最低だ。 最低だ。 最低だ。 最低だ。
親も先生もクラスメートも、社会も、みんな、それと、僕も。
努力したら報われるだとか、そんなのウソだろ。
努力したのに失敗した人が何も語らないだけだ。
強い奴が勝つんじゃなくて、勝った奴が強いんだ、って誰だかが言っていた。
親心だから言っている、だとか、そんなの言いたいだけだろ。
世界は、本当に正しい世界は、誰より一番僕が知っている、はず。
その男は、10代の頃、そんなことを考えてた、ということを、思い出した夢をみて、焦って目を覚まし、
いつものように電車にのって、会社へ向かった、結局、そんないつもの日常に過ぎなかった。
綿矢りさ さんの インストール をご紹介します。
いわずとしれた、綿矢りさ さんのデビュー作で、17歳のときに書かれた小説です。
一言で表すと、軽いエロ話だ。
もしかしたら、女子高生がエロいことに首をつっこむ女子高生を主人公にした話を書けば、それだけで成功する、
と、計算していたのかもしれません。
たしかに、女子高生、というだけで、それはブランドなわけで、利用しない手はない、のでしょうが、
綿矢りさ さんっぽさ、言ってみれば、イタい女子の話っていうのが、この時点で確立されていたのだと思います。
承認欲求が盛って盛ってしょうがない女子高生なのに、
実際には、彼氏もいないし処女だし、受験勉強も中途半端で、家族も全然構ってくれない。
世間では女子高生ってだけでちやほやされるのに、
実際にはゴミ捨て場でゴロゴロして、風でスカートがめくれてそのたびにパンツがみえても、誰も構ってくれない。
人一倍プライドだけ高く、他と同じ土俵では戦えないから、私は斜め上の行動をして、私って凄くない?
と、勝手に自己満足しようとする。
最後は・・・まぁ、綿矢りさ さんらしい、オチ。
おあとがよろしいようで、ってな感じです。
10代の特有の憂鬱というものをうまく表しているように思います。
劣等感と、歪んだ優越感、そして、挫折、顔真っ赤な屈辱。
他人をみてイタいとか勝手に思ってバカにしているその張本人が一番、イタいっていう。
というわけで、調子に乗って、あとで痛い目にあう、という漫画チックな王道のかるーい作品です。
ぜひ、読んでみてくださいね。