地下鉄の駅ひとつ乗りすごし

満員電車の中、私は人の波に揺られZARDを聞きながら、窓の外の景色を見ていた。
私の目の先に広がるのは、どこまでも続く河川敷。
空はオレンジ色に、まるで恋をしたかのように染まっていた。

水面にも、ゆらゆらとその姿を静かに映している。
私は毎回、思うことがある。朝から釣りをしているが、本当に釣れるのでしょうか、お父さん。

自転車の後ろに子供を乗せてせっせと漕いでいるお母さんがいた。幼稚園のお迎えの帰りだろうか。
私も昔よく、晴れた日はサイクリングに来ていた。
近くのコンビニで梅のおにぎりとお茶を買って土手で食べる。こんな何気ない時間が好き。

河川敷にはグランドがあり、少年野球チームが汗を光らせ、今日も練習をしていた。
少年たちはグランドを長いアリの行列のように連ねランニングをしている。

その光景を見入っていた私は、バランスを崩し、よろけた。電車が駅を出発し動き出したのだ。
しまった、、、駅を一つ乗り過ごした…まぁいいや、次で降りても歩いて帰れるし。
ipodで聞いていたZARDの曲が次の曲にちょうど変わった。
少し音量を下げてから、また視線を窓の向こうに戻してみた。

すると、一人の少年が、どんどん皆から離れていくのが私にも見てわかった。
電車が動き出し加速していくと、すぐに暗いトンネルの中へと進み、少年たちの姿は見えなくなった。

「ガンバレ!!」と、私は心の中で、そっと少年にエールを送った。







…って何じゃい!!!（爆）