児童養護施設に入所してくる子どもたちは、反応性愛着障害が主原因と思われる問題行動を起こすことが多い。それに対応する職員は大変だ。子どもたちの言動に翻弄される一方で、彼らの権利擁護も対応の中で意識しなければならない。ある時は熱血的な関わりが虐待だと捉えられてしまうこともある。そんなことから、なるべく問題の多い子に関わらないような状況に陥ってしまうことがある。
ある施設では、高校生たちの問題行動がエスカレートし、施設内での飲酒や喫煙、建物への破壊行為など日常茶飯事になり、職員では手の付けられない状況になってしまった。そんな時に、ある男子高校生が話しやすい職員に唐突に、「俺、誰にもおんぶされたことないから、一度おんぶしてくんない。」 と甘えてきた。職員は、いぶかしがるも大きな高校生をおんぶしてあげた。そしてその後で、「お前たち、何でそんなに荒れるんだ。大人に何をしてほしいだ。」と聞いた。子どもから帰って来た答えは、「俺たちにもっと関わってほしい。」であった。
それから、その施設の職員たちは、とにかく子どもたちの話をきいて丁寧に丁寧に関わることをした。やがて子どもたちの態度に変化が起き、問題行動も収まっていったという。問題行動の多い子に関わるのは忍耐がいる。 子どもたちの問題行動の表出は、SOS信号の場合が多い。子どもたちは、大人が忍耐をもって関わり続けることを心の奥底で願っている。
子どもは、大人が守ってあげる存在、関わってあげる存在。
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