文科省がシゲタ動物薬品工業に厳重注意 カルタヘナ法違反で
文部科学省は平成19年5月18日、千葉県がんセンター、国立大学法人広島大学、
シゲタ動物薬品工業(株)の3機関に対し、「カルタヘナ法」に違反した組換え生物の使用に対する再発防止策を徹底するよう文書で厳重注意を行った。
カルタヘナ法では、実験室などの施設内で環境中への拡散防止策をとって組換え生物を使用する(同法の第2種使用に該当する)場合にも、その措置が適切かどうか、あらかじめ主務大臣の確認を受ける必要がある。
3機関ではカルタヘナ法に関する認識不足などから、それぞれ、組換えアデノウイルス、組換えセンダイウイルス、
組換えトリインフルエンザウイルスを使用した実験について、確認申請を怠るなどの
不適切な実験を続けていた。【文部科学省】
http://www.eic.or.jp/news/?act=view&serial=16193
鳥インフルエンザ 違法ワクチンが原因説 石原農林水産事務次官記者会見
http://www.kanbou.maff.go.jp/kouhou/050905jimujikan.htm
Q: 鳥インフルエンザの件ですけれども、先週の家きん疾病小委の対応で違法ワクチンが原因説というのが否定できないという意見が出されたんですが、今後、その感染経路究明に向けて農水省としては、どういうふうに対応するのかお聞かせください。
A: この感染経路でございますけれども、ご案内のとおり感染経路の究明につきましては、農林水産省で専門家からなる感染経路究明チームを組織しまして、対応してきているところでございます。
それで、9月2日の家きん疾病小委員会におきまして、これまでの調査や検討の状況を踏まえまして、一つは遺伝子解析によれば、今回のウイルスは2000年前後に中米で採取されたウイルスと同じ系統であるとされていること。それから、二つ目には野鳥によりウイルスが侵入した可能性は極めて低いと考えられることから、ウイルスが生き残っている不良ワクチンの使用等人為的な感染経路の可能性も否定できない。とこのように二つが発表されたということでございます。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070128-00000029-kyt-l26
鳥インフルの原因「野鳥の可能性低い」 京産大センター長が指摘
1月28日22時17分配信 京都新聞
京都産業大鳥インフルエンザ研究センター長の大槻公一教授が28日、京都市左京区のホテルで開かれたシンポジウムで講演し、宮崎県清武町で発生した高病原性鳥インフルエンザについて、「鶏舎の構造上、野鳥が入る可能性はほとんど考えられない」と述べ、ウイルス感染した野鳥が直接原因となった可能性は低いとの見方を示した。
大槻教授は、清武町の現場を発覚6日後の今月17日に視察した際、防鳥網や消毒などの対策が取られていたとして、「あの養鶏場での発生はショック。ウイルス侵入の経路は 分からない」と、従業員からの聞き取りが必要と指摘した。
また、同シンポジウムで講演した北海道大の喜田宏教授は、宮崎県と岡山県での発生例について「いったん鶏で病原性を獲得したウイルスが野鳥に戻り、運んだ可能性がある」と述べた。
講演後、喜田教授は記者団に対して清武町の感染原因について「中国からのウイルスに違いないが、渡り鳥そのものでなく、二次的に何かにうつった」と分析し、今後、他地域でも発生する可能性もあるとして「早期発見して被害を最小限にコントロールするしかない」と話した。
最終更新:1月29日0時37分
H5N1ウィルスを運ぶ野鳥は世界のどこに 日本・英国・カナダ・アイスランド、どこでも発見されず
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/earth/epidemic/07021001.htm
農業情報研究所(WAPIC)
07.2.10
環境省が8日、宮崎県清武町の高病原性H5N1鳥インフルエンザ発生地を中心とする概ね半径10kmの範囲で捕獲・採取した野生鳥類のすべての検体で高病原性鳥インフルエンザウイルスは検出されなかったと発表した。
また、今年1月に実施した鳥取、島根、福岡、佐賀、長崎、熊本、鹿児島の7県15地点で採取したカラス類、カモ類、シギ類等の野鳥の糞便の検査でも、高病原性鳥インフルエンザウイルスは発見できなかった。そして、カラス類、カモ類、シギ類等の野鳥が多く集まっているねぐら等の場所で生息状況の確認を行ったが、今までのところ野鳥の大量死等の異常は確認されていないという。
環境省;宮崎県清武町の高病原性鳥インフルエンザ発生地周辺での野鳥のウイルス検査結果並びに国内での野鳥のウイルス保有状況調査の結果及び調査期間の延長について(07年2月8日)
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=8018
英国でも七面鳥農場でH5N1鳥インフルエンザが発生したが、北方からの渡り鳥が到達し始める昨年8月から現在までの合計4000羽を超える英国の調査でも、H5N1ウィルスはまったく発見されていない(英国H5N1鳥インフルエンザ勃発はハンガリーと関連?,07.2.5)。
カナダ食品検査局(CFIA)も昨日、2006年の鳥インフルエンザに関する野鳥サーベイランスの結果を発表したが、カナダ中から集められた渡り鳥と留鳥、及び北米・ヨーロッパからの鳥が入り混じるアイスランド(英国への渡りの経路にも位置する)で集められた鳥、合せて1万2000羽の検査でもH5N1を含む高病原性鳥インフルエンザはまったく発見できなかったという。
CFIA;Canada's 2006 Wild Bird Survey Concludes With no Findings of Highly Pathogenic Avian Influenza(07.2.9)
http://www.inspection.gc.ca/english/corpaffr/newcom/2007/20070209e.shtml
とりわけ日本へのH5N1ウィルス侵入経路については渡り鳥説が有力視され、それを念頭においた侵入遮断対策に力が注がれているようだが、H5N1ウィルスを運んでくる渡り鳥は一体どこにいるのだろうか。野鳥、渡り鳥の感染率が極めて小さいために発見が難しいだけかもしれない。しかし、それが感染源だとすれば、発生地域周辺にも決して存在しないわけではないだろう放し飼いの鶏ではなく、専ら多少なりとも野鳥との接触に対する防護措置が取られている大規模養鶏場の鶏がやられるのか、その説明が必要ではなかろうか。さもないと、納得できる感染防護措置も見つからない。
英国環境食料農村省(DEFRA)は8日、英国七面鳥農場でのH5N1鳥インフルエンザ勃発とハンガリーでの勃発・ハンガリーからの輸入鶏肉の関連の可能性を調査していると発表した。この農場を持つバーナード・マシューズ社は、農場に隣接する工場で加工する冷凍鶏肉をハンガリーにある同社農場から輸入していたことから、これが有力な感染源と疑われている。DEFRAは、これは、他のあり得るルートとともに、徹底的に調査することが重要だとし、食品基準庁(FSA)やハンガリー当局、欧州委員会とも共同して調査を進めていると言う。野鳥にウィルスが発見されない以上、産業内部でのウィルス伝播の可能性も考えざるを得ないし、たまたま七面鳥農場を持つバーナード・マシューズ社がハンガリーに家禽企業を持っていたことがこの可能性の追求につながったのだろう。
DEFRA;Avian influenza outbreak update(07.2.8)
http://www.defra.gov.uk/news/latest/2007/animal-0208.htm
FSA;Bird flu second update: 9 February 2007
http://www.food.gov.uk/news/newsarchive/2007/feb/avianflu
関連報道
Tests on Hungary bird flu 'link',BBC News,2.9
Bird flu officials investigating Matthews turkey plant in Hungary,The Guardian,2.9
渡り鳥をH5N1ウィルス国内持ち込み犯人とすることは”科学的”か
農業情報研究所(WAPIC)
07.9.7
9月6日に開催された農水省食料・農業・農村政策審議会家畜衛生部会第26回家きん疾病小委員会において、今年1月から2月にかけて宮崎県と岡山県で発生した高病原性鳥インフルエンザは、海外から渡り鳥によって国内に持ち込まれたと「想定される」と結論された。「渡り鳥からウイルスが分離されるなどの直接的な証拠はないものの、海外の事例などから渡り鳥による国内へのウイルスの持ち込み、野鳥や野生生物による農場内へ持ち込みが想定される」という。
食料・農業・農村政策審議会家畜衛生部会第26回家きん疾病小委員会の概要について,07.9.6
このように言うことで、小委員会は、事実上、他の感染経路をすべて排除している。「直接的な証拠」がないにもかかわらずこのように結論することは”科学的”なのかどうか、疑問を禁じえない。
というのも、今月初めにバンコクで開かれた、H5N1ウィルス株の拡散における野鳥の役割について情報を共有するためのアジア12ヵ国代表者の会合において、”肯定的”検査結果だけが認められ、”否定的”検査結果については科学誌に発表されることさえない伝統的な科学の”慣行”への疑問が噴出したからだ。
HEALTH: 'Avian Flu Spread by Poultry, Not Wild Birds' ,IPS,9.3
この疑問は、家禽集団に感染した鳥インフルエンザのケースに野鳥を関連づける明確な証拠がないことから出てきた。鳥インフルエンザ・サーベイランス・グローバルネットワーク(GAINS)のウィリアム・カレシュ氏の語るところでは、”否定的”結果が正しい可能性を証明する科学の”規定”は存在せず、繰り返し”否定的”結果に直面したとき、科学者は、この情報を公表せず、”肯定的結果”か、”新発見”しか公表しない。
国連食糧農業機関(FAO)の鳥インフルエンザにかかわる国際野鳥コーディナーターのスコット・ニューマン氏は、”これは、我々が直面する興味あるパラダイムだ”、”肯定的検査結果(陽性)は病気(鳥インフルエンザ)のエコロジーを理解するために重要だ。しかし、この場合、否定的結果(陰性)も同じようにこの病気の理解に貢献している”と言う。
カレシュ氏は、”参加国からの否定的発見の諸報告は魅惑的なものだった。しかし、そのほとんどがすべてが科学誌に発表されることはないだろう”と言う。野鳥のH5N1ウィルス検査結果についても同様だ。FAOのバックグランド・ノートは、”2005-2007年にヨーロッパ、アジア、アフリカ、アメリカで採集された健康な野鳥からの35万以上のサンプルがH5N1陰性だった”ことを明らかにしている。ほんの僅かな研究が”陽性”を報告しているにすぎない。
ニューマン氏は、過去3年、世界中で多くの野鳥サーベイランスを行ってきたが、この病気の野鳥宿主は見つからなかった、それだけでなく、渡り鳥が家禽農場から感染した例をあげ、”現実には野鳥が犠牲者である”ことを示唆する証拠が増えつつあると言う。野鳥の世界にウィルスが入り込むのはこのようにしてだ。FAOによると、H5N1で死んだ放し飼いの鳥は三つの種類に分けられる。渡り水鳥と、渡り鳥ではないが”家禽から野鳥に病気を伝達する役割を演じる”ブリッジ種”と、”略奪、病気や死んだ鳥を漁ることで最も病気を得やすい”捕食鳥だという。
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実際、宮崎、岡山のケースでも、たった一例の野鳥(熊本のクマタカ)”陽性”が強調されるだけで、他の多数の”陰性”例は何を意味するのか、十分な解明、あるいは説明がなされているようには見えない。だからといって、、小委員会の結論が間違っているとか、別の結論をすべきだったとか言うつもりはない。言いたいのは、検査で「繰り返し”否定的”結果」が出る渡り鳥を国内へのウィルス持ち込みの唯一の”犯人”とすることが”科学j的”かどうかを疑う余地は十分にあるのではないか、そうする(疑う)方がはるかに”科学的”な態度ではないかということだ。そして、この結論に基づく鳥インフルエンザ予防・防止策に大穴が開かないように祈るのみである。
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/earth/epidemic/07090701.htm