司法制度に喧嘩を売る。

動き出した司法改革。
法科大学院生が感じる、新司法制度の抱える問題をぶっちゃけトーク。

未修者1年生の授業、予備校以上に詰め込み型か?

2005-05-06 00:55:52 | 法科大学院の実際
そもそも司法試験予備校に通った経験が全くないもので、本当かどうかは判断できませんが。


どの法科大学院でも構いませんので、どこかのホームページで「カリキュラム」をご覧下さい。
(未修者の)1年生が学ぶ内容が掲載されていますので、一年間でマスターしなければならない法律科目の数をカウントしてみて下さい。

各大学院によって科目の命名方法や配当学年が違いますが、大体こんな感じではないでしょうか。
憲法全範囲(人権+統治)
民法全範囲(総則+物権+債権+消費者契約法や不動産登記法などの関連法)
  ※ ロースクールによっては家族法も必修科目に含んで、文字通り『全範囲』扱います。
刑法全範囲(総論+各論:週2回×15週で全てを講義するスタイルも見られます)
商法全範囲(総則+商行為+手形・小切手+会社)
行政法全範囲(半期15回で全部扱う大学院が多いのでは?)
● その他基礎法学・隣接科目(大学の一般教養科目に相当)

民事訴訟法や刑事訴訟法は、やはり実体法が理解できていないと意味がないとの判断で、2年次配当になっていると考えられます。
予備校のカリキュラムと比較すると、これは決して厳しすぎるものだと言い切れません。しかし注意しなければならないのは、法科大学院の設置目的に予備校教育からの脱却がある事です。
オイシイトコ取りの論点重視で展開される、従来の予備校式授業だったら時間は足りるかもしれませんが、法科大学院の教員はこの時間設定にも関わらず判例の批判、学説の展開、少数説の紹介、最先端の研究内容などを盛り込むので、最終的に時間が足らなくなるのです。

実務家になった後を考えると、今までの予備校にはなかったテイストの内容は必要です。何が悪者かって、兎にも角にも時間が足りない。
ただし、むやみやたらに時間だけを延ばすのでは解決策にはなりません。考えられるベターな策は、未修者1年生からもっと少人数教育を徹底して充実させる事。ただ、それに耐えられる人材が、全ての法科大学院に行き渡るだけの人数はいないでしょう。

色々突き詰めて考えていくと、最終的には『日本の法科大学院生はスタート時点から飽和状態』なのかもしれません。法科大学院の設立申請段階で文部科学省が何の制限も設けなかったために、人材が全国に分散してしまった面があります。現在、日本全国で74校の法科大学院で法科大学院生が新司法試験を目指して勉強しています。

ちなみに韓国もロースクール制度を立ち上げるそうですが、日本の反省を踏まえて全国に8校しか開設しないとか。

情けないかな悔しいかな、反面教師にされてしまった日本なのでありました…。



本

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