星さんぞう異文化きまぐれ雑記帳

異文化に接しての雑感を気ままに、気まぐれに

別府温泉道名人への足あと(5)第5湯 駅前高等温泉

2016年05月31日 23時59分06秒 | Weblog
ホリデーハウスに滞在したら、内成地区を知るためにも周辺の散策は必須アイテムです。なんせ日本人の心に残る原風景がテンコ盛りですから肩から力が一気に抜けて、体が癒されるだけでなくて心の中まで洗われて、「日本人でよかったぁ!」とつくづく感じる瞬間の連続です。

 
   

こんな景色を見た後は、日本人なら温泉にでも浸かって「あ〜あ極楽ごくらく!」と行きたいところです。地獄までは30分のドライブですが、普通の極楽なら15分のドライブで到達可能です。カミさんは「わたしゃ畑の菜っ葉の虫でも退治してたほうがいい」とのことだったので、昼飯の後は単身で別府温泉に乗り込みました。



別府初心者としては駅前の有料駐車場に停める他には策がなく、入湯料100円の温泉に入るのに300円の駐車料金をはらう、なんともコスパの悪いことですが、別府の友人知人から「無料駐車術」を後日教わるまでは税金代わりと観念したことでした。


駅前に車停めて駅前ロータリーからバス通りを別府湾に向かって歩き出すと、大正時代か昭和初期にタイムスリップしたような、なんともレトロな雰囲気に包まれた西洋館が目の前に現れました。「駅前高等温泉」とはなんともわかりやすい名前の温泉ですが、これが温泉とは知らずに通り過ぎてしまいそうです。
「あつ湯」と「ぬる湯」どちらかを選べと言われ、無難な「ぬる湯」を選んだ別府初心者です。

いつの日か機会を作って宿泊しながら両方の湯につかってみようと思います。

何が「高等」なのかは聞き忘れてしまいました。

別府温泉道名人への足あと(4)第4湯 堀田温泉

2016年05月30日 01時16分06秒 | Weblog
格安のレンタカーでも二週間借りるとなるとかなりの出費で頭の痛いところですが、ホリデーハウスは別府の裏山にあり車無しでは生活できません。そこにまたまた救世主現る!いつもお世話になっている別府の友人Tさんから、うちに乗ってない軽自動車があるから使えとの有り難いお話です。でも、二日前に借り出したばかりのレンタカーを三日目でキャンセルするのは先方にも悪いと、遠慮しようとしても、「キャンセルすれば大丈夫!」の一点張り。その気になってレンタカー会社に連絡したら、「いいですよ。また次の機会にご利用ください。」嘘みたいに気持ちのいい対応です。

 

友達の車はマニュアルのSUV、オフロード好きには一目おかれているジムニーで、私も一度乗ってみたい車ではありました。でも、マニュアル車なんて何年振りだろう。実に久しぶりの半クラッチ操作も、これはこれで自動車らしくて楽しいものでした。この車に阿蘇、熊本への遠征も手伝ってもらいました。

車の交換を済ませてTさん宅を辞した時には雨が降り出し、これから夜の山道をホリデーハウスまで半クラッチ使いながら走る自分を奮い立たせるため、途中の堀田温泉で一休みすることにしました。平成15年オープンと比較的新しい市営温泉で、シャワー・シャンプーも備わっている、カミさん好みの温泉です。内湯に加えて露天風呂もあり、何と言っても硫黄の香りがほのかに香る、私好みの温泉でもあります。

堀田温泉からホリデーハウスに帰るには、別府市街地に戻っては逆方向でもったいないからと、先日迷いに迷って覚えた志高湖経由の山道を通ることにしたのは良かったのですが、雨脚が強くなったのに加えて細い山道は濃霧に包まれてほとんど視界が効きません。昨日まで乗っていた軽自動車に比べてこのSUVはクッションが乏しく、道路の凸凹をそのまま体に伝えてくれるし、不慣れなマニュアルシフトの運転でエンスト寸前のクラッチさばき。隣に座っていたカミさんは本当に生きた心地がしなかった、このまま遭難するんじゃないかと本当に心配したようです。

フロントグラスに顔を擦り付けるようにして濃霧と土砂降りの夜の山道を運転すること約30分、ようやく見覚えのある奥別府かいがけ温泉「きのこの里」に到着です。夕食を頼もうとしたらもう厨房の火を落としてしまったとのこと、炊き込みきのこ御飯の弁当を買って帰ることとなりました。

ホリデーハウスまではもう残りわずか10分程度のドライブです。もう帰り着いたようなものです。せっかくだからスタンプは捺せないけどひとっぷろ浴びることに。入浴料300円はちょっと高めですが、なんとこれが素晴らしい源泉掛け流しの秘湯でした。別府は奥が深い!

