70の瞳

笑いあり涙あり、36人の子どもたちが生活する児童養護施設「さんあい」の出来事や子どもと職員の声をお聞きください。

こどもの参画

2024-09-01 12:50:40 | 愛すべき子どもたち

今年度から施行された改正児童福祉法には、こどもの権利擁護の取組をさらに推進するため、施設等に措置されるこども達や、一時保護されるこども達の意見を聴く仕組みの必要性が明記され、その環境整備は都道府県等の業務であるとしています。今後、都道府県から施設等に派遣された専門家が、こども達の意見表明を支援することになる、というのが趣旨です。

実際に施設の外部から来られる方に、こどもたちの意見表明を支援する働きがどれだけできるのか、これから試行錯誤が繰り返されるものと想像します。いずれにしても日常的に子どもたちとかかわる施設職員としては、こどもたちが誰に対してであっても安心して自らの意見を述べたり、思いを表現できるような環境を作ることは責務です。

ただ、意見表明ができればそれですべて問題が解決する訳ではありません。「意見表明は、あくまでプロセス。最終目標はこどもの参画により“真の民主主義”が実現すること」というロジャー・ハート*の言葉を肝に銘じたいと思います。

 

夏休み中に開かれた小学生会議。初めは職員が導いて議長の選出、本日の議題の提案などをします。

それぞれ自分の思いを持って挙手。決定した内容に対しても素直に受け入れて会議が進みます。

こども達から質問が出て、オブザーバーだった施設長が許可を得て回答する場面もありました。

こども達が選んだ議長の進行により、スムーズに会議を終えることができました。

埼玉県内では、自治体による子どもの権利条例策定の例がないそうです。こども大綱に続いて、埼玉県こども計画が策定された後は、こども参画による市町村レベルでの条例制定が進むことが期待されます。

 

*ロジャー・ハート著、木下勇・田中治彦・南博文監修、IPA日本支部訳『子どもの参画-コミュニティづくりと身近な環境ケアへの参画のための理論と実際』萌文社、2000年