
 

お問い合わせ・ご感想は

紫紺倶楽部 代表 嶋 丈太郎
shimajyo.oripro@nifty.com
携帯090-1702-5076
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