このあいだほぼ日でネット中継されていた「広告サミット2005」で、矢沢永吉さんの「成りあがり」という本の話題が出ていた。
糸井さんがずっとついて取材をしたという。
この本の名前は聞いたことがあった。
どこでだったかは忘れたけれど、ぽつりぽつりと、いろんなところでこの本の名前を聞いたように思う。
一度読んでみようかな、と頭の片隅で思ったことはあったけれど、いままではその機会がなかった。
ちょっと、読んでみようと思った。
そしたらネットは便利だね。
探して、調べて、すぐに買うことができる。
早速その「成りあがり」と、いっしょに「アー・ユー・ハッピー?」を注文した。
「アー・ユー・ハッピー?」は、以前にほぼ日で紹介されていたのを知っていたのと、いつのまにか文庫化されていたのと、「成りあがり」とセットで読んだらおもしろいとのことだったので買ってみた。
届いて、読んだ。
読みやすい、というのもあるけれど、自分にしては珍しく3日で2冊、読み切ってしまった。
おもしろかった。
自分は、「矢沢永吉」という人のことをあまりよく知らない。
曲をきちんと聞いたこともない。
昔に「キャロル」というバンドがあったということも知らない。
缶コーヒーのCMに出ていた、なんて印象が強かったりもする。
だいたい、クレジットを見てみたら「成りあがり」が最初に単行本になったのが、自分の生まれた年だ。
それでも、この2冊はおもしろかった。
「成りあがり」ではただひたすらに熱い、
「アー・ユー・ハッピー?」では穏やかで強い、
正直で、素直で、逃げない、
本人の言葉でそれぞれ書かれていた。
どちらかといえば、20代で出した「成りあがり」よりも、50代で出した「アー・ユー・ハッピー?」のほうが、対比して読んだという事もあるのだろうけれど時間の経過が感じられて、自分は好きだった。
貧乏も、屈辱も、サクセスも、富も、名誉も、裏切りも、家庭も、離婚も、
いろんな経験をしてきた矢沢永吉という人が、昔を振り返って
「オレはいまだから言える。人の痛みをわかりたいと思う。あいつはなんでこんなことを言うんだろうな、ってことがわかりたいと思う。」
と書いている。
すごい、心にきた。
最後の方でこんなことが書かれていた。
「アー・ユー・ハッピー?」ということばには、たぶん、「アー・ユー・ファイティング?」という意味が、隠れているのかもしれない。
アー・ユー・ハッピー?
そう問い掛けられたら、自分はどう答えるだろう。
たぶん、いまはアンハッピーと答えるだろう。
ハッピーと言えるだけ、自分が納得出来るだけ闘ってはいないと、そう思うから。
それは、ほんとに、さみしいことだよね。
もう一度、きちんと考えなければいけないな。
これを読んで、また以前のほぼ日の記事(
①②)を読み返したくなった。
いま読み返したら、また新しい発見があるんだろうな。