憧れの金沢21世紀美術館に行ってきた。
「スイミング・プール」を体験してきた。
創設時に恒久展示作品として選ばれたレアンドロ・エルリッヒ(南米出身)の秀作である。
小さめのプール(2×5mくらい)には上の方10cmほどに水が張ってあり、その透明の底板の下は、地下通路から人間が入り込める高さ2mほどの空間になっていて内側はプールのように水色に塗られている。
そこでどういうことが起こるかというと、プールを上から覗き込む人間からは、水の下の空間に立っている人の姿が見えて、逆に、水の下の人間からは、プールを上から覗き込む人の姿が見える。見えると言っても厚さ10cmの水を介しているので、その姿は揺らぎ、顔も表情もはっきりとはしない。衣服の色や姿勢などがかろうじて判別できるだけ。
これは確かに水を溜めたプールには違いないのだが、泳ぐためではもちろんなくて、1㎥ほどの揺れる水を隔てて、人間同士が出会う仕掛けなのだ。上から覗く人からは下の空間に入って上を覗く人がオブジェとなり、逆に、下から見上げる人にとっては、上から覗き込む人がオブジェとなる。だから、反対側に人がいないことにはつまらない。誰かが覗いていてくれてこそ楽しい! これは人間の本質(好奇心)を見事にアートにしてくれている仕掛けなのである。
これを「恒久施設」として選定した人々の目の確かさを感じる。21世紀美術館の評価はこの作品によって高まったにちがいない。
作者レアンドロは「アート作品を作る行為とは、手紙を書いて送るようなもの」と語っていた。
実にウキウキする手紙だった。忘れられない便りとなりそうだ。——レアンドロに返事を書きたい! でもこれに太刀打ちできるような作品というのは至難の技。同じ手紙を受け取ったアーティストたちによって次々とエコーのように素晴らしい作品が生まれることを期待したい。
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