他にもっと宿題があるだろう、ということは承知しつつも、また、探せば他にも述べている人は多い、ということは知りつつも、周囲の人たちの認識があまりに不正確なので、改めて取り上げることにする。
清涼飲料水には果糖が添加されている。
よく「糖分のとりすぎ」が問題、と言われるが、正確ではない。
コーラの常飲で体調を崩している人は「糖分=カロリー過剰」が問題なのではない。とりわけ果糖の過剰摂取が危険なのだ。
「スクロース(砂糖)は、グルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)が結合した糖であり、二糖類の一種である。無色結晶、甘味を有する、水に溶けるという二糖類共通の性質を持つ。加水分解するとグルコースとフルクトースを生ずる。スクロースは、小腸壁に存在する消化酵素「サッカラーゼ(インベルターゼ)」によりグルコースとフルクトースに加水分解され、小腸で吸収されて血流に入る。この反応は短時間で起こるため、血糖値を急激に上昇させる。 」wikipedia
砂糖を摂れば小腸でブドウ糖と果糖に1:1で分解される。
ブドウ糖は体内のエネルギー産生に深く寄与し、体内での利用や回収など、健康体であれば調節機能がよくできあがっていることがかなり解明され、知られている。
ところが果糖についてはいまだに生体内に入ってからの働きに不明な点が多く、また、非常に乱暴な言い方をすれば「毒性がある」(肥満、2型糖尿病、心血管疾患、脂肪肝など、代謝病と果糖の消費の相関が疫学的に指摘されている。)。
その上、ブドウ糖に有効な過剰摂取対策が果糖には効かなかったりする。
「砂糖病」という言葉もあり、砂糖の過剰摂取はいろいろな問題を引き起こすが、その主因は果糖にあると推測される。
ところが、清涼飲料水の甘味料としてに用いられているのは、砂糖ではなく果糖そのものだ。
その理由は以下にある。
「フルクトースが商業的に食品や飲料に使われる主な理由は、そのコストの低さと相対的に強い甘さである。フルクトースは天然に存在する糖の中では最も甘く、スクロースの1.73倍甘いとされている[14][15]。その甘さはフラノース型のものであり、ピラノース型のものは砂糖と同程度の甘さである。フルクトースは暖めるとピラノース型が形成される[16]。フルクトースは高温ではスクロース(砂糖)の 60% の甘味度しかなく、40 ℃ 以下でないと砂糖よりも甘くならないので、フルクトースの甘さは温度によって大きく左右される。フルクトースを含む果物や転化糖は、冷やすと甘味が強くなる。
フルクトースの甘さはスクロースやデキストロースよりも早く知覚され、味の感覚はスクロースに比べより早くより強いピークに達し、早く減衰する。フルクトースは他の風味を強めることもできる[14]。
フルクトースとグルコースは末梢受容体のみならず、脳への影響レベルも異なり、食欲に対する影響も異なる。フルクトースは満腹に関連するホルモンのピークが低く、満腹感を与えにくいことが推測された[17]。 」
wikipedia。[14][15][16][17]は注(引用省略)。
つまり、
1)安くて、甘みが強く、冷やすとより甘みが強くなる。
2)甘さが早く知覚され、早く減衰する。また満腹感も与えにくい→連続して大量に摂取しても満足感が得にくい。
なお、果糖の過剰摂取の際に体内で行われる処理は、やはりwikipediaに以下の記述がある。
他に最近の研究によれば、通常に摂取する程度の量であれば、小腸の酵素で転換されるが、処理量を超えると小腸から肝臓に達することがわかっている。その後は、以下の処理が行われている。
「フルクトースは、グルコースに比べ開環率が高く(約10倍も糖化反応に使われやすいため[10])、生体への毒性はグルコースよりも遥かに高い。この毒性を早く消す目的で、肝臓はグルコースよりもフルクトースを優先的に処理する[20]。
フルクトースは、腸から吸収されると門脈から肝臓に達し、肝細胞に入るとグルコースよりも速やかにフルクトキナーゼによりリン酸化されてフルクトース-1-リン酸を生成し、フルクトース-1,6-ビスリン酸を経て解糖系に入り、ピルビン酸を生成する。大量のフルクトースの摂取はピルビン酸の処理が追いつかず多量の乳酸を生じ乳酸アシドーシスを発症する場合がある。
多量のフルクトースの摂取はピルビン酸を脱炭酸して多量のアセチルCoAを生じ、脂肪酸の合成に利用され、中性脂肪の生成を促進する。慢性的な中性脂肪の生成は高トリグリセリド血症をきたす。
なお、空腹時には、フルクトースはフルクトース-1,6-ビスリン酸を経て糖新生に入り、66%がグルコースに変換されると言われる。また、グルコースは、門脈を経て肝細胞内に入るとリン酸化されてグルコース-6-リン酸となり、細胞内に留まることが可能となり、必要に応じて肝臓のグルコース-6-ホスファターゼによりリン酸が脱離されて再びグルコースになり細胞膜中を輸送されて肝静脈に放出される。これはグルコースの代謝量を調節するために重要であるが、フルクトースにはこのような調節機構がないことにより速やかに各種代謝が進行する[21]。 」
wikipedia。[10][20][21]は注(引用省略)。
他に、果糖の危険性について参照すべきものを2つ。
(1)CDEJ News Letter第22号 2009年4月 フルクトース摂取の功罪
帝京大学内科 山内 俊一
www.cdej.gr.jp/common/fckeditor/editor/filemanager/connectors/php/transfer.php?file=/NewsLetterUpdate/uid000001_3230303930345F342E706466
(2)ダイヤモンド・オンライン 2018.9.7 一流メディカルスクール教授が「砂糖は毒だ」と断言する理由
ロバート・H・ラスティグ 中里京子
https://diamond.jp/articles/-/179248