ああ

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消化管GIST

2008-06-30 22:42:13 | 臨床医の基礎知識
GIST gastrointestinal stromal tumor

●消化管の中胚葉由来、間葉系腫瘍gastrointestinal mesenchymal tumor GIMTの大部分を占める。
●消化管間葉系腫瘍:GIST80%、平滑筋肉腫15%、神経鞘腫5%
●消化管発生のGISTの多くがかつては平滑筋肉腫と診断されていた。
●GIST原発部位:胃50-60%、小腸20-30%、大腸5%、食道5%
●KIT受容体型チロシンキナーゼ、CD34 を発現。
●KIT陰性のGISTは全体の約5%で比較的予後がよい。
●GISTはCajalの介在細胞(intestinal cell of Cajal; ICC)を細胞起源とする。
●GISTは単発例がほとんどである。多発性はきわめて稀。
●消化管全体に腫瘍が発生する家系がある。
●神経線維腫症1型に合併するGIST
●傍神経節腫を合併するGIST(胃類上皮平滑筋肉腫+機能性副腎外傍神経節腫+肺軟骨腫=Carney triad)
●近年は、すべてのGISTが悪性のポテンシャルを有すると考えて扱うのが主流。
●手術不能例、再発例、転移例は、メシル酸imatinib(KITキナーゼ阻害、分子標的治療薬)
●imatinib投与で8割の症例で進行が止まり、6割で腫瘍縮小効果を認める。
●imatinibは1日1回の内服投与。半減期は16-18時間。
●imatinibではCRはほとんどなく中断すると再進行する。

●GISTの治療は基本的には外科切除である。根治は外科切除のみ。
●外科治療の原則 ①完全切除、②部分切除、③リンパ節郭性不要、④皮膜損傷させない。
●腫瘍径が5cm以上は絶対的手術適応、2-5cmは相対的手術適応


●National Comprehensive Cancer Network NCCNのガイドライン
●Europian Society of Medical Oncology ESMOのガイドライン
●日本癌治療学会のガイドライン2007年癌治療学会のガイドライン

縫合糸

2008-06-30 22:13:30 | 外科医の基礎知識
かっこ内は、生体内抗張力期間と吸収期間

吸収性
天然モノフィラメント・・・カットグット(1週間、70日)
合成編み糸・・・・・・・・オペポリックス(2週間、60-90日)、デキソン(2週間、90日)、バイクリル(21日、60日)
              ポリソーブ(2週間、60日)、バイクリルラピッド(5日、42日)
合成モノフィラメント・・・PDSII(28日、200日)、マクソン(4週間、180日)、バイオシン(2週間、100日)、モノクリル(7日、100日) 

非吸収性 (--、数年以上)
天然編み糸・・・・・・・・シルク
天然モノフィラメント・・・ネスティール
合成編み糸・・・・・・・・サージロン、エチボンド
合成モノフィラメント・・・ナイロン、ネスピレン、プロリーン

自動縫合器 TA

2008-06-29 11:56:24 | 外科医の基礎知識
TA   TA 30, 45, 60, 90, 30V3

●チタニウム性ステープルが互い違いに二列配合 (TA30V3は三列)
●ニッケル・クロムに対してアレルギーをもつ患者のアレルギー反応
●縫合長はそれぞれ30, 45, 60, 90mm
●同一症例において7回のカートリッジ交換可能(8回まで使用できる)



のステープル長  閉鎖前4.8mm 閉鎖後2mm
のステープル長  閉鎖前3.5mm 閉鎖後1.5mm
●白(TA30V3)     閉鎖前2.5mm 閉鎖後1mm
 
0. 滅菌包装された器械のアゴにはディスポのカートリッジが充填されている。

① 切断予定の組織に器械のアゴをセット
② リテイニングピンをピンホールに(ボタンor指で)はめ込む。 はまっていることを確認。
  リテイニングピンを指でセットして、fireせずにリリースボタンで解除した場合、リテイニングピンを指で元の位置に戻すこと。
③ ハンドルを一度握って組織を寄せる。(ハンドルを放してもハンドルは元の位置には戻らない=プレクランプ機能)
  位置が決まったらハンドルが完全なクランプ位置にくるまでハンドルを握る。ハンドルは元の位置に戻る。
  アゴ閉鎖時にハンドルロックがかかった場合や打針の位置を定めている時、リリースボタンを押すとアゴを開くことができる。
  2回目の握りこみでステープルは打針される。
④ 打針するために2回目の握りこみをしっかりおこなう。ハンドルロックがかかる。
⑤ アゴを開く前に、アゴの側面をガイドにして組織を切断。
⑥ リリースボタンを押しアゴを開く。


直腸の解剖

2008-06-27 12:18:16 | 外科医の基礎知識
Sigmoid colon 腸間膜が生じる部位-岬角
Rs 岬角-第二仙椎
Ra 第二仙椎-腹膜反転部
Rb 腹膜反転部 - 恥骨直腸筋付着部上縁