ホリデーハウスから一番近い温泉ということで、「うちの風呂」として今後何度もお世話になる奥別府の名湯です。




別府温泉道名人への足あと(3)第3湯 不老泉

2016年05月28日 00時25分29秒 | Weblog
カミさんとも無事合流できて、いよいよ別府での長期滞在生活のスタートです。ロングステイだとか貸別荘だとか響きはリッチだけど、炊事洗濯を別府でもやらなきゃならないカミさんにとっては「脱日常」どころか日常そのものなのです。この点をカミさんに厳しく指摘されると極楽とんぼの私も複雑な気持ちになります。「掃除は僕がやるからさ」と小さな声でつぶやき、「でもここなら君の好きな自然に近い田園生活が目の前じゃん!」と言い訳にもならない御託を並べて来るべき二週間の平穏無事を願ったものでした。

 

カミさんも温泉は嫌いではないんだけど、私が好む、この写真のような鄙びた風情の共同浴場は苦手で、どちらかといえばシャンプーやリンスが完備されている市営大型温泉、旅館・ホテルの温泉以外は入りたがりません。従って、八十八湯の中で旅館系はカミさんも一緒に行き、市営・町営の共同温泉は私だけが巡るというパターンが定着することとなります。

ホリデーハウスの庭には地元の方や学生さんが育ててくれた野菜たちがまだいくらか残っていて、我々が自由に使って良いのです。ナス、ピーマン、トマトなどはしっかりと使わせてもらいました。

「温泉派」の私が一人で走り回り、シャワーも石鹸もない共同浴場のハシゴをしている時に、「自然派」のカミさんはホリデーハウス前の畑で野菜の収穫、虫退治に勤しみます。

   

温泉名人を目指すわけでもないカミさんを誘いながら私のスタンプも増やすには、シャワーのある大型浴場ということで、最近リニューアルして清潔感も増した不老泉からのスタートです。別府駅からも近く地元の人と観光客の双方に人気が高く、数年前初めて入った時より格段に賑わっていました。リニューアルの結果でやむをえないことながら以前の鄙びた感じがなくなって大型銭湯となっていたのには、ちょっとがっかりでしたが、熱い湯とぬるい湯の両方の湯船があるのは昔のままでしたし、湯上がりのさっぱり感は以前と変わらずで、カミさんも「いいお湯だったぁ!」との感想。悪いスタートではありません。


別府温泉道名人への足あと(2)第2湯 照湯温泉

2016年05月26日 17時43分59秒 | Weblog
カミさんが成田から大分空港に着く夕刻までにはまだ時間があります。ちょっと期待を裏切られた感の否めない竹瓦温泉のリベンジに、前にも来たことがある、私の好きな硫黄泉質の照湯温泉に足を伸ばすことにしました。別府八湯のうちでは一番山側の明礬温泉の入り口ですから別府市中心部からはおよそ20分のドライブです。敷地内に10台以上の駐車スペースがあったと記憶していたので空港に向かう前にゆっくりと楽しめそうです。

先客は一人だけ。ほぼ貸切状態だし、うっすらと硫黄の香りもするし、湯船のサイズも大きすぎず小さすぎず、何よりも嬉しいのはちょっと熱めの源泉が湯船から滔々と流れ出している、「これぞ源泉掛け流し!」を絵に描いたような温泉の鑑です。

名人道への道のりをたどって自分の踏んだ足あとを思い出しながら綴るこの雑記帳では、別府八湯の個別の温泉の紹介は同好の先達のサイトから拝借することとしています。

源泉かけ流しにこだわるこのサイトはそれぞれの温泉を仔細にわたって活写しており、私が足あとを辿る際にも、忘れかけた状況を思い出させてくれるスグレモノで、温泉好きの誰にでも大変参考になる興味深い記事が満載されています。

