今年度アンデルセン美術課題第1弾は「モナ・リザ」の模写。さすがにウチの生徒にもモナ・リザの知名度は高かった。クラス全員知っていた、とりあえず。
「いくらくらいするの?」と生徒の一人に聞かれ、答えに窮した。以前、授業で有名な絵画というものが、いかに高いかを生徒達に話したことがあるからだ。
おそらく現存する絵画の中で最も値段が高いと思われる。ただ、ルーブルがこの絵を売りに出すことはあり得ない。プライスレスというやつだ。
これまでの絵画作品の最高額とされているのが、2004年のサザビーズのオークションで落札されたピカソの「パイプを持つ少年」で、これが1億416万ドル(約113億円、手数料含む)。
この絵については話題になった時、見たことのなかった絵で、ピカソのパーソナルな絵画史においても重要な作品なのか疑問もあり、113億はちょっとないだろう、と思った。
ピカソ、マチス、ゴッホ、ルノワール、マネ、などポピュラーな画家の代表作は、すべて軽く10億を超えるだろうが、レオナルドのモナ・リザは別格だろう。
仮にフランス政府が財政赤字に窮し、モナ・リザを手放すことを公言したら、いくらの値が付くだろうか。オイルマネーのうなるアラブ諸国の富豪あたりが名乗りを上げるだろうか。500億から1000億円の間くらいか。もっとか。もっとだろうな。1200億円くらいだと僕は思う(ちなみに僕は「何でも鑑定団」のファンだ)。
そんな前フリもあって、生徒達は一所懸命に思い思いのモナ・リザを描いてくれた。デュシャンがモナ・リザにひげを加えて作品とした話をして、「好きなように変えてもいいからねえ」とゲージツに理解ある先生を演じたが、本当のところ、生徒のヘタウマ絵画で笑いたかったのだ。ま、これはいつものことだが。
今回はみな、なかなかお上手で、「笑える」という点ではイマイチだった(不謹慎な先生で申し訳ない)。
というわけで、
画像上:(左)モナリザ原画(右)モナリザに眉毛を描いたもの
モナ・リザの眉については、当初はあったのに経年のため消えてしまった、という説がある。で、描いてみた。けっこう可愛くなった。
画像下:左から
●3年ICさん作「るんるんモナ・リザ」。「先生、変えてもいい?」、「いいよ、いいよ」、「車、描いてもいい?」、「いいよ、いいよ」という指導の結果。
●1年TAさん作「モナ・リザ・イン・ブルーズ」。なんとなくブルーズが漂う。生活に追われ、なかなか希望が見いだせない毎日の中で、ふっと輝いていた遠い日々のことを思いだし、微笑む。「あの頃は楽しかったわ…」みたいな「…」を感じさせる作品だ。
●2年HT君作「モナ・リザ、ゴーギャン風」。彼は僕のイチオシ生徒の一人。彼はゴーギャンを知らないと思うが、色遣いは印象派。マジでいいと思う。
●専攻科1年TYさん作「モナ・リザ、フォービズム風」。ピカソが晩年求め続けていた絵画のエッセンスがここにある。無敵のモナ・リザ。彼女、以前は自分が絵が下手だというコンプレックスがあり、なかなか描いてくれなかったが、今はばんばん描いてくれる。笑った。ありがとう。
好きです。
やっぱり、「ダ・ヴィンチコード」ですか?
私は「海猿」見てきちゃいましたけど...(同じ映画館で上映されてました)
TYさんの絵にはいつもカルーくショックが走ります。絵はやっぱり中途半端はだめです。上手いか下手か。
僕はアマノジャクなので流行ってる内は見向きもしません。「ダ・ヴィンチコード」の話ですが。おもしろいのだと思います。レオナルドの人と作品については謎が山ほどある。レオナルド=タイムトラベラー説、というのを僕は信じてます。
以前友達の息子の描いた「かもとりごんべえ」の絵を見てすごくいいなぁと思ったのですが、それを見た絵の先生にはぼろくそ言われたって言ってました。
ただ食べ物やお酒なんかも自分の口に合ったものが一番ですよね、人がなんと言おうと...
よく「芸術(絵)はよくわからない」などと言いますが、絵はわかる、わからない、ではなく、好きか嫌いかでしょう。基本的に。音楽と一緒だと思います。
ただ、いいものをたくさん鑑賞することで「眼」を養うことはできる。しかし、先入観や知識だけで評価すると間違う。巷で騒いでいる盗作が看破できなかったのはその辺のところだと思います。
「かもとりごんべえ」の絵、見てみたいです。子どもが描いた絵をぼろくそに言う先生が信じられません。