肛門挙筋と尿生殖隔膜 
肛門挙筋を構成する筋:恥骨直腸筋、恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋
正中で尿生殖裂孔、肛門裂孔をはさむ
骨盤底の前半分に尿生殖隔膜が張られている

内腸骨動脈系
①上殿動脈 ②上膀胱動脈 ③閉鎖動脈 ④内陰部動脈→下直腸動脈 ⑤中直腸動脈 ⑥下膀胱動脈
Suddeck's point S状結腸-直腸移行部

体性神経系
 腰神経叢
 L1-L5の脊髄神経前枝
  ■大腿神経 L1-L4・・・骨盤内で腸腰筋、骨盤外で大腿筋群
  ■閉鎖神経 L2-L4・・・内転筋群
 仙骨神経叢 L5-S3の脊髄神経前枝
  ■坐骨神経・・・骨盤内で内閉鎖筋、梨状筋を骨盤外で下腿筋群
 陰部神経叢 S2-S4の脊髄神経前枝
  ■陰部神経・・・外肛門括約筋、尿道括約筋、坐骨海綿体筋、球海綿体筋

自律神経系
 交感神経系
 ①腹大動脈神経叢 ②下腸間膜動脈神経叢 ③上下腹神経叢(第5腰椎前面) ④(左右)下腹神経 ⑤仙骨内臓神経
 副交感神経系
 ⑥骨盤内臓神経(S2-S5仙骨神経前枝の最内側)
 骨盤神経叢
 ④⑤⑥により構成 直腸の両サイドに存在  
  ③→射精障害 ⑥→勃起障害 骨盤神経叢→排尿障害

側方靭帯
腹膜翻転部より下の小骨盤腔内にある4つの間隙: ①前膀胱間隙(Retzius腔) ②後前立腺間隙 ③前直腸間隙 ④後直腸間隙(第4仙椎の高さの膜様構造は直腸仙骨筋膜でこの下方)
Denonvilliers筋膜 Douglas窩の前後の腹膜の融合で下方はperineal bodyに移行。間隙②と③の間。直腸癌手術ではDenonvilliers筋膜の前方に入る。
Waldeyer筋膜 間隙④の後壁(= 仙骨前部の壁側骨盤筋膜)。直下に正中仙骨動脈、静脈叢がある。


大腸手術、腸管前処置

2008-06-24 23:52:41 | 外科エビデンス
待機的大腸・直腸手術の機械的腸管前処置(MBP)施行群と非施行群における

縫合不全発生率
MBP施行群 32/670(4.8%)
非施行群   37/684(5.4%)
Risk difference 0.6% (95%CI -1.7, 2.9),P=0.69

縫合不全後の膿瘍発生率
MBP施行群  2/670(0.3%)
非施行群   17/684(2.5%)
P=0.001

創離開率(13.4% vs 14.0%)、死亡率(3.0% vs 3.8%)には有意差はなかった。



Contant CM et al.
Mechanical bowel preparation for elective colorectal surgery: a multicentre randomised trial.
Lancet. 2007 370:2112-7. PMID: 18156032

喫煙と糖尿病リスク、Meta-analysis

2008-06-23 17:34:35 | 臨床エビデンス
喫煙者の糖尿病発症
25件の前向きコホート研究による 補正相対リスク1.44(1.31-1.58)

Active smoking and the risk of type2 diabetes: a systematic review and meta-analysis.
Willi C et al. JAMA 2007; 298:2654-2664.PMID: 18073361

因果関係か交絡か?

〔因果関係を支持〕
①時間的前後関係
②ヘビースモーカーの方がリスクが高い量反応関係
③生物学的妥当性:喫煙はインスリン抵抗性をおこしインスリン分泌を抑制

〔交絡の可能性〕
①喫煙者は運動不足でアルコール摂取が多く不健康だから
②ヘビースモーカーには肥満者が多く、禁煙の成功率は低い。
③禁煙の失敗は体重増加の原因
④喫煙者は中心性肥満が多い(喫煙の抗エストロゲン作用)

副腎腫瘍の診断と治療

2008-06-23 16:57:29 | 外科医の基礎知識
副腎偶発腫瘤の病因別頻度:非機能性腺腫50%、機能性腫瘍20-25%、悪性腫瘍5%
(褐色細胞腫は8.7%)

副腎偶発腫瘤の取り扱いは米国NIHカンファレンスの指針(2002)を参考にする。
Management of the clinically inapparent adrenal mass(Incidentaloma).
http://consensus.nih.gov/2002/2002AdrenalIncidentalomasos021html.htm

機能性副腎腫瘍の診断
1)原発性アルドステロン症
2)クッシング症候群
3)褐色細胞腫