ルーシー・リー 《鉢》 ルーシー・リー 《花生》
杉山孝氏所蔵 個人蔵
Photo by Satoru ABE Photo by Hideya AMEMIYA
感動するってこんな感じだった!?
魅入る、こんな展覧会はいつぶりだろう。
これを知らずに生きていたとは、モッタイナイ、そんな気持ちになった。
ルーシー・リー展、ニューオータニ美術館で11月20日(日)まで開催されている。
ニューオータニでの茶道具展に誘われ、その帰りにふらりと立ち寄った。
ルーシー・リー、その世界に心は魅了され、先に観た茶道具の残像は綺麗さっぱりどこかへ吹き飛んだ。
このようなお道具で茶会を催すなら天国の千利休もどんなにかお喜びになるだろう。
デザイナー利休が生きていたらルーシー・リーに何を想うのだろう。
ルーシー・リーの作品に利休形を観たのは私だけだろうか。
彼女の人生における記すべき3人との出会い。
バーナード・リーチとの友情から陶芸への深化を。
ハンス・コパーとの出会いがスタイルの確立を。
そして最愛の人フリッツ・ランプル、彼は優れた吹きガラス作家でもあった。
今度はそのようなことにも想いを馳せながらルーシー・リーの作品をじっくり観てみたいものだ。
●オーストリアで生れたルーシー・リー(1902-1995)は、ロクロにひと目ぼれし、ウィーン工業美術学校で陶芸コースを選択しました。
● 以来ウィーン分離派、ウィーン工房の活躍する時代にモダンな作風の陶芸家として地位を築いていきましたが、ナチスから逃れるために1938年渡英。 その後も「掻き落し」や「象嵌」、2種類以上の粘土を合わせてロクロ挽きすることによって螺旋模様を作る「スパイラル」などを取り入れて、独自のスタイルを築き上げました。
● ルーシーの作陶過程には独特の手法がとられています。まず、素焼きを行わずに1回で焼成させます。また釉薬は、掛け流しや浸し掛けをせずに、ほとんどロクロ上で筆を使って掛けられます。
● 本展では、初公開作品を含む陶磁器約60点と釉薬の研究のもととなったボタン、ルーシーがバーナード・リーチに贈った≪ティーカップ&ソーサー≫、リーチからの≪お礼状≫、1987年に発行されたルーシー・リーの記念切手を'ルーシー・リーの生涯'や'技法'にも触れながら展観していきます。
● そして、シンプルでありながら洗練されたそれらの作品を通して、現在も欧米で大きな影響を与え続けるルーシー・リー
【ルーシー・リー略年譜】
1902 ウィーンに生まれる
1922 工業美術学校に入学(ロクロのとりことなる)
1923 ブリュッセルのストックレット宮殿に最初の作品が展示される
1926 工業美術学校卒業/ハンス・リーと結婚
1935 ブリュッセル国際展で金メダルを受賞
1936 ミラノ・トリエンナーレで金メダルを受賞
1937 パリ国際展で銀メダルを受賞
1938 9月イギリスに渡る
1949 ロンドンのバークレイ・ギャラリーで最初の展覧会を開催
1950 1951 1953 バークレイ・ギャラリーでハンス・コパーと共同展
1955 イェーテボリのロースカ美術館でハンス・コパーと共同展
1956 バークレイ・ギャラリーでハンス・コパーと共同展
1957 ミネアポリスのミネソタ大学でハンス・コパーと共同展
1960 バークレイ・ギャラリーで個展
1964 東京での現代陶芸国際展に参加/ミュンヘンの国際展で金メダルを受賞
1966 バークレイ・ギャラリーで個展
1967 ロッテルダムのボイマンズ美術館でハンス・コパーと共同展
セント・ジェームズ・スクエアのアーツ・カウンスル・ギャラリーで回顧展
1969 ロンドンの王立美術カレッジより名誉博士号を授与される
1972 ハンブルクの美術工芸館でハンス・コパーと共同展
1979 デュッセルドルフのヘッチェンス美術館で個展
1983 ストラッドフォード・アポン・エイヴォンのピータ・ディングリー・ギャラリーで個展
ニューヨーク、グラハム・ギャラリーで個展
1989 東京、草月会館と大阪市立東洋陶磁美術館で「イッセイミヤケ・ミーツ・ルーシーリー」展開催。
1990 ノーリッチのセインズベリー視聴芸術センターとケンブリッジのフィッツ・ウイリアム美術館で
「ルーシー・リー、ハンス・コパーとその生徒達」展開催
10月脳梗塞によって陶芸生活の終わりを余儀なくされる
1994 ニューヨークのメトロポリタン美術館で「ハンス・コパーとルーシー・リー」展開催
1995 ルーシー・リー死去
1997 ロンドン、バービカン・アート・ギャラリーで
ルーシー・リーとハンス・コパーの「Potters in Parallel」展開催
1999 ウィーンの応用美術館で展覧会
2001 レミントン・スパでルーシー・リーとハンス・コパーの展覧会
画像・以下はニューオータニ美術館HPより
http://www.newotani.co.jp/group/museum/exhibition/lucie/index.html
参考文献:利休形 世界文化社
トロの母さんの吹きガラスの作品だ。
私ごときが僭越だが、拝見する度に作品やそれらを創造する心意気がまた一つ高みへと上り行くのを感じる。
そこに自分を映し出す時こちらに書かせていただくのが恥ずかしい気がした。
そしてガラスについて造詣を深めるべく書店へ図書館へ美術館にと足を運んでみた。
当たり前ながらガラスの世界も奥深い。
連休も終わり、肌を纏う雨の湿り気が秋の深まりはじめるのを教えてくれた。
季節が巡っても、更新できないブログ。
私にガラスの薀蓄は語れない。心に浮かぶことを書いてみたい。
左の白い水玉のグラスは今宵のマイグラスに。
遠い日を懐かしく思う気持ちにほんわり温かく寄り添ってくれそうだから。
学校をサボってはよく出かけた骨董市。今も川越成田山別院で毎月28日に開かれる。
高校生だったあの日、境内を埋め尽くす骨董の中にガラスを見つけた。
白から乳白色へのグラデーションがガラスに溶け出すように水玉を作っていた。
その姿に時の深まりを感じた。
真ん中のグラスはシェイカーのテーブルにも合いそうだ。
右のグラスはスペインが薫るようだ。
サングリアを入れて楽しむ?それともダリな気分に浸る?
トロの母さん素敵な作品をありがとう!