別府八湯温泉道に協賛するすべての温泉施設を網羅している事務局のサイトも温泉ガイドブックとして大変有益な情報が満載されていますので覗いてみてください。

私の温泉行脚でのもう一つのこだわりは、どこかで読んだ某温泉博士のアドバイスを忠実に守ることです。
① 温泉の薬効を最大限活かすためには石鹸で体を洗ってはならない。
② 体にまとった温泉をシャワーで流してはならない。
③ できればタオルで拭くことも控えて、自然に体が乾くのを待つのが理想。

そのため、私は温泉タオル一本だけをビニール袋に忍ばせて温泉を廻り、石鹸・シャンプーの類は一切持ち歩きません。その日に最初に入る温泉で髭を剃ることを常としているので、髭剃り道具だけは入れてありますが。

前進基地のホリデーハウスにはリフォームした大変綺麗な浴室があるのですが、温泉でないのが玉に瑕。今までに一度も入ったことがありません。これからも入らないでしょう、多分。





別府温泉道名人への足あと(1)第1湯 竹瓦温泉

2016年05月24日 23時55分30秒 | Weblog
私より1日遅れて大分入りするカミさんを空港まで迎えに行く前にひとっぷろ浴びようと、ホリデーハウス周辺の温泉を物色。いずれも別府八湯の圏外なのでスタンプは稼げないことは覚悟の上なれど、早朝から営業している温泉がなく、ようやくたどり着いたのが高崎山山麓にあるおさるの湯



温泉道に励み、表泉家八十八箇所を無謀にも一週間程度の短期間に浴衣姿で巡る人を、温泉道の世界では「湯遍路さん」と呼んでいます。私の場合はじっくりと腰を落ち着けてスパポートの有効期限内、つまり別府の湯が尽きる前に名人になれば良しとするので「湯遍路さん」ほどの悲壮感、切迫感は持ち合わせていませんが、だからと言って番外の温泉にゆっくり浸かっている余裕はないのです。表泉家(温泉道に参加している温泉施設をこう表現します。参加していない温泉は「裏泉家」)の敷居をまたぐ前に番外なんてちょっと贅沢です。

そんな気持ちも手伝って午後一番の入浴は第1湯竹瓦温泉。別府温泉のいわば「いの一番」的存在です。



西国三十三ヶ所札所巡りや四国八十八ヶ所霊場巡りとは異なり、温泉道で巡る温泉に番号は付いていません。どのような順番で廻っても構いません。これから二週間滞在する別府の中心地を馴らし運転している間に偶然通りかかったのがこの竹瓦温泉でした。市街地は駐車場に金がかかるのが難点ですが、勝手のよくわからない初日なので隣の有料駐車場に停めて入浴です。なるべく駐車料金のかからない方策を見つけるのが長期滞在の課題ですね。

風情があり歴史を感じさせる建物には圧倒されますが、別府温泉で一番有名な温泉で入浴者が多いせいか、湯船から滔々と源泉が溢れて流れ出るなんてこともなく、湯船の縁よりだいぶ低い水位に湯が止まっていたため、清潔感に欠ける印象でした。「ぜひまた来たい」とは思えない、ちょっと残念なスタートでした。

気を取り直して次の第二湯「照湯温泉」に向かいます。



別府温泉道名人への足あと

2016年05月21日 23時16分06秒 | Weblog
それは2014年10月のことでした。別府市内成のロングステイ施設「ホリデーハウス御園」チェックインでお世話になった別府APU大学の学生さんを別府駅まで送り届けて、今後の別府生活のいろいろを教えてもらっていた時に始まります。

別府で温泉を楽しむのに無くてはならないアイテムとして「温泉本」を紹介してもらいました。500円とちょっと割高感ありでしたが、別府八湯の提携旅館・ホテルの6湯無料入浴券がおまけについて、それだけでも2〜3千円の価値のある、お得な買い物でした。その温泉本の中に温泉道の詳細が紹介されており、短期間の旅行者にはちょっと難題ながら長期ステイする者にはもってこいの企画だと飛びついて、別売りのスタンプ帳「スパポート」を速攻で購入。見た目もパスポートそっくりなシロモノで、発案者の遊び心が溢れた一品でした。このスパポートの有効期限満了日が「別府八湯の湯の尽きるまで」と来られたので大笑いです。

 

重複しない八十八湯のスタンプを押す88個の空欄を見ただけで気が遠くなりそうで、こりゃ何年かかるのかと先が思いやられたものでした。

別府八湯で温泉道に参加している共同浴場、旅館・ホテルを探すのだけでも相当難しそうです。とにかく古い温泉地ですから道が狭い上に複雑に入り込んでいたり、一方通行であったりと難儀します。軽自動車のレンタカーは大正解でした。まず道に迷って土地勘を養うしかあるまいと観念して走りまくることからスタートです。そのおかげで今や別府のランドマークに類する場所にはほぼ間違えずに行けるようになりました。

温泉県大分には湯布院をはじめとして別府周辺に数多く名湯・秘湯がありますが、温泉道は別府八湯に限定されているので、当面は脇目を振らずに88湯の制覇を第一目標に邁進することとしました。スタンプ集めの過程で自分好みのタイプの温泉に巡り合っても、そこに戻るのは名人になってからと自分に言い聞かせてスタンプの数を稼ぐことを優先させるという、修験者にも似た自己規制力、まさに「温泉道」修行者そのもののスタンスなのです。

ラジオ体操のスタンプをもらうのを楽しみに通った小学校の夏休み・・・・数十年前を苦笑しながら思い出しています。


別府だより(3)別府八湯温泉道

2016年05月19日 21時38分12秒 | Weblog
二年前2014年秋に初めて滞在してすっかり気に入った別府内成のホリデーハウス御園。二週間の滞在では楽しみ方も中途半端になってしまうので、次の2015年秋は利用限度いっぱいの四週間滞在してみました。「毎日毎日なにやるの?」と周りからはいぶかしがられています。

別府生活での最大のアクティビティは大好きな温泉を巡ることです。「温泉巡り」と一口に言っても、実は大変奥が深いのです。そもそも「別府温泉」と十把一絡げに言われるものの、実は「別府八湯」と呼ばれる八つの異なった温泉郷から成り立っています。別府駅周辺の市街地中心部にある「別府温泉」「浜脇温泉」。いわゆる「地獄」の集まった地区の「鉄輪温泉」とその手前の「観海寺温泉」「堀田温泉」。別府では一番山側の高地に展開する「明礬温泉」と、逆に別府湾に近い「亀川温泉」。鉄輪から亀川に降りて行く途中にある「柴石温泉」。これで「八湯」です。日本の源泉の約1割に当たる2300もの源泉がこの別府八湯にはあるそうです。まさに温泉天国じゃありませんか!!

別府八湯はその泉質は言うに及ばず、周囲の景観、立地がそれぞれ異なることから実にバラエティー豊かな温泉を楽しむことができるのです。地球上には11種類の異なる泉質の温泉が存在するそうで、そのうちの放射能泉を除く10種類の温泉が別府では湧出するそうです。私の一番好きなのは「白濁した硫黄泉」で、別府八湯では明礬温泉がそれに当たりますが、別府を深く知るためには自分の好き勝手は言ってられません。「敵を知り己を知る」のが先決です。

こんな温泉好きの私にピッタリの企画に巡り会いました!

別府八湯地域で温泉を核にウエルネス産業を興すことを目的に設立されたNPO法人ハットウオンパクが仕掛けた「別府八湯温泉道」がそれです。

なんとも遊び心に満ち満ちた企画です。別府八湯温泉道に参画する(市営・民営問わず)140余りの温泉から自分の好きな温泉を巡り、入浴の証としてのスタンプを集め、その数88箇所を制覇すると「別府八湯温泉道名人」に認定されるのです。

名人を目指すには事務局の発行する「温泉本」とスタンプ帳「スパポート」合計700円の投資が必要です。

  


残された時間に限りがありますので先を急ぎましょう。

2014年10月にスパポートに最初のスタンプを押してもらって名人への第一歩をスタート。2015年10月の別府滞在四週間の他に2016年1月に一週間、更に2016年4月に一週間別府詣をして、ついに2016年4月4日満願成就。第6100代温泉名人に叙せられたのであります。

段位認定状と副賞の「温泉名人」と金糸で縫い取られた真っ黒な温泉タオル。これが欲しくて、地獄の責め苦のような温泉漬けの日々を足掛け3年間頑張り続けた結果たどり着いた、「あ〜極楽、ごくらく!」の世界なのです。

 


心地よい温泉に身を浸して全身を伸ばしきり「ごくらく、極楽」と悦にいるのも楽しいのですが、名人になるまでの足取りを思い出しながら、牛が食べたものを反芻して二度楽しむが如く、もう一度八十八湯を楽しんでみようかと思います。

題して「別府温泉道名人への足跡」しばらくの間お付き合いいただければ幸いです。