はい、しげのですが?

匿名でないと困ることは書かない。最近は体調不良で投稿めっきり減ったが。

大田区は支援者不足を確認していない、という嘘。

2015年02月26日 19時51分05秒 | 障害者権利条約Vs障害福祉

怒りが収まらない。今日の健康福祉委員会である。 

大田区自立支援連絡会が提出した陳情の審議があった。

陳情は連絡会のウェブサイトを参照してください。
http://jiritusienoota.jimdo.com/2015/02/23/%E9%99%B3%E6%83%85%E6%9B%B8%E3%82%92%E5%A4%A7%E7%94%B0%E5%8C%BA%E8%AD%B0%E4%BC%9A%E3%81%AB%E6%8F%90%E5%87%BA%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F/

この陳情への理事者説明として、障害福祉課は、陳情提出理由にしている「支援者が不足しているために支給決定されている移動支援のサービスが供給できない」という事実自体を確認できない、という見解を、出してきた。支給決定の時間数と請求された時間数の開きは、利用者の事情による利用の自粛だというのだ。

支援者が不足しているから移動支援の要請を断らざるを得ない状況を、現場経験の長い課長が、知らないはずがない。行政としての不作為を追及されたくない、当局上層部の意向だろう。だから、知っていることを、知らない、と嘘をつかされているのだと思う。

障害福祉課の説明が虚偽であるという根拠を3点上げようと思う。特に3点目が重要。

1.移動支援事業所の仲間と一緒に仕事をしている僕は少なくとも、「ヘルパーが見つからないので、待ってください。同時に他の事業所もあたってみてください。」という返事をして半年も1年も経ってから、やはり同一の依頼者から同じ依頼がある例を知っている。そして、現に移動支援をおこなっている利用者に対しても、ヘルパー不足から、実際に利用者が必要な要望の一部しか応えることができない状況も知っている。また、一人ヘルパーが体調不良等で動けなくなれば、その穴を埋めることは困難で、大量のスケジュール組み換えが発生し、結果的に他の利用者にもスケジュールの変更をお願いしたり、それでもだめならキャンセルをお願いしたり、という日常であることも知っている。そして、この状況はうちの法人に限ったことではないことも知っている。だからこそ事業所の連絡会である大田区自立支援連絡会で陳情を出すにいたった。でもまあ、それは事業者の言いぶんで行政は確認していない、と言うかもしれない。

2.大田区自立支援協議会の地域資源評価開発部会では、移動支援の課題について3年度連続して評価検討が加えられ、昨年10月に出された今年度の中間報告では、以下が明確に記されている。以下引用。
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☆大田区での課題
<制度・大田区>
①報酬単価
②支給決定要件情報提供の不足
③支援者の不足
④職員の対応に差がある
⑤請求事務手続がマニュアル化されていない
<事業所>
⑥区・事業所(居宅介護・相談支援)間の連携不足、ヘルパー不足、ヘルパーのスキルと事業者の質の強化
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自立支援協議会は国の法律に基づいて設置されているものであり、もちろん大田区の条例と委嘱状に基づいて運営されている公的なものと認識しているが、その部会の評価を議会に提示しないのは虚偽と呼ばれてもしかたないのでは。だが、それでも協議会の評価と区の認識は異なる、と言うのかもしれない。


3.大田区障害者計画・第4期大田区障害 福祉計画策定のためのアンケート調査 報告書より。
http://www.city.ota.tokyo.jp/kuseijoho/ota_plan/kobetsu_plan/fukushi/syougaisyahukushi/4kikeikaku/report.files/report.pdf

P54 【知的障がい者調査】地域生活支援事業の利用意向
「移動支援」を現状以上に利用したいという回答が8割近くとなっています。

p66(2)事業者への要望〔 児 問18・者 問19・精 問18 〕
あなたは、サービス事業者に対してなにか望むことはありますか。(○はいくつでも)
『身体障がい児調査』では、「サービス従事者(ホームヘルパーなど)の質の確保」「依頼したときにはいつでもサービスを利用できるだけの人員を確保」「利用する曜日・時間帯に制約がないこと」が、いずれも5割を超えて、高くなっています。
『知的障がい児調査』では、「依頼したときにはいつでもサービスを利用できるだけの人員を確保」「サービス従事者(ホームヘルパーなど)の質の確保」が、いずれも5割を超えて、高くなっています。
『難病児調査』では、4人中3人が「契約にいたるまでの十分な説明」と回答しています。
『身体障がい者調査』では、「依頼したときにはいつでもサービスを利用できるだけの人員を確保」「利用する曜日・時間帯に制約がないこと」「サービス従事者(ホームヘルパーなど)の質の確保」「契約にいたるまでの十分な説明」が、いずれも2割前後となっています。
『知的障がい者調査』では、「依頼したときにはいつでもサービスを利用できるだけの人員を確保」「サービス従事者(ホームヘルパーなど)の質の確保」が、いずれも3割を超えて、高くなっています。
『難病患者調査』では、「サービス従事者(ホームヘルパーなど)の質の確保」「依頼したときにはいつでもサービスを利用できるだけの人員を確保」「利用する曜日・時間帯に制約がないこと」「契約にいたるまでの十分な説明」が、いずれも2割を超えています。
『精神障がい児・者調査』では、「契約にいたるまでの十分な説明」と「利用する曜日・時間帯に制約がないこと」が最も高く、いずれも20.9%となっています。次いで、「依頼したときはいつでもサービスを利用できるだけの人員の確保」が19.8%、「サービス従事者(ホームヘルパーなど)の質の確保」が19.0%と続いています。

p137 第3章サービス事業者調査結果の詳細
問11 貴事業所が事業を運営する上での主な課題をお答えください。(○は3つまで)
「スタッフの確保」が最も高く、52.6%となっています。次いで「スタッフの人材育成」が35.1%、「設備・スタッフなどが不足し、利用者のニーズに応えられない」が30.9%と続いています。

区が障害福祉計画策定の根拠として実施したアンケート調査報告に以上のような記述がある。この報告をどう解釈すれば、支援者不足でサービスが供給されていない状況が確認できないと言えるのだろう。

明日の採決前の討議で、区として誠実な説明があることを期待したいが…
もし今日と変わらないのであれば、以降は、さまざまな場所で、区と「事実認定をめぐる険悪な論争」をしなければならないのかもしれない。非常に不毛で残念なことではあるが。


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1 コメント

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誰がこの回答を語らせたか (***)
2015-03-06 02:57:04
「障害福祉課は、陳情提出理由にしている「支援者が不足しているために支給決定されている移動支援のサービスが供給できない」という事実自体を確認できない、という見解を、出してきた」とのこと。

答えたのは障害福祉課長らしいのですが、どうも彼がこの回答を考えたとは思えません。別に彼が人格者だから、そんなことを思いつくはずがないというのではなく、小官僚のような彼に、こんな大胆な事実と違う回答が出せるとは思えないのです。

だとしたら、誰が、何のために、こんな回答を準備したのかが気になります。

早晩、ばれる嘘を大田区はなんのためについたのか、それを思いついたのは誰なのでしょう?
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