資料室の逵です。
本日(3月11日 晴)の旧取水口の 水位は94cm、石は4つ見えます。
昨日は日本民俗学会の「2023年度民俗学関係卒業論文発表会」がオンラインでありました。事前に送られてきた発表のタイトルに「背景化する開削者顕彰・前景化する水神祭祀―現代の明治川神社の祭祀と用水受益者の視点から―」があり、かつて水争いをした矢作川下流の明治用水の開削者顕彰の状況を知りたいと思い拝聴しました。
報告者の大学4年生OSさんからは、明治用水の神社=明治川神社の祭祀の様子が丁寧に報告され、また枝下用水開削者・西澤眞蔵が祀られていることにも触れられました。自身も小学生のときに明治用水のことを勉強したそうで、そうした経験が卒論のテーマとつながったのでしょうか。配水総代への聞き取りをおこない、明治用水の方たちの開削者への思いを知ることができました。
報告のなかで明治川神社でおこなわれる祭祀の他に、受益地でも祭祀がおこなわれているようだが、それを調べるのが難しいと話していて、私たちが枝下用水の受益地での開削者祭祀を追ったときにことを思い出しました。
私たちは枝下用水史編集委員会を作り、豊田土地改良区のなかで作業することができ、役員に向けて枝下川神社祭祀の直会のときに協力を呼びかけ、ニューズレター「枝下用水日記」にも報告しながら他にもないかと繰り返し呼びかけ、数年をかけてようやく20ヶ所もの調査をおこなうことができました。
それがこの成果です。
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この一覧ができたときに、受益者のみなさん自身が、こんなにあちこちでやっていたのかと驚かれたことを思い出します。
大学の卒業論文で取り組んだテーマ、ぜひこれからも調査を続けてほしいと思います。そして私たちもこうした成果をこれからも積み重ねることが出来るよう、頑張りたいと思います。
枝下用水の開削者顕彰については、矢作川研究所HPで、刊行物の年報「矢作川研究」No.16(2012年)に「農業用水における開削者祭祀 −枝下用水と西澤真蔵−」を掲載しています。