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【永久機関】オルフィレウスの自動輪は回り続けたのか?

2017-07-16 01:19:44 | 科学
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(担当S)
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※本記事は2016/12/03に投稿した記事に、修正を加えて再投稿したものです。

 
■18世紀に実在したと言われる、謎の永久機関
 
[写真]オルフィレウスの自動輪の設計図
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 皆さんおはようございます。いかがお過ごしでしょうか?

 ブログ担当の担当Sです。
 前回、予告した通り今回はオカルトネタをやります。
 オカルトネタと言っても、このブログの性質上、非科学的な話題を、そのまま真に受けて取り上げたりはしません。
 過去の記事を見てもらえれば分かる通り、オカルトネタに対しては結構、冷めた視線で捉えています。
 それでも取り上げるのは担当Sがミステリーが好きなのと、ぶっちゃけネタが枯渇しているからです。
 その点を理解して頂いた上で、記事を読み進めて頂くようにお願いします。
 それで今回取り上げるのは、オルフィレウスの自動輪です。自動輪という聞きなれない言葉が出てきましたが、平たく言うとモーターとかエンジンとかと言う意味です。
 オルフィレウスとは、この自動輪を発明した人物の名前です。
 伝承によると、この自動輪は一度、勢いをつけて回せば、外から何の力を与えなくても、一ヶ月でも二ヶ月でも回り続けたそうです。
 なんか既にこの段階で、眉に唾を付けて話を聞かなければいけない感じですけど、残念ながらこのオルフィレウスの自動輪ついての資料は殆ど残っておらず、従って内部構造の詳細とか動作原理については全く分かっていません。
 分かっているのは、それが18世紀の初めのドイツのカッセル市(当時は神聖ローマ帝国に属した独立国)に存在し、多くの人の前で動く様子を見せたと言うことだけです。
 こういう昔の話を聞くと、現代人は「昔の人は今の人とは違って純朴だから、さぞかし驚いただろう」と、つい思ってしまいがちですが、実は全く違います。
 オルフィレウスの自動輪は、それが現れた当初から怪しいと疑われ、インチキかペテンではないかと疑う声が、後を絶ちませんでした。
 オルフィレウスは自動輪を複数製作しているのですが、最初に作った自動輪は3kgの物を持ち上げるくらいの能力しかありませんでしたが、すぐに20kgくらいまでの物を持ち上げる能力がある改良型を作ります。
 するとこれが評判となり、その噂が当時、独立国だったカッセル市の主である、カール公(カール方伯)の耳にまで届くことになります(※カール公をカール大公とする資料が多いですが、カール公の爵位は方伯である為、本記事ではカール公と表記します)。
 ここで自動輪を発明した、オルフィレウスと言う人物についてお話ししたいと思います。オルフィレウスは本名をヨハン・ヘルンスト・エリアス・ベスラーと言い、オルフィレウスと言う名は通称として使っていたみたいです。
 恐らく本名が長すぎたので、通称を使うようになったのでしょう。伝承によるとオルフィレウスは非常に気難しくて傲慢な人物だったと言われる一方で、とても陽気で大酒飲みだったとも言われています。
 非常に気難しくてとても陽気な性格と言うのはちょっと考えにくいので、どっちかの伝承が恐らくは間違っているのではないかと思います。
 こう言う、お互いに矛盾したソースが複数存在する話は「(あ、察し」と言うことで、眉に唾をつけて聞かなければなりません。
 この自動輪の噂を小耳に挟んだカール公は、ゲラという町にいたオルフィレウスを早速カッセル市に招待します。
 実際に回り続ける自動輪を見たカール公は痛く感激し、オルフィレウスを役人として召し抱えヴィゼンシュタイン城に住まわします。
 かなり急な展開ですが、これには理由があります。当時のヨーロッパは経済成長が著しかったのですが、労働力が不足しており、畜力や風力で不足する労働力を補ってはいたものの、それでも足りず、新しい動力源を必要としていました。
 既にイギリスでは、トマス・ニューコメンが発明した初歩的な蒸気機関が使われていましたが、当時まだ神聖ローマ帝国だったドイツは、イギリスに比べると工業化が大幅に遅れており、蒸気機関を自前で作れる力はありませんでした。
 そこにオルフィレウスの自動輪が彗星のように現れたのですから、カール公は飛びついたのです。
 カール公はオルフィレウスに自動輪の研究援助を約束し、オルフィレウスは約束に答える形で更に大型の新型自動輪を製作します。
 この新型自動輪は当初、ヴィゼンシュタイン城の庭園内にある小屋に展示されていたのですが、以前からインチキかペテンではないかと言う声が後を絶たなかったので、それを晴らす為に城内に自動輪を移し検証する事になります。
 数名の学者や技師による調査団が結成され、オルフィレウスが作った自動輪に怪しい所がないかについて検証が始まりました。
 どのような検証方法を採用したかと言うと、自動輪を動かしたら、それが設置されている部屋の扉を厳重に封印して、更に扉全体にワックスを塗って後から誰かが触っても分かるようにし、そのまま二週間放置したのち再び扉を開け、自動輪が回っているかどうかを確認すると言うものです。
 こう言ってはなんですけど、かなりツッコミどころ満載です。
 最大の問題は、オルフィレウスが実験場所であるヴィゼンシュタイン城に住んでいると言う所です。
 これだと、オルフィレウスが不正を働こうと思ったら、幾らでも不正を働く事が出来ます。
 例えば、検証が始まる前に自動輪が置かれている部屋に何か小細工をする、厳重に扉が封印されている部屋にバレないように入れるような手段あるいは抜け道を探す、城内の人間を買収して何らかの不正行為を手伝わせる、等々、幾らでもズルができます。
 こういう検証を行う場合、オルフィレウスのような一番、不正を働きそうな人物の息の掛かってない所を選んで行わないと、なんの意味もないと思うのですが、どうした訳か調査団にはそう言う発想は無かったようです。
 検証は、調査団の一人であるフィッシャー男爵が、自動輪を手で押して回転させる事により始まります。
 それから二週間たって扉を開けてみると見事、自動輪は回り続けていたのでした。
 これに気を良くした調査団は、再び扉を封印し更に二ヶ月、自動輪を放置して様子を見ましたが、結果はやっぱり一緒でした。
 この結果に驚愕した調査団の一人、フラーフェンデ教授は、親交のあったアイザック・ニュートンに手紙を送り「外部から如何なる力が加わっていなくても、自動輪は回り続けていたと結論せざるえない」と報告しています。
 担当Sから言わせると、そう結論付けるのは早すぎるような気がするのですが、話はトントン拍子に進み、カール公は自動輪をオルフィレウスから買い取ることを決めます。
 ここでオルフィレウスも欲をかかなければ良かったのですが、彼が提示した金額は2万ポンド。現在の日本円で20億円。
 カール公が一国の主だったとは言え、当時のドイツは幾つもの小さな独立国に分かれており、カール公が治めていたヘッセン・カッセル国もそんな小さな独立国の一つでしたから、2万ポンドもの大金を用意するなんて、とてもではないですが無理な相談でした。
 しかし、どうしても自動輪を諦めきれないカール公は、ロンドンの科学アカデミー(王立協会)に相談して、なんとか資金を提供してもらう事に成功します。
 ですがロンドンの科学アカデミー(王立協会)からすれば、一国の主からの達てのお願いだったから資金提供にゴーサインを出したものの、海のものとも山のものともつかない自動輪に対して、2万ポンドもの大金を出す事には、流石に不安を覚えます。
 そこで先ほどアイザック・ニュートン云々のくだりで、ちらっとだけ出てきた、フラーフェンデ教授に自動輪の仕組みについて調査してもらえないかと打診します。教授も、自動輪の構造に只ならぬ関心がありましたから、この要請を快諾します。
 実は、オルフィレウスは自動輪について徹底した秘密主義を通していて、主君であるカール公以外には中の構造を見せた事がありませんでした。
 この話だけ聞いてみても、な~んか、非常に胡散臭いですよねぇ~。オルフィレウスからすれば自動輪の仕組みは、とっても大切な企業秘密だったのかもしれませんが、やましい所がなければ、ここまでの徹底した秘密主義を貫いたりはしないと思います。
 フラーフェンデ教授も、オルフィレウスが自動輪については秘密主義であることは知ってましたから、彼が留守の間に構造や原理の調査を試みますが、運悪くそれがオルフィレウスに見つかってしまいます。
 教授が無断で自動輪を調査しようとしていた事を知ったオルフィレウスは怒り狂い「金も払わないで、秘密だけ盗むつもりだったのだろう!だが、そうはさせるものか!」と怒鳴るやいなや、自動輪をメチャクチャに壊してしまいました。
 この騒動の後、オルフィレウスがカール公の為に自動輪を再び作成することはなく、2万ポンドの大金を手にするチャンスも、みすみす逃してしまいます。
 この、オルフィレウスが自動輪をメチャクチャに壊してしまい、更に2万ポンドもの大金を逃してしまったエピソードを持って「激情のオルフィレウス」と評する資料もありますが、まぁ、普通に考えたら単なる証拠隠滅だと思います。
 その後、オルフィレウスは忽然と歴史から姿を消し、彼がどう言う余生を送ったのかはハッキリしてません。こんな事がありましたから、カール公の元に居れるはずもなく、恐らくは逃げるように彼は城を去ったものと推測されます。
 その後のオルフィレウスの足取りについて分かっていることと言えば、65歳でこの世を去った事と、亡くなるまでに何度か自動輪らしき機械を作った事が伝わっているのみです。
 この話を聞いて多くの人は、オルフィレウスの自動輪に対して胡散臭さを感じると思いますし、担当Sもそう感じます。
 自動輪の仕組みについて今では全くの謎とされてますが、オルフィレウス以外に唯一、自動輪の内部を見た事があるカール公は、その仕組みについて「重りとレバーからなる非常に簡素な仕掛けである~(中略)~重りが車輪の回転と共に移動し続ける事で絶えず不均等な状態を作り、回転を続ける」と語っています。
 しかし、残念ながら、この様な仕組みで回転運動が生まれないことは、現代の科学ではハッキリしてます。
 なんらかのトリックがあったとしても、フラーフェンデ教授のような学識豊かな人物だったら見破る事ができたでしょうが、貴族として高い教育を受けていたとは言え、門外漢だったカール公では見破るのは無理だったでしょう。
 担当Sが最も怪しいと思うのは、だいぶ先にお話ししたオルフィレウスの人物像についてです。彼の事について残っている話をつなぎ合わせると「非常に気難しくて、とても陽気な性格」と言うことになりますが、こんな矛盾した性格の人物が実際にいたとは考えにくいので、どちらかが演技でどちらが本当の性格だと考えた方がスッキリします。
 状況証拠から推察すると「非常に気難しい人間のフリをしていた、本当は陽気な人物」だったのではないでしょうか?
 「非常に気難しい人間のフリをしていた」のは、もちろん自動輪の"秘密"を守るためでしょう。
 その"秘密"が、やましいものだったのかどうかについては、ここでは語りませんが…
 オカルトな話題を取り扱ったサイトやブログでは、殆どの場合オルフィレウスの自動輪を「実在した唯一の永久機関」だとしていますが、果たして本当にそうだったのでしょうか?
 真偽がハッキリしないオルフィレウスの自動輪ですが、永久機関に対する科学的な評価を待たずとも、この話自体が非常に胡散臭いと思いますし(少なくても、担当Sの目には、そう写ります)、そう捉えるのが妥当ではないでしょうか。
 本当の事を知っているのは、秘密を握ったままこの世を去った、オルフィレウスその人のみです。
 
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■「オルフィレウスの自動輪」は現代に実在した!
 
[写真]現代の永久機関(?)全自動洗濯機
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 なんか、大げさなタイトルが踊ってますが、実はタイトル詐欺です。スンマセンm(_ _)m
 当ブログでは、この手の話題に対しては以前より「科学的客観性」を最優先して接しています。
 エネルギーの保存…とかの話を持ち出すまでもなく、永久機関については否定的な立場を取らしてもらってます。
 それなのに『「オルフィレウスの自動輪」は現代に実在した!』とは、一体どう言う事なのでしょうか?
 実はパッと見「オルフィレウスの自動輪」のような、あたかも永久機関のように見える機械が、現代に存在するのです。
 しかも身近なところにです。
 それは何と、乾燥機能のついた全自動洗濯機です。
 なんか余りにも意外なものが(似非)永久機関だと言われて、驚いている人も多いかと思います。
 しかし、嘘ではありません。
 例えば、4キロワットの乾燥能力を持った全自動洗濯機なら、1キロワットの電力で、必要とされる乾燥能力を得る事ができます。
 何故なら、全自動洗濯機の中で電力を(見た目上)4倍に増やしているからです。
 乾燥器のヒーターは、オルフィレウスの自動輪のようにクルクル回ったりしませんが(ドラムは当然、回りますが…)、これが本当に1キロワットの電力を4キロワットのエネルギーへ増やしているのであれば、それは立派に永久機関だと言えます。
 この技術を全自動洗濯機以外、例えば発電とかに利用すれば、地球上のあらゆるエネルギー問題を解決する事が出来るのです!
 …と、自分で書いておきながら、なんだかアホらしくなってきましたが、全自動洗濯機に使われている技術が本当に発電に利用できるのならば、既に何処かのメーカーがやってます。
 こんな素晴らしい技術を全自動洗濯機にだけ利用するなんて、余りに馬鹿げていますから。
 ですが、「電力を(見た目上)4倍に増やしている」と言う下りは本当です(※あくまで見た目上だけです)。
 今時の全自動洗濯機は4キロワットの乾燥能力を、本当に1キロワットの電力だけで賄っています。
 これは一体、どう言う事なのでしょうか?
 実はこの手の全自動洗濯機には、空気中の熱を巧みに回収する装置("ヒートポンプ"と言います)が内蔵されていて、先の例だと1キロワットの電力を使って、残りの3キロワットの熱を空気中から回収し、合計4キロワットの乾燥能力を得ているのです。
 こうして種明かしをすると「な~んや。やっぱりそうかいな」と思ってしまいますけど、YouTubeの様な動画サイトに沢山アップロードされている、永久機関と称する怪しい装置の動画の多くが、殆どの場合、種明かしをしないので、真に受けている人が結構いるみたいです。
 動画の中には「これ、どう見ても出資金詐欺やろ?」とツッコミを入れたくなる様な動画もあります。
 永久機関を実現できれば一攫千金は間違いないですから、実は昔から「永久機関詐欺」と言うものが存在しました。
 近年でも大阪のある企業が「水をエネルギーとして動く自動車」を発明し、当時の大阪市がこの発明に対し出資する事を決めたことから、マスコミにより大々的に報道されましたが、結局、詐欺であった事が判明しています。
 この様な詐欺は、人間の中に欲と言うものが存在する限り、必ず再発します。
 どうか皆さんも騙されない様に、くれぐれもご注意下さい。
 
 いや~、短くまとめようと思ったのですけど、今回もかなりの長文になってしまいました(反省)。
 次回は超がつく程に軽いネタを扱ってみたいと思います。
 担当Sでした!
 
 
+++++アプリの宣伝です+++++
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 5月1日よりAppStoreから配信となりました、カラフルなサイコロが印象的なアクションパズルゲーム「ダイスポップ」。
 ゲームのジャンル的には落ちもの系ゲーム(いわゆる、落ちげー)になります。
 指一本で遊べるとても簡単な操作性ながら、ぷよぷよの様な「連鎖反応消し」等のテクニックも使えます。
 興味のある方は下記のリンクからどうぞ。

 [gooブログ] 【永久機関】オルフィレウスの自動輪は回り続けたのか?